2008-12-13

Nobel Prize Lecture at SSE

Economics as a science



今日は留学先の大学(SSE,Stockholm School of Economics)でノーベル経済学賞の記念講演会。毎年のノーベル経済学賞受賞者はこの大学で講演をするしきたりになっているだそうな。すげえ。

今年の受賞者はPaul Krugmanで受賞理由は"for his analysis of trade patterns and location of economic activity"。彼以前の理論では技術や資源の違いが国際貿易を生む、と説明していたのですが、それだと技術や資源があまり変わらない国の間の貿易が説明できなかった。そこにDiversity(多様性。同じ車でもベンツとカローラは違うよね、みたいな)やEconomics of scale(規模の経済。アメリカみたいに大企業が大量生産していたら労働力が高くなっても安く作れちゃうよね、みたいな)を持ち込んで、説明してしまったというのが1つの貢献。それを応用させて世界の富の偏りも説明しようとしてEconomic geography(経済地理学)という分野を切り開いたのがもうひとつの功績。

実はSSEはBertil Ohlin(1977年のノーベル経済学賞受賞者)の出身校で、かつ彼も国際貿易論での受賞だったのでいろんないみで記念すべき講演会でしたが、話題はFinancial crisisについてでした。


現在起こっていることは、今までにない新しい金融危機で、どんな理論でも説明できない、というのは正しくない。あえていえば、今まで起こったすべてが同時に起こっているのだ。特にアルゼンチン金融危機と日本の「失われた10年」は重要な教訓だ。これらの事実を眺めてみると、負のショックを財政政策によって相殺するのはかなり難しいということ、流動性の罠にかかる可能性が存在することがわかる。実際、プリンストンでも日本の90年代を題材にして、今から考えて当時どんな経済政策が打てたのかを検証しているが、有効な解決策は見つかっていない。次の一手は大きな財政支出だが、政治との関係で巨大な財政政策を発動するのは時間がかかる。またグローバリゼーションや地域統合(EU)で政策効果がスピルオーバーするため、景気の回復は2010年になるだろう。



・・・おもいっきり感激してしまいました。



まず、現状認識。
「何が起きているか」を明確に説明できること。自分で見て語るというのは、すごい。

過去との対照。
考えてみれば、あらゆる経済現象は過去にない新しい事例であり、過去にあった事例の一部であるわけです。重要なのは後者の認識で、過去のどの事例と何が類似点・相違点なのかを知ること。それができると、歴史から学ぶことができるわけです。講演後の質問では1930年代の大恐慌の話題が多かったのですが、バシバシ答えていました。すげえ勉強してる。。。

理論での仮説

上では載せませんでしたが、「モデルを作って検証してみたら流動性の罠の可能性があることがわかった」みたいな一言がありました。プリンストンでは大真面目で日本の90年代を検証しているらしいです。そして(あくまでモデルで)仮説検証してみる。

既存の理論を疑う視点

「90年代の日本の財政政策はあまり効果を上げなかった」→「財政政策の有効性が失われている」という既存の理論への差異として認識する視点はなかったなあ、と。そもそも経済理論は理論で現実には当てはまらない、ではなく、現実に当てはまらないのは理論が間違っているからと思わないといけない、と、わかっていてもできなかった一瞬。(ちなみに財政政策の有効性の議論は変動相場制だからでしたね)

現実へのチャレンジ

とにかくいまはそればかり考えている、という印象でした。ツールがあって、問題があって、毎日あれこれ解決策を練っている、という感じ。学者であり実務家である、という姿に率直に感動。


最近はGame Theoryの論文ばかり読んでいて、理論の世界にいた印象でしたが、ここに来て現実に戻った気がします。この間の講演会では経済学は仮説検証ができないから学問として発展の道筋が遅く不完全だと感じていましたが、社会現象こそが仮説検証の場であって、世の中の変化に理論が依存するという別の形をとっているのだということ、そして何より世の中を自分の目で見る道具なのだとその意義を再認識しました。経済学、おもしれえぞ。


毎日PCに向かって原稿を書いているけど、何度も書き直しなんだ。なぜなら新しい出来事が次々起こるからね。大変だよ。だけど面白いね。



30代には、経済学を使って世の中が見えるようになったらいいなあ、と。


ちなみに先の講演会で聞いた彼の研究のprincipleは以下の4つだそうな。

1.Listen to gentiles
2.Question the question
3.Dare to be silly
4.Simplify, simplify









2008-12-09

The Nobel Lectures 2008


Simplicity gets results。



今日はストックホルム大学のノーベル賞受賞者の記念講義に行ってきました。そう、授賞式はストックホルムなんですね。毎年受賞者が講義をすることになっているらしく、それが今日だったわけです。

講義はphysics, chemistry, economicsの順で9:00-15:30まで(途中休憩あり)。
各受賞者45分ほどの講義でしたが、話題やスライドの作り方、English wise、プレゼンテーション慣れ、ユーモアなどとにかく7人とも個性が出ていて、飽きることのない半日でした。感想などをいくつか。

1.Simplicity
驚くことに、各受賞とも共通していたのがこれ。何かのきっかけで既存の理論のほころびを見つけ、あれこれ試しても証明できず、同僚に白い目で見られながらずーーーーっと考えていてある日突然単純な発想を思いついて試してみると――という小説のような話がそこには広がっていました。(ただし、Krugmanの場合は多少違う印象)

2.Passion
とにかく自分の研究を説明する受賞者は楽しそうでした。本当に。

3.Truth

経済学と違って、物理や化学には「真理」があるんだなあ、と妙な感想を抱きました。理論で仮説を作って、実験して試して、違っていたら理論を直して・・・たしかに、それは楽しかもしれない。あと10年前にこういう講義を聴いていたら人生変わったかもしれないなあと思いました。きっと自分は自然ではなく人間に興味があったから文系にしたんでしょうね。









2008-11-23

Winter!




本格的に冬到来です。



一週間前から雪が降り始めたのですが、本格的に積もったのは今日が初めて。
雪が降り始めると、寒さがあまり気にならなくなるから不思議です。
盛岡に住んでいたころを思い出しました。雪質がすごくいい。


交換留学も残り一ヶ月となりました。
ようやく大学にも慣れてきたという感じで、生活にも少し余裕が出てきました。
当初は語学のことで頭がいっぱいでしたが、ここに来て語学以外の課題が見えてきたなあ、という気がしています。
そんなことを踏まえつつ、講義の感想をちらほら。



1.Sustainable Management

日本語にすれば「環境経営」でしょうか。Sustainable Development(持続可能な発展)に対して、企業はどう貢献しうるのか、そのためにはどのような「変化」が必要なのかを扱う講義です。理論よりも実務寄りの講義で、数回ゲストスピーカーが来て、CSRの現場の話をしてくれたり、講義の中でディスカッションを行ったりしています。評価はグループでの発表(テーマは講義に関連するものであれば特に縛りはなし)と個人でのレポート(テーマは指定)で行われ、グループ発表は中間、最終と2回のプレゼンテーションがあります。

学んだのは”sustainability"とはエコ(「地球にやさしい」)だけではなく、途上国の汚染抑制、世界の貧困削減を含んだ、地球規模の概念であること。「自分は日本のことしか見えていなかったんだなあ」と強く感じました。これは自分の将来を2度ぐらい変えた気がします。自給率が4割(金額ベースでは7割)というのは6割(3割)は外国の食料生産に関与しているわけですから、地球規模で考えれば、生産国のことも考えるのはある意味当然だよなあ、とか。また、企業がsustainabilityに貢献する場合は何らかの変化が必要であり、sustainable management とはその変化とほぼ同意であること。ただ、以前学んだ講義と比べるといささか浅い気がします。知識の体系が。新しい分野だからなのか、先生の能力のためなのかわかりませんが。

グループワークで感じているのは、「理由付けの弱さ」と「マネージャーの役割」。前者は薄々感じていたことなのですが、自分の意見は感覚的なこと(もしくは経験則的なこと)が多く、他人を論理的に説得することが難しいということ。アイデア勝負の場合はそれなりに強いのですが、本当に真剣な議論になると価値が出せない、意見しか言えない。常にbecauseを意識する習慣を今から身に着けていかないとなあ、と感じています。後者はグループワークのミーティングで感じること。みんなすごく優秀なんです。みんな意見があるんです。たまに意見が違う、だけどその違いをうまく止揚できない。日本では意見を因数分解して相違点を明確にしてよい部分をつなげて・・・とホワイトボードでやったりするんですが、そんな余裕もcredibilityもないわけです。1+1=1+1であって、1+1=2とか3とかにできない。そういう力が自分にあったらなあ・・・という思いをしています。逆にいうと将来はそういう人間になりたいなあ、と感じていて、サンタクロースにはこれをお願いしようと思っています。笑


2.Economics of Organization

これはゲーム論(というミクロ経済学の1つの分野。比較的新しい経済学の分野)の講義で、ガチガチの理論系です。が、やたらに面白い。もともとメカニズム・デザインという分野に興味があって、ゲーム理論を勉強してみたかったのですが、どうやらジャストミートだったようです。「萌えー」という感じ???

普通の経済学が「世の中はいつも効率的に動いている」という前提から始まるのに対して「世の中は効率的に動かない」という逆の視点から始まるのがこの分野。「だからこそいい制度が必要(で、そこに経済学が使えるんだよ)」という誘導が、きっと役人的な発想に近いのでしょう。今まではやたら複雑な数式を用いて、統計処理をして有意だから、といわないと証明できなかった世の中の諸現象が、ものすごく簡単に説明できてしまうのだから驚きです。もし本当にacademicな分野でmasterを取るならこの分野だし、何かの間違いでPhDを取りたいと思うならきっとここだろうなあ、という感じがしています。ただ、経済学ばっかりやっていると本当に実務の世界に戻れるのかなあという一抹の不安も感じています。モデルでエレガントに説明できたって、世の中何にも変わらないわけですし、ね。


3.Business English
これは継続なので省略。今は個人のプレゼンテーション(15分間ほど、テーマは自由)となり、プレゼン大会と化しています。笑



ということで、残り一ヶ月ではっきりさせたいことは

1.1+1=3にするには何が必要か?
2.将来、game theoryは自分の何になるのか?
3.日本の農業はどうやってSustainabilityに貢献するのか?

という感じです。



2008-10-31

How is the Japanese stock exchange now?








Is it lowest?


ルームメイトはファイナンスが専門なので、よくstock exchangeの話になります。
この間日経平均がバブル後最低になったのは記憶に新しいですが、「じゃあいつが最低なの?」みたいな話から事は始まりました。

いろいろ調べたものの、意外や意外、長期の株価の推移データ(のグラフ)は置いてないんですね。せっかくなのでエクセルのデータを探して(これが意外に手間)表にしてみました。
(これが上の表)


"Do you know inflation rate at that time?"

要するに物価上昇率で割り戻さないとわからないよね、みたいな話になり、「じゃあ、やってやろうじゃないの」とCPIを探して次に作ったのが下の表。



"But I think main currency is $US"

はいはい、為替レートで割り戻せばいいんでしょ。


ということで、為替(名目)レートで割り戻したのが下記。




結論としては"Oh, It's not so bad"
(とはいえ直近のデータは入ってないのですが)

・・・確かに。勉強になった一日でした。






2008-10-17

Half has finished!



半分終了(写真はとあるコースのreading.1ヶ月半でこれぐらいですが、超楽なほうらしい)


今日、Trendspotting & Future ThinkingのFinal Presentation があり、half-semesterが終わりました。1週間ほど中休みがあり、今月末から新しい授業が始まります。


1ヶ月半を振り返ってみると、とにかく「何もかもが新鮮!」。
人も言葉もお金も自然も、何もかもが違う毎日は新しい経験の連続で心が休まる暇がありませんでしたが、ほぼ2ヶ月経って、ようやく気持ちが慣れてきた気がしています。

と、ダラダラ書いていても仕方ないので、いくつかポイントを列挙してみます。

<授業について>

1、講義の位置づけと構成が違う

日本の場合、講義は先生が「教える」場で期末のテスト(か中間テスト)で評価するのが通常です。しかし、こちらでは講義は「議論をする」場で、中間のプロジェクト(チームで何かプランを作る)と期末のテスト(これは筆記)で評価をするのが通常なようです。つまり講義はアウトプットの場であり、インプットの場ではないということ。

こちらでは講義ごとに読むべき課題があり、問いが設けられていて、それについて議論し、先生が意見をまとめていく、というのが代表的なスタイルのようです。授業中、ポロポロ意見があがって、それを先生がまとめていく感じ。もちろん、悪い面もあり、先生のファシリテーションのレベルによって、講義のレベルが左右されるので一丁一端だと思います。ちなみに、先生がイマイチだと意見が出ません。この辺は日本も一緒ですね。

2、みんな、話せる

人前で話すことに慣れている人が多いようです。もちろん内気な人もいるのですが、人前で話すこととは独立なようで、振られればそれなりにしゃべれる。これは文化の違いなんでしょうかねえ。。。

3、議論好き、か?

欧米の人は議論が大好きで、とことん納得するまで話し合う・・・という印象だったのですが、「これがベストなアイデアだから議論不要だよね」みたいな空気は万国共通なようです。というか、考え方や価値観に関して文化の違いはあまり感じません。みんな「空気」は読んでいる気がしますよ。

4、学生のレベル

高い気がします。英語(母国語ではない)を使った分析で「ああ負けた」という感じなので。ただ、アイデアやバリューを絞り込めば負けない気がします。


<英語について>

1、みんな使っているのは初級単語

みんなネイティブではないので会話で使うのは初歩英語です。むしろ簡単な言葉遣いのほうが「うまいね」と尊ばれる感じ。ネイティブではないため、自分がわからない単語は相手も知らないのです。また、単語の間にある微妙なニュアンスの違いも、「微妙なニュアンスの違いがあるらしい」という概念として認識しているので、少々の間違いはまったく問題ないです。まあ、北欧だからかもしれませんけど。

2、日本語と英語は違いすぎる

『国家の品格』にも書いてましたが、日本人(と韓国人)がこんなに英語が苦手で、欧米人がやたらうまいのは言語の性格の違いだとしか思えません。欧州の留学生はやたらうまいんだもん。

まず文法。知ってはいても、疑問文をひっくり返す癖がなかなか身につかない。これは仕方がないですよね。

あとは発音。はっきり発音しても通じない。逆に早く発音すると通じたりする。要するに日本語だと「ゆっくり、明瞭に」がよい日本語ですが、英語だと「流暢に」がよい英語だということなんでしょう。



「英語って、communication toolなんだなあ」としみじみ感じている日々です。要するに伝わることが重要なのであって、発音とか、語彙とか、そういう価値観ではないということ。とはいえ、いろんな国の、いろんな文化の、いろんな考えを持った人が、1つの言葉で会話しているって、考えられないほど大きなことですよね。たまに感激します。




そんな感じです。講義はおわったとはいえ、レポートが3つもある。。。
がんばらねば。





2008-10-07

Blog renewal!

マイナーチェンジ。



スウェーデンネタでなくて恐縮ですが、この日記を少し変えました。
わかります?


そう、ラベルを変えたんですね。
どうやら一瞬でラベルを付け替える機能はないみたいで、126件の投稿のラベルを1つ1つ手作業で張り替えるという地道な作業・・・が、やり始めると止まりません。


以前から、ラベルの乱雑さが気になって仕方なかったのです。特に本。
本人の中では分類されているつもりなのですが、レベルが違いすぎて、気持ち悪い。
昔は気にならなかったのですが、最近見るたびに気になって仕方ないので、さすがにそろそろだろうと思い、チェンジ。
おかげですっきりです。


悩んだのはどの分類を採用するか。
いろいろ(歴史が)あるんですね。思えば図書の分類とは、世の中のあらゆる文字情報を分類して整理しようという壮大な試みですから、先人たちの汗と涙の結晶なわけです。MECEとかフレームワークとか、ロジカルシンキングとか、そんな発想が念頭にあると、それなりに萌えるわけですね。笑


実用的には断然amazonなのですが、実用的過ぎて抜け漏れ重複がありそうだなあ、という直感から日本十進分類法(NDC)9版を採用しました。




で、ラベルを張り替えてみると知識の偏りが一目瞭然。
【2類 歴史】【4類 自然科学】【8類 言語】が一冊もない。
・・・そのうち読みたいと思います。



読書以外のラベルもすっきり。



ああ、気持ちいい。



ラベルって、性格出ますね。。。




2008-10-04

『国家の品格 (新潮新書) 』(藤原正彦/新潮社)














論理の誤り。




「論理は道具であり、真理は論理にはない」。

要約するとそんな感じでしょうか。「合理的に割り切れない考えや価値観こそが本質なのであって、合理的な考えだけでは必ず道を踏み外す」、みたいなのが全体の主張。あとはVIVAニッポン。「国家の品格」は最終章だけなんですね。意外でした。


就職先の大先輩に「(この本を)三回読んだ」という方がいらっしゃって、そんなにいい本なのかと思い購入した一冊。三回は多いですが、一度は読んでもいい本なのかなと。47版は異常な気がしますが。。。



International Business Strategyという講義を履修中なのですが、結局globalizationが進むとみんな同じになっちゃうんですよね。というか企業が同じようにしようとする。便利になるのは良いのですが、数字は増えても、何かが失われていくんだろうなあ、というさびしい気持ちを抱くのです。




農業経済学と茶道を習っているせいか、基本的に共感でした。
別にあそこまで激しい思いを抱いているわけではありませんが。


論理(=経済学)はあくまで論理で、真理は別のところにある、というのはそれなりに大きな発見だったりして。と内定式を終えて思いましたとさ。





『農林族―田んぼのかげに票がある (文春新書) 』(中村靖彦/文藝春秋)














政治と農業。



タイトル通り、農業と政治家の関係を扱った本です。

「どうしてこんなに分かりやすいんだろう」というのが感想。そのぐらい、政治を通じて農業政策の変遷を辿るとわかりやすい。思えば農業経済学の教科書には政治がほとんど登場しないんです。だから経済的な要因で全てを語ろうとするのですが、どう考えても政治力学を駆使したほうが過去の政策の変遷が合理的に説明できる気がしてきます。


農業って、食料生産産業でも資源保全産業でもなくて、政治の駆け引きの道具だったんだなあ、と今更ながら理解しました。別に悪い意味で言っているのではなく、経済学的な軸だけでは決められない論理が存在している、ということ。


経済学的に合理的でないものはおかしいと思う反面、本当にそれが正しいのか、という疑問符もつきます。だって、経済学の論理に則ったら政治なんていらないんだから。


その論理が政権の存続ではなく農業そのものの存続を目指すものになっていればよいのですが・・・と平凡な感想で終わらせておきます。











『アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)』(伊坂幸太郎/東京創元社)













ねぎま。



2ヶ月ほど前、家で焼き鳥を作りました。ねぎまを作ったのですが、あれは面白いですね。もともとはひとかたまりの鶏肉とねぎをいったんバラバラにして、交互に並べていくんですから。そのほうが見た目も良いし、何よりおいしい。


そんな印象のお話。


現代ミステリー小説(という分類じゃなかったらすみません)などまったく読まない私ですが、留学の餞別に同期から頂いたのでした。よく読まれた本のようで6月時点で16版。僕が読む本にしてはダントツに売れている・・・。トルコ上空あたりで読破しました。



うまく作られていて、きれいにタイルがはめ込まれている、という印象。
こういうstructureで作られると、自分でも作りたくなるから不思議です。
が、最後に良いお話になるのが個人的には違和感。




小説って何のために書くんでしょうか、とか思う自分は読者失格ですかね。













『農地制度何が問題なのか』(高木賢/大成出版社)













法律と経済。



内定式のために購入した一冊。
時差ボケで夜寝つけなかったおかげで読破することができましたが・・・当日は絶不調でした。


農業問題の本質とも言われる農地制度。
これを扱った本の中ではおそらく最新のそして最薄の一冊です。
元食糧庁長官、「農地政策に関する有識者会議」の座長を務めた農水省OBが、現在の制度と論点を解説しています。

感想は2つ。

・制度としては改正の必要がないぐらい、全て整っている
・関連法が入り組んでいて、複雑すぎる


「規制緩和」「株式会社の参入の是非」というキーワードでしか話題になりませんが、農地制度は農業政策上重要な論点なのです。というのも、農地の集約(による農業の近代化・合理化・大規模化)を進めないと日本の農業は立ち行かなくなる、という危機感から、制度上は集約を促すような仕組みになっているものの、現状としてあまり進んでおらず、むしろ農地が使われないで放置されたり、住宅に転用されたりとやりたい放題だからです。

読むまでは農地「制度」そのものに問題があるのかと思っていたのですが、実際は逆で運用、もっといえば環境に問題がある、という印象を受けました。つまり「がんばって農地をまとめてもそんなに儲からない」「むしろ農地を住宅地にしたほうが儲かる」という外部要因。






内定式の前の面接で、身上書のアピールポイントに「経済学部出身」と書いたら「これどういう意味?」と突っ込まれました。

「14人中2人しか経済職がいないからです。経済学はたとえばWTOの関税の議論や・・・そもそも農業はとても複雑ですから経済学のような単純な視点で評価できるということが重要だと考える、ということです」


・・・何のために読んだんだよ、この本。というのは後の祭りで。


要は法律的な可能性ではなくて経済学的なインセンティブの問題なんだよな、と農地制度を例に説明できればよかったのになあ、とか今更思うのでした。


ちなみに無事内定を頂きました。20万円かけて帰ったかいがあったのか、な。






2008-09-21

『日本 権力構造の謎』(カレル・ヴァン ウォルフレン,篠原勝訳/早川書房)













「日本には権力の中心がない」。



一番の主張を抜き出せば、結論はこれ。
なぜ、「責任感のある」トップが突然「責任を持って」職を辞すことができるのか?
その答えがほんの少し分かる気がする一冊です。
留学に当たって日本の構造を理解しておかねばと思い、持ってきたのでした。




日本って、ディズニーランドみたいだなあ、と。

幸せですよね。アトラクションがあって、食事があって、お店があって、キャストも親切で。
でもそれは見えないところでものすごくよく管理されているからであって、自然な姿ではない。
それに、冷静に考えれば、純粋な消費活動だったりして。
入場料大人一人5800円。一日行ったら交通費と食事で1万円はなくなるよねー、みたいな。









日本における民主主義の導入は、対外的なアピールであって本質的な導入ではなかった。したがって権力の所在が法によって制限されないような巧妙な設計<システム>になっており、それが「権力の中心がない」という意味である。この状況が軍部の台頭を許し、軍国主義を生む温床になった。しかし、戦後のGHQもシステムの欠陥には気がつかず、彼らは官僚組織を利用して日本の統治を行ったため官僚はGHQの権力を盾に<システム>を利用し、満州では果たせなかった管理国家の建設に勤しみ、実際に部分的には成功した。この<システム>政治・経済のみならず、教育・文化・宗教など日本人にかかわるあらゆる側面に、気づかれないように関与している。この構造は変わっていないが、管理者に不都合な変革をする手段を<システム>は持っていないため、日本の構造改革は果たせないままである。




新書で出たのが1990年、文庫版が94年。折りしもバブル崩壊・細川政権の時期です。

今は2008年。サブプライムローン問題・政権交代?








将来、何を持って何を捨てるべきか結構真剣に悩める一冊です。











2008-09-16

a month in Stockholm

留学の現状紹介。


今日でちょうど一ヶ月です(週サイクルだと)。

講義も全てスタートし、ルームメイトも来て、いよいよ開始という感じです。
友人の日記を見ると、かなり詳細に留学体験記を書いている模様。
「留学ってどんな感じなの?」と、(誰にも聞かれないのですが)、日本にいる自分なら聞きたいだろうなあ、というポイントを書きたいと思います。

<そもそもの前提>
ご存知のとおり、スウェーデンの公用語はスウェーデン語で、英語圏ではありません。
講義は英語で行われますが、みなネイティブでないため、英語ができない人向けに講義してくれているという印象です(平易な単語でゆっくりしゃべってくれる)。また、3割がexchange studentなので、(おそらくその国のエリートなのでしょう)みんな空気が読め(!)、付きあい易く、英語ができなくてもあまり困ることはありません。なので大きな問題は生じませんが、がっつり英語を学びたいという人にはものたりないかもしれません。


<講義>
基本的に1講義が90-120分、週2回です。1/2semester(1.5ヶ月)で2つが標準。
語学のクラスをとると、3つまで履修できます。ですから、毎日講義は1つか2つ、講義のない日もある、という感じになります。予習復習に追われる印象だったのですが、それほどでもありません。ただ、親しい友人もいない、遊び場所も知らない、お金もない、の三重苦では勉強しかやることがないので、必然的に図書館と家を往復することになります。勉強量があまり苦にならないのは絶対時間の多さかもしれません。が、少なくとも勉強が嫌いな人には向いていないと思います。

講義紹介

①International Business:Int.Business Strategy
時間:8:30-10:00(月・水)
人数:40人ぐらい
予習:毎回2-3つのreading(各10ページぐらい)
宿題:提出は任意
評価:感想文提出と自分で戦略を立案して提出
内容:事前にreading(Harvard Business Reviewなど)が2-3本指定されて、assignmentが設けられていて、それについて議論する、という形式。学生が意見を自由に述べ、教授がうまく組み立てていくというスタイルです。「発言しないといる意味がない」という講義ですが、発言しなくても咎められるわけではありません。readingはどれも非常に興味深く、また教授のファシリテーションが本当に巧みで、場を盛り上げつつ、高度な知識に統合していきます。

②Trendspotting&Future Thinking
時間:17:00-19:00(火・木)
人数:70人ぐらい
予習:特に不要
宿題:特になし
評価:blogの作成(更新)とグループで○○の未来を作ってプレゼン
内容:SSE(僕のいる経済系の大学)、KTH(工学系の大学)、Konstfack(芸術系の大学)から学生が集まり、みんなで一緒にチームを作って、与えられたテーマの未来を考える、という画期的な授業。最初はTheoryでしたが、残りの講義はguest lectureのみ。自分たちでプランは考えてね、という感じ。今はゆるい感じですが、本番前はハードそう。。。

③Business English
時間:15:15-17:00(火・木)
人数:20人ぐらい
予習:特に不要
宿題:4回のwrittingと2回のスピーチとマイ辞書提出
評価:出席とテストと宿題の総合
内容:上記そのまま、という感じ。input-output-feedback、の繰り返しです。このコースは初級なのですが、みな通常英語はできるので、「ビジネス」英語を学びたい、というモチベーションの人ばかり。ちょっと大変そうです。。。


全体的な印象
どの講義も、よく準備してあるなあ、という印象。「本で読んだほうが早い」「本に書いてある」という類ではないのが凄いなあ、としみじみ思っています。

<そのほか>

①基本的な生活
幸運なことに、大学から徒歩1分のアパートにいます。しかも同じ区画にスーパーとジム!
ストックホルム中央駅にも徒歩15分ほどなので、不自由はありません。
ストックホルムのど真ん中(東京で言えば神田あたり?)なので物価が高く、基本的には3食ともアパートに戻って自炊の日々です。
ルームメイトは優しそうなポーランド人で、いろいろ気を使ってくれるので快適です。

②観光
金・土・日と空くので、行こうと思えば行けます。(台湾人の友人はノルウェーに行ったらしい)。が、物価が高いのと、そんなに行きたい場所がない(農業情報が探しづらく、また通常の観光プランは高い)ので、一度ウプサラにいったっきりです。来週あたりどこかいきたいですね。

③クラブ
こっちでは日本の飲み会と同等の地位にクラブがあるらしく、みんな毎週1,2回行くようです(というか日本人でもいくのかしら???)。はじめは積極的に参加していたのですが、そこまで好きではない(し踊るだけで話さないので英語も上達しない)ので、たまにで、という感じにしています。



「日本の大学とどっちが大変ですか?」と以前こっちから日本に来ていた交換留学生に聞かれたのですが、これは人によると思います。個人的には日本のほうが大変だった印象です(3年で卒業単位を揃える必要があったのと、放課後予備校に通っていたのと、サークル運営があったため)。日本のほうが自習時間が短く、講義時間が長い(講義が多い)、というふうに考えれば、案外同じかもしれませんね。

ただ、おそらく僕の講義はかなり楽なものを選択したようなので、もっと大変なものもあるようです(ルームメイトは今週テストらしく、毎日30ページぐらい教科書を読んでいる)。






・・・という感じです。何はともあれ、勉強はできるし、英語は学べるし、水はおいしいし、毎日が新鮮で、楽しい毎日です。






2008-08-31

Slow Life










いい天気でした。




まだ、講義は始まりません。が、それなりに楽しい毎日です。

特に予定もないし、遊ぶ友達もいないのでひたすらreading.
どうやら、英文を読むスピードが上がったようです(最初は2日で1本だったのですが、今日は3時間で読み切ったっ!)。やはり集中は何よりも大事ですね。

問題はspeaking & listening.

昨日、日本にいるときにお世話になった留学生(ストックホルムから東京に来ていた)と再会しました。英語がうまくなったと褒められましたが、おそらくうまくなったのはお世辞を理解した彼女の日本語ではと思ってしまったり。


起きて、料理して、朝食を食べて、単語をやって、図書館に行って、戻ってきて昼食を食べて、図書館に行って、ジムに行って、日記を書いて、読書して寝る、そんな日常です。

山崎養世氏のblogをようやくきちんと見ました。驚くほど同じ考えですね。帰ったら絶対会いに行きたい。


ちなみに、写真は大学の裏の公園。
こっちは男性が乳母車を引いて子供を遊ばせるのが普通らしい。素敵です。





2008-08-29

"Sokka ni izumi ari"

座右の銘。



Stockholmに来てはや10日。来週からの講義開始を控えて、予習の日々である。
Trendsppoting & Futurethinkng という講義に登録したのだが、この講義のone of uniquenessは評価の30%がblogで決まること。どうやら講義用blogを作成し、週2,3回更新すべきらしい。ということで、早速作成してみた。

当然、言語は英語である。
もうお気づきかもしれないが、そこで、左のAbout Meに英語が加わったわけである。
とりわけ苦労したのは「足下に泉あり」の英訳である。


この言葉は私のorginalではなく、浅野史郎氏の座右の銘である。
彼は高校の大先輩であり、(学部は違えど)大学の先輩でもあり、(考えようによっては)職場の先輩でもある。以前、学生記者として宮城県知事時代の彼にインタビューをした際、帰りがけに色紙にサインを頂き、そこに記された言葉がこれであったのだ。

当時は言葉の意味を「大切なものほど近くにある」と理解しており、私の将来もまさにそのようにして決めたため、これが座右の銘なのだが、実際は少し違うようだ。

本人によれば「『今の仕事はつまらないし、つらいけど、なんとかこなしていれば、次にいい仕事が回ってくるだろう』という考えは、公務員になったらやめなさい。今の仕事の足元を掘り進んでご覧。必ずや、豊かな泉が湧いてくるよ。」ということらしい。この言葉は彼も上司から言われたものであるらしく、与えられた仕事を無難にこなす、という思考から抜け出すきっかけとなったそうである。

と、これをsimpleに英訳すると
"You can get something precious by what you are working on, even if that felt boring"
となる、のだろうか。いつか本人に確認したいものである。

ちなみに、彼は24歳でUniversity of Illinoisに留学している。当時の体験を「大学と図書館を往復するだけの禁欲的な生活だった」と語ってくれたが、その意味が実感として分かる気がする今日この頃であった。




※なお、今回の文体は浅野史郎WEBサイト『夢らいん』に準じた。

















2008-08-27

Cook by myself !











料理開始。



昨日はようやく調理を開始しました。
キャベツとたまねぎとウインナーとたまごのスープと、ご飯。

スーパーが近く(というか同じビル)にあるせいで、毎日買い物に行っていたのですが、これだと食費がかさむ。ということで心機一転、買い物は週一回で自炊することにしました。

皮肉なことに、コメだけが安く、1キロ200円ほど(日本だと400円ぐらい?)。
短粒種なので、味は日本の古古米ぐらいです。
実家は鍋でご飯を炊いていたので、炊飯も問題なく終了。


PCがあるので、excelで家計簿をつける日々です。
財布の中と表の数字がぴたりと一致する感覚は、やみ付きになりそうですね。
一週間たって、だいぶ感覚が飲み込めてきたので、そろそろ予算管理を始めようかしら。





2008-08-26

My room is clean!










留学っぽい一日。



今日は朝に同居人のオランダ人が帰宅。
あとからインド人が来るらしいですが、こないうちに部屋の掃除。
彼は2週間弱しかいなかったらしく、洗濯も掃除もごみ捨てもまったくせず。
そりゃ汚いわな。
きれいにしたらテンションが上がってきました。

図書館に行って、プリントカードを直してもらって、講義の参考資料を印刷。
・・・あり過ぎる。3000円ぐらい使っていました。(ちなみに1枚プリントでほぼ10円)

International business strategyという授業を取ったのですが、毎回assignmentがあって、readingとして、Harvard Business Review とか、California Management Reviewとかが挙がっているんです。図書館で聞いたら、全部e-journalになっていて、PCからアクセスできるようになっていました。すげえー。

たくさん印刷したら、勉強した気になって更にテンションが上がってきました。
そんなに友達と遊ばなくても、きちんと予習して勉強できればいいんですよね。

夕方はジムのカードを作って早速筋トレ。
12月まで使って30000円ほど。おそらくこれが留学中一番の買い物でしょうね。
まあ、頭と体にはお金を掛ける主義なのでしかたない、ということで。

こっちはNPOがジムを運営しているそうな。驚きです。

夜はamazon.frで教科書を買いました。
jpとかcomだと配送料が本代以上にかかるし、seはそもそもなくて、代わりのサイトは高いし。

まさかスウェーデンでフランス語を読むとは思わなかったですね。
確認メールが読めないので、ちゃんと届くのかすごく心配ですが、なんとかなるでしょう。

僕の講義は9月からなので、明日からは予習の日々ですね。
明日はご飯を炊くぞ!


















2008-08-24

first week in Sweden.











(写真は大学の入口)

一週間経ちました。


月曜の夜にスウェーデンに着いたので、まもなく一週間です。
まだ授業は始まらず、orientationとpartyなどなど。
買い物、洗濯、ごみ捨て、掃除、と一通りこなし、ようやくこちらの生活にも慣れてきました。
多少寒い(最高気温が23cぐらい?)ですが、大学が宿舎からすぐなのであまり問題ないです。
物価は高く、はっきりいって2倍。節約しないと本当に生きていけなそうです。


驚くべきは街並みが凄く綺麗なこと。
カナダ人曰く、"typical europian city" らしいですが、こんなに素敵なんですね。驚きです。
そういえば、ヨーロッパに来たのは初めてでした。
建物が古く、同じ高さに揃っているので、調和が取れていて、歴史を感じます。













人も凄く親切で、積極的に迎えてくれる感じ。いいところです。
exchange studentの出身は、カナダ、スイス、デンマーク、ドイツ、フランス、ノルウェイ、中国、台湾、シンガポール・・・などなど。みんな凄く優秀そうで、「ああ、こういうところで勉強してみたかったんだ」としみじみ感じました。


問題は英語。
・・・みんなあんなに話せるのは何でなんでしょうか?というか、この語学レベルで来た自分が場違い?
とにかくみんな英語が堪能で、とにかく早い。聞き取れないって。。。
一週間過ごして、自分が一番英語ができないことが分かりました。やばいやばい。

聞き取れない→話せない→話さない→うまくならない、という悪循環に陥りそうな感じ。

授業は9月1日からなので、それまで予習をして、なんとなく理解しておこうと思うのでした。

12月までには、アジア人は抜いてやるぞ。














2008-08-16

『スウェーデンの持続可能なまちづくり―ナチュラル・ステップが導くコミュニティ改革』(サラ ジェームズ, 高見幸子,トルビョーン ラーティ/新評論)













NGOと環境。



これもスウェーデン系。
内容はNGOナチュラル・ステップの活動紹介です。
日本を含め、世界10カ国で活動する、有名なNGOですね。

活動指針が明確。これはすごい。

1、天然物質の濃度が増え続けない。
2、人工物質の濃度が増え続けない。
3、自然が物理的に劣化しない。
4、人間の基本的欲求を妨げない。


基本的に活動紹介なので、「こんなすばらしい取り組みがあります」が連続するだけ。
組織構築や制度設計に萌える人間としては、うーん、という感じですが。


「何でスウェーデンでできるんだろう?」
「何で日本ではできないんだろう?」
「何で日本では出来ないと思うんだろう?」

どうやら、地域コーディネーターのような役職があり、自治体やコミュニティレベルで雇っているらしい。

日本でも同じようなことはやっているはずなんですが。
きっと何かが違う気がする。



そろそろスウェーデンの本はやめて、日本の本を読まないと。

と言っても遅いか。。。






『モテたい理由』(赤坂真理/講談社)













「エビちゃん現代資本主議論」



タイトルはモテ本ですが、内容は「現代日本論・日本資本主義論」。

戦後、戦争と「大日本帝国」を否定した日本人。精神論の反動で飛びついたのは物質主義・拝金主義。そんな社会の中で生き残るためにオンナは敏感に「美しさ」を身につけ、雑誌はそんなオンナを創り上げるというスパイラルが生まれる。一方、戦争を失ったオトコは徐々にメス化し、「普通の男」が絶滅状態にある・・・。


男性向けに「女性マーケティングの構造」を解説する、というのが具体的な内容。
『CanCam』『JJ』とかがどういう構想で、どういう背景で、どういう人に向けて作られているかが詳しい。

確かに女性誌って、凄い。
ものすごく細かいセグメントテーションがしてあって、雑誌の中にも、雑誌間にもストーリーがある。
買わせる仕組みも巧妙。
夏には冬の服が載り、次刊には冬服を秋用に着こなす術が載る・・・みたいな。



・・・と自分で書いても何だか凄さが伝わらないので、気になる方はぜひ。

惜しむらくはタイトル。「エビちゃん現代資本主義論」のほうが売れた気がする。




内々定先の同期から留学の餞別に?もらった本。
そういう意味の発見が多い本でした。










『21世紀も人間は動物である―持続可能な社会への挑戦 日本vsスウェーデン』(小沢徳太郎/新評論)













「現在の仕組みを変えることが原理的に可能である」(野口悠紀雄)


タイトルは凄いことになっていますが、内容は「スウェーデン万歳!日本最悪」という本。

良いところは、話題が多いところ。制度や政治体制や市民意識やグローバリゼーションなど、様々な分野から「持続可能性」と有識者の意見、自分の思いを書いています。

悪いところは、軸がないこと。この人の専門は何なんでしょうか?論拠が薄弱なため、検証が表面にとどまり、単なるスウェーデン賛美者の域を出ていない気がしてなりません。


環境大国=スウェーデン
経済大国=日本


この構図は分かりやすいのですが、そもそも環境と経済はトレードオフの関係にあるはず。
どこまで経済成長を犠牲にして環境負荷を内部化していくのか、その決定の差が社会の差。

また、その差はそれぞれの社会の「合理的な」決定のもとに出来上がっているはずなのです。
つまり、ある社会にとっては、きっと現状が「最適」なのです。


・・・それがなぜか?そもそも「最適」な状況の何が問題なのか?


それがすっぽり抜け落ちていると、何だか残念です。
書こうとしているのでしょうが、書くべき技術を持たない、というべきか。
もしくは、書いているけど、読み手が理解する技術を持っていないというべきか。




冒頭の引用された野口先生のひとことが一番印象的でした。


変えられると思うから、変わるんでしょう。




2008-08-15

『スウェーデン―自律社会を生きる人びと』(岡沢憲芙, 中間真一編/早稲田大学出版部)













自律と自立と而立。



これもスウェーデンの本です。テーマは「自律」。

これもエッセイ集ですが、最初の2つは体験談とインタビューなので、具体的で面白い。
スウェーデンの実像が垣間見える気がします。

印象的だったのは「自己決定」「自己責任」が当たり前という出産。
そして、社会人になってから大学に戻って勉強ができる社会制度と価値観と大学。


社会人になって、もう一度大学で勉強するなんて、日本では役人ぐらいですよね。
スウェーデンには「リカレント」という仕組みがあり、勤労成人は誰でも望めば教育と労働を交代できるようになっているらしい。

「今までになく、知の欲求がこみ上げてきた」という、ハンバーガーショップでのマネジメントからストックホルム商科大学(おそらく留学先)にパスした女性のインタビューが心に残りました。



「勉強したかったら大学時代に将来決めて、専門性を磨いとけよ」とか言ってませんって。


きっと社会に一回出てから大学に入れるほうが、何かの指標は上がるんでしょうね。










『ポジティブ・チェンジ~主体性と組織力を高めるAI~』(ダイアナ ホイットニー/ ヒューマンバリュー)













Change positively !



覇気のない、やる気のない組織。そんな組織を活性化させ、全てがうまくいくような最高のチームにする方法があったら・・・

本書はそんな手法「Appreciative Inquiry (AI)」を紹介した本です。

知り合いの学生団体の神様みたいな方が「すっごくいいよ!!!」と薦めていたので読んでみたのですが、なんだかすっきりせず、胃もたれ気味です。うーん、知識と経験の差か。。。

①言葉の持つ力
②ポジティブなイメージの大切さ
③ハイポイントを引きだすストーリー
④ドリームにあった組織のデザイン
⑤聞いてもらうことの価値

ポイントは上記5つ。
まとめれば「言葉には人の潜在意識に働きかけ、行動を誘導する大きな力がある。ゆえにポジティブな言葉を発し、自分自身に信じ込ませることは重要で、組織も同様である。そのために組織にとっての最高の瞬間のイメージを言葉としてメンバーから引き出すことが組織活性化の一歩となる。そのためには質問の技術が必要だが、断続的な質問ではなく、連続したストーリーとして質問することが重要。出てきたポジティブなイメージはまとめると大きなドリームになるが、そのドリームに沿って、事業だけでなく組織図や職場のレイアウトまで、すべてを変えていかなければいけない。こうした活性化の前提は、人に話を聞いてもらうということ。自分を理解してくれる人がいるからこそ、人は努力し、夢をかなえようとするのである」

という感じでしょうか。


このテの本は2冊目。
わかったのはビジョンや目的の見直し、共有には途方もないコストがかかるということ。
見せ掛けだけでやると失敗するのですね。


何かとネガティブになりがちな自分ですが、ポジティブなほうがいろいろいいんですね。
性格変えようー。。。









As soon as man is born he begins to die.










終戦記念日。


オリンピックを見てもナショナリズムを感じない私ですが、さすがに今日@東京なら。

靖国神社へ参拝してきました。そういえば、3度目ですね。
去年は確か雨が降っていましたが、今年はやたら暑くて、人も多かった印象。


・・・ニッポンってこういう国だったのか。
何だか、この日は日本の表と裏がここにぶわぁっと出てくる気がして、不思議です。
この国には、見せていいものと見せてはいけないものがあるんですね。


同世代の参拝者は1%いるかいないか。


50年後はきっと空いてるんでしょうね・・・と、去年と同じことを思いました。
時代が変わっても、ここにくるとみんな思うことはそれぞれ変わらないのかも。




お国のために。



2008-08-14

『チームリーダーの教科書―図解 フジマキ流 アツイチームをつくる』(藤巻幸夫/インデックスコミュニケーションズ)













「リーダーとは偉い人じゃない」。


タイトル通りの「チームリーダーの教科書」です。
留学に行く関係上、団体運営を引き継いだのですが、明文化されてないかなあ・・・と探した本。

対象はビジネスマンで、社内で「ヤリタイコト」を見つけ、リーダーとしてプロジェクトをはじめる人。
時間軸に沿って、具体例も織り交ぜながら、わかりやすく、簡潔に書いているよい本です。
この手の経営本の中では、ずば抜けて分かりやすい。

筆者はアパレル出身ですが、この手の本では著名な方。
すっごく「自分がどう見えるか」を理解している人らしい。

本書では単純に目標設定からタスク分担、マイルストーン・・・の技術論ではなく、
「人をどうまとめ、どう動かしていくか」という「考え方」を中心に書いているため、飲み込みやすくなっています。

特に印象的なのは「メンバーを一番よく知り、メンバーにとってよいことを考えることこそがリーダーの資格」というような哲学。お客様は神様、ではない。

メンバーが言葉に出していればもちろん、出していなくても表情でイイタイコトを理解する感性。
それは日々の気配りや会話や心がけという努力から生まれる、という考え方。
実践できているかは別として、すごく同感です。


レビューを書く前に友人に渡してしまったので、忘れないうちに記憶をいくつか。

①ビジョンの作り方
・現場感覚があるか
 ・・・事実をおさえるということ。誰に対しても事実でビジョンを説得できるようにいろんな人の意見を聞くということ。
・夢を持てるか
・社会のためになるか
・???(これ、忘れました)

②怒り方
意識の低下や甘えによるミスの場合のみ怒るべきだそうな。

③問題解決
おおよそ下記に集約されるそう。
・志の問題
・やり方の問題
・組織のあり方の問題
・もうひとつは忘れました。


そのほかにも「顧客からメンバーの変更要請があっても守りぬけ」とか「本音で話し合える場所を作れ」とか、「プロセスこそ評価しろ」「マーケティングとはリスク最小化」「引継ぎまでのタスクをスケジュールに入れて管理しろ」とか、いろいろあったのですが、まだ社会人でないので消化不良気味です。



これが全部「当たり前」にできるよう、自分の中でもチームを作らないとだめそうですね。






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2008-08-12

『地方分権と財政調整制度―改革の国際的潮流』(持田信樹編/東京大学出版会)













スウェーデン社会の本質。


スウェーデンシリーズの一冊です。
いろいろ読んでいたのですが、結局のところ、本質は財政じゃないのかと思って読んだ本。
編者は経済学部の財政学の先生。やさしそうな先生でした。
いろんな方が各国の財政制度を書いているという論文集。

①巨大な公共部門
・・・政府支出全体がGDPの65%(日本は38%)。ただし、所得移転を除く。
②県・市町村の明確な役割分担と自立
・・・県支出の9割が医療、市町村はほか全部。自治体は7割が自主財源で規模も小さい。
③政治の透明性
・・・公的補助が政治資金源。企業献金はもらわない慣習がある。
④投票率の高さ
・・・80%ほど。

これらをつなげると、「地方福祉」。

結局は、そういうことではないのかと。


税金が重くても、安心・安全を求める国民がいて、180年間戦争がなかったことへの政治的な信頼があるがゆえに、自らの意思を投票行動でリクエストする伝統があり、それを実現する政治がある。そして高負担・高福祉を達成するための制度として、明確な自治制度が発達した、

と考えていたのですが、

福祉国家の形成期の1960年代、スウェーデンは国ではなく、その役割を地方に任せた。その結果、地方では福祉サービスを賄うために増税が行われた。増税緩和の法律は何度も作られたが、結局は福祉サービスの享受が優先され、財政制度もそれを支えるように変化してきた。福祉サービスの供給はほとんどが公共部門によるため、市民の監視が厳しく、サービスが向上した。



スウェーデン財政の特徴に「水平的財政調整制度」というものがあります。
平たく言えば、「自治体間の格差是正」。ふるさと納税的な発想かもしれませんね。裕福な自治体が、貧しい自治体に歳入を移転する、ということ。

要は「地域が自前で公共サービスを提供する」という目的があり、福祉や教育の供給主体が公共部門だけであったことから、その重要性が増し、結果的に、手段として自治の仕組みや財政制度や政治への参加意識が高まっていったのではないか、というのが現状認識。



まあ、正解なんてないんですけど。













2008-08-11

『スウェーデンを検証する』(岡沢憲芙/早稲田大学出版部)













ジャンボ機。


文字通り「検証する」という印象。
スウェーデン社会の入門書です。
というのもなぜ、スウェーデンなのか、から考え、その後スウェーデンに対するイメージから入って、丁寧にそれぞれを解説している。


これによれば、スウェーデンとは<生活大国>であるそう。
出版当時(93年)、日本はバブルから多少後退したころであり<経済大国>との対比がしたかったのでしょうが、読む限り、その言葉に嘘はなさそうです。


高齢化・国際化・情報化・・・多くの政策課題を先駆けて体験した「フロンティア国家」スウェーデン。
180年間戦争をしなかったことで、社会資本の完成と、環境保全意識の高揚と、何より、政治への信頼を生み出しました。課題に対して、先送りすることなく、政治レベルで解決するという、デモクラシーの伝統がある、らしい。

俗に言う<スウェーデンモデル>とはウーロフ・ルイン教授(ストックホルム大学)によれば
①包括的な福祉システム
②平和的・協調的・効果的な労働市場
③合意形成を優先させる政治課題解決技法
であるそうな。


確かに、税金は高い。付加価値税(消費税)が25%ですよ。
そして、勤労意欲は低い。「あれほど病気になりたがる国民はいない」らしい。
公共部門は馬鹿でかい。国民の3人に1人が公務員(もしくは準公務員)ですよ。


でも、それらもろもろ納得ずみで実行しているという印象を受けます。
負担が大きいなら、それだけリターンを求めればいい、みたいな。

納得しなければ、変えればいい、そんな軽いノリの熱さを本から感じました。

「ここで忘れてはならないのは、スウェーデン型のきめ細かな公的福祉を基盤にした福祉国家は超大型のジャンボ機だということである。はたから見ている限り、あんなとてつもない巨大な鉄の塊が空を飛ぶはずがない。この超大型ジャンボ機を飛ばすためには、膨大な燃料が必要。よほど大きな浮揚力をつけなければジャンボ機は舞い上がらない。また、安定飛行を続けるためには広大な翼も必要。翼は広大なコンセンサス、燃料は膨大な財政、つまりは税収。」


このジャンボ機を操縦するのが、政治家でなくて、市民なのでしょうね。


そろそろ岡沢さんのは終わりにして、次を読みます。














2008-08-10

The strength of the chain is in the weakest link.

「やればよかったのに。意味なんて後からつければいいんですよ」



そういわれました。
・・・確かに、今考えると全くそうなんです。
先週に企画していたイベントを、事前に告知していたにも関わらず、取りやめました。
この文面だけ見ても「何でやらなかったの?ありえない」という感じ。
自分で自分を疑います。やりゃあいいんですよ。やりゃあ。あああ。


最近、団体運営がイマイチです。
臭いものに蓋をしている感じ。


そう分かっていながら、何だか動けない自分。過ぎてゆく時間。
いや、手は打っているんです。が、ことごとく上手くいかないのです。
一発で解決しようとして、結局何にもできないで終わる感じ。
もがけばもがくほど深みにはまっているようで、本当に泥沼なのです。




①学生団体の目的とは何なのか?
②トップの役割とは何なのか?



根源的にはこの問いが自分の中ですっきりしないだなあ、とさっき電車で気づきました。
いや、それぞれは黄金率のような普遍的な答えなんてなくて、自分で定義するしかないのだといま思っているのですが、そう思っても、明確な答えが出せないのです。

①について
・・・目的は学生の成長と社会貢献。抽象的には「学生にとって成長の糧になることに、社会的な価値を付与して発信する」でしょう。が、「学生の成長の糧」が「学生のヤリタイコト」と必ずしも一致しない。好きなことばっかりやっていくのがその人にとっていいのか、というとそうでもない気がするのです。しかも団体ですから、個人の違いもあるのです。定量化できないし。「学生の成長の糧」と「社会的な価値」が一致しないことだってある。「社会的な価値」と「学生のヤリタイコト」だって。。。
おそらく、この悩みを取り除く装置が「団体理念」であり、「活動目的」なんでしょうね。要するに「やるべきこと、やるべきでないこと」の判断基準を作るということか。しかし、文字である以上定量化もできないわけですし。制度として構築しても・・・。うーん。「機械のような、人の気持ちを考えない人間」を想定している自分が垣間見えて本当にダメですが。。。

②について
・・・まず、「自分のヤリタイコトをメンバーにやらせる」のか「メンバーにそれぞれのヤリタイコトをやらせる」なのか。その上で、どこまで動くべきなのか。どの期間の最適化を取るべきなのか。相手の人生の中での価値基準で判断すべきか、団体としてのプロジェクトの期間として判断すべきか。トップがいなくなったら回らなくなっても、瞬間的なパフォーマンスが上がるなら動いていいのか。どこまでトップダウンで、どこまでボトムアップなのか。人と組織、どっちを重視して考えるべきか(これは①関連ですけど)。



企業でなくて、政府でなくて、学生団体なんです。
お客様でなくて、有権者でなくて、学生なんでしょうか?
利潤でなくて、世論でもなくて、何なのでしょうか?
お金でなくて、票でなくて、・・・何なんでしょうか?





考えすぎるのは自分の悪い癖。
と分かっていても、考えないと進めないのです。
何だか、自分自身の生き方の根源にある悪い部分から発生している問題である気がして、
この機会に膿を出してしまいたい、と思うのですが。。。

動けば景色は進むのでしょうが、自分の哲学が揺らいでいて、自信がないのです。



・・・と、書いて少しすっきり。明日みんなに相談してみます。






今日は約3年ぶりのすっごくいい日だったのですが、何だか自分はダメですね。




TO:自分

「本なんて読まなくても、難しいことなんて考えなくてもいい。自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の頭で考えて、自分の言葉で語ってください」











2008-08-09

ごまとアーモンドのフロランタン











フロランタン。


やばい、これは美味しすぎる。。。
やはりと思ったのですが、こういう「甘いクッキー系」が好きなんですね。
・・・これだけ作ると、本当にいくらでも食べてしまいそうです。苦笑


クッキーにアーモンドキャラメルを載せて焼いたお菓子です。

以前材料をいろいろ無視して失敗したので、2度目の挑戦。
レシピがすんごく簡単なのです。このコストパフォーマンスでこの味は凄い。


アーモンドが少ししかなかったので、ゴマで代用。
こういう緊急時のアイデアで切り拓ける世界が料理の醍醐味。




あー、おいしー。






2008-08-08

『スウェーデンの経済―福祉国家の政治経済学』(岡沢憲芙,奥島孝康/早稲田大学出版部)


















経済と人と環境。


スウェーデン入門書第二弾。
タイトルがタイトルなので、読んだのですが・・・。なんかいまいち。

内容はスウェーデンの経済、関係の論文集、という印象。
なんだかつぎはぎだらけで、ちょっとかっがりしました。古いし(94年初版)。

・労使関係の特殊さ(多次元モデルらしい。よくわからないけど複雑)
・間接税(付加価値税)中心の財政制度
・GDP7割に達する政府財政規模
・とはいえ、歳出の6割は所得移転
・北欧以外、外国人移民は原則不可能

・県(医療)と市(教育・福祉)の明確な役割分担

財政制度と地方分権が興味深い。
日本の財政規模は80兆。GDPが500兆ですから、17%ぐらいです。
まあこれは、政府が小さいのか民間部門が大きいのかどっちかは定かでありませんが。

きちんと地方に独自の財源があり、役割分担が明確であれば、分権はうまくいくのかなあ、
という経済理論の発想ですが、スウェーデンを見ると、その通りのように見えます。


いろいろ書いてますが、本質的な政策のパッケージはそう違わないのでしょうね。

違うのは、環境と人?


『週刊 ダイヤモンド 2008年 7/26号』(ダイヤモンド社)













バランスよく、食がわかる本。


先日、待ち合わせ時間のときにふらっと書店で見て衝動買いした本。
(なんだかそんなのばっかりですけど)

この手の本は最近多いのですが、
特集ページ数がそもそも少なかったり、情報が白書丸写しだったり、と読む価値なし、が大半。
・・・と思っていたら、この本はまったく違いました。

60ページぐらい、特集されています。

ストーリーの組み立てがうまい。
農業の現状から、フードシステム関係者(生産者、小売、加工)へのインタビュー
国際貿易の歴史、農業政策の矛盾や、食品産業の現状・・・。
有名農家さんがこれだけ一度に出てくる本も珍しい。

本当によく書いてあって、驚きます。
要約すれば「農林水産省もよくやってはいるけど、いろいろ問題があるよね」という感じ。
わかって批判するのと、わからずに批判するのは全く違うのです。

基本的には、政府がいうことはもっともなわけです。
しかし、税金を使う以上、いろいろ不自然な圧力(いわゆる無駄)が加わってしまいます。
しかし、政府はそれを明らかにできない。だから嘘の塗り固めが重なっていってしまう・・・。
その辺は日本の政府の失敗の本質である気がしますが、補完するのはマスメディアなはずです。

その辺をふまえて、具体的に書いている。きっとすごくやり手の記者さんがいるんでしょうね。

・食料自給率は本当に重要な指標なのか?
・集落営農が農地集約化を阻む


いままで、この手の本は東洋経済>エコノミスト>ダイヤモンド、かと思っていましたが、
そうでもないみたい。

某先生に「記者が向いているんじゃないの?」と言われてそうとうショックだった自分ですが
ダイヤモンドぐらいは受けてもよかったのかなあ、とか思ったり。


ちなみに、Amazon.comでは1000円でした(定価670円)。
こうやって情報に値段がつくのは新鮮ですね。





『スウェーデンハンドブック』(岡沢憲芙,宮本太郎/早稲田大学出版部)













スウェーデンに行ってきます。


こちらでは全く報告していませんでしたが、夏に留学にいくことになりました。
場所はStockholm School of Economics(訳せばストックホルム経済大学)で、国はスウェーデン。
期間は8月18日から、12月30日まで(授業は8月20日から12月22日)。


ちなみにIDEASの世界経済学部ランキングでは
63位(64.19)Handelshögskolan i Stockholm, Stockholm, Sweden
79位(77.01)Faculty of Economics, University of Tokyo, Tokyo, Japan

となっています。

スウェーデンは確かに高い(「スウェーデン学派」という言葉すらある。ヴィクセルやノーベル経済学者オーリンやミュルダールなど、経済学の教科書に必ず出てくる人たちもいる)のですが、同じローカル言語の国で日本の低さは致命的。だって、GDP2位だよ。

大学に来て思ったのですが、日本って工業立国なんですね・・・。
技術屋の国、ものづくりの国、という誇りが日本の大学にはあって、だから世界のレベルも高いという話をどなたかがしていました。実際に研究手法や学生の意識を見ているとそれは本当のような気がします。

設立目的が官僚養成ですから、世界に「知」を生み出すところではないのかもしれません。
でも、今の時代、本当に官僚養成が目的なのか、目的に対して最適化されているのかと思うと、なんだか。
そもそも知らずに入学する自分が悪いんですが。
だからサークル活動ばっかりやってきたわけですが。

と、ぶちぶち言っていても仕方ないので、いろいろ探したところ
学部に交換留学の制度があり、それを利用して行くことになったのでした。
在籍したまま留学しようとすると、これしかないよ、と言われたのですが、冷静に考えると疑問です。
おそらく語学留学以外で、という意味だったのでしょうね。

募集枠が学部に2人しかなく、しかも就職が決まらなければ行かないつもりだったので、
行けるのは夢のまた夢の気がしていましたが・・・こう考えるとちょっと感慨深かったり。
そのために3年で卒業単位を揃えたんですから。

学部進学時点で大学に5年いることが確定していたので、さすがにもういいなあ、というのと
英語を学んで世界のレベルにアクセスしたいと感じたこと
様々な国の人と経済学という共通言語で議論してみたいと思ったこと
きちんと経済学の勉強をしてみたい、と思ったこと

きっかけはそんな感じで。

・・・一応派遣計画書(軽い研究計画みたいなもの)は作成したものの、自分で見てもいまいち。公務員試験のおかげでロクにリサーチもしていなかったので、いまさら本を読んでいるわけです。「お前はもう、死んでいる=はじめたときの問題意識の質で、結果の質が決まる」を地でいく身としてはこのままではろくな留学にならないと。




で、長々書いてますが、一冊目の本。

Ⅰ自然と文化
Ⅱ政治と経済
Ⅲ社会システム・政策

目次でわかるとおり、「研究したい人向けのハンドブック」という印象。
旅行する人とか、一般向けではありません。
日本のスウェーデン研究者が、それぞれの専門分野を簡潔に紹介した記事をまとめた本。

Ⅰ自然と文化
・自然を愛する国民。「自然享受権」が認められていて、私有地の森林を自由に散策できる。
・政治の参加意識が高い。投票率は8割(日本は6割)で女性議員比は45%ほど。

Ⅱ政治と経済
・ナポレオン戦争以降、180年以上戦争を経験せず
・1960年代に急成長、70年代に停滞
・国防は「武装中立」を堅持
・地方自治が経済理論に適っている
-地方税収は均一課税
-地方税収の過半(県:7割、市:6割)が独自財源
-県の支出は保険・医療が8割、市は社会福祉5割、教育3割、環境衛生1割弱
・集権的な労使関係
-組織率は8割ほど
-連帯的賃金政策(同一労働均一賃金)
-連帯的労働政策(能力に応じた労働・賃金)

Ⅲ社会システム・政策
・高校・大学に入試試験はない
・報道の自由を最初に認めた国
・労働市場の48%が女性で、逆M字カーブを描く
・環境負荷をすべて数値化している

「しかしながら不合理が認識されてから制度改革に踏み切る速度と、成果を確実に蓄積していく堅実さは見事である。情緒論や感情論でブームが煽られながらも、一時の感情が去り、冷静に成果を検討してみると、一歩なりとも改革が進んでいなかったことに気づくというのはスウェーデン流ではない。とにかく確実に成果を根気強く積み上げていく技法こそスウェーデン流デモクラシーである」

「中央環境審議会が『スウェーデンの環境負債』を公表した当時のオロフ・ヨハンソン環境大臣は、一連の負債リストを公表する際に『価値あるものはすべて価格を有する。環境問題の核心は、誰に、どの時点でどのようなやり方で環境汚染がもたらす社会的費用を強制的に負担させるかだ』とスウェーデンの環境政策の核心を語っている」


印象に残ったのは、この2つ。

すごく直感ですが、スウェーデン社会の本質は「マスメディアと経済学」ではないかと。

メディアの適切な情報提供力があればこそ、国民の政治参加意識も高まる。
経済学の論理があればこそ、合理的な分権体制や環境負荷の内部化ができ、自律的になる。


という仮説を元に、もうちょっと読んでみます。










『料理の基本 (ORANGE PAGE BOOKS 男子厨房に入る)』(オレンジページ)













「男子厨房に入る」。


そのフレーズとビジュアルのきれいさ&シンプルさに衝動買いした本。

料理をやる男性が好みそうなレイアウトと内容で、
「いいところ突いてくるなあ」とマーケティングの極みを見ました。


シリーズものの中の一冊。
素材ごとにきり方や使い方や旬などを簡単に解説しています。
特に魚のおろし方は写真が多くて大きくてわかりやすい。

きちんと基本を学ばないと何事もだめなのです。

たまねぎの切り方とか、自己流でやっていたのですが、合っていて安心しました。




料理って、素材が一緒でも、作る人によってメニューも味も違うんです。
当たり前ですけど、なんだか面白いですよね。



一ヶ月に一度ぐらいは料理会したいなあ。




2008-08-07

お料理会










「いつ頃から料理やってるんですか?」



考えてみれば、小学校高学年ぐらいから、何か作っていたような・・・。
母が企画した子どもに料理をさせるイベントみたいなのに参加していたんですね。
考えてみれば、いまだに続けている活動の中で一番キャリアがあるかも。




昨日は就職先の内々定者数名と一人のお家を借りての料理会でした。

「壮行会」の名目で、ネタでリクエストしたら採択されたのでした。

そう、僕が作るんです。






最近、真剣に「趣味は料理」で生きていこうかと思っていて。

趣味は人脈の幅を広げてくれるし、料理であれば農業と親和性が強いし。
料理はPDCAのサイクルが短い(し結構評価しやすい)ので学びも多いし、作ると安いし、おいしいし。

みんなが自然に褒めてくれるんで、作ると上達するんですね。



この間サークルの合宿で「味よりも見た目が重要」なことに気がついたので、
目下「見せる料理」を勉強中なのです。大勢に振舞うのは上達の近道ですね。



で、このメニュー。写真はいまいちですが、好評でした。
個人的にも満足の味だったので、まあよし。


①自家製ピザ・・・生地から作りました。
②トマトとキャベツとほたてのサラダ・・・キャベツが大量に家にあったので。
③キャベツと豚肉のおつまみ風サラダ・・・居酒屋メニューの再現。
④トマトとたまねぎのサラダ・・・定番の「これおいしい」ですね。
⑤チーズケーキ・・・写真に出てませんが、いつものやつです。


②が微妙でしたが・・・。今後は素材orientedで作れるようになりたいですね。



壮行会ということで、みんなが本を4冊プレゼントしてくれました。

・・・先月初めて会ったばかりだよ???



みんな話題は尽きない(ようにしゃべる)し、指示しなくてもてきぱき動くし、やさしいし、頭もいいし、
さすが内々定者だなあ、となんだか感慨にふけりましたとさ。



料理会、またやろー。




2008-08-05

It's so nice to see you ageain.

失ったもの、得られたもの。



今日は、午前は昔所属していたサークルの友人とキャンパスツアーのガイド役をやり、
夕方は同じく昔所属していたサークルの先輩と内々定祝いをしました。


・・・ああ、この感じ。という感じ。


考えてきたことも、考えていることも、考えそうなことも、
全部わかりそうな、わかってくれそうな人って本当に本当に貴重ですね。
いてくれるだけで「ありがとう」という感じです。



いままで、失ったものばかり考えていましたが、得られたものだってあったんだなあ、と。
一昔前を思い出したり、出さなかったり。
そういえば、そんなときもあったんだよなあ、とか。



料理はおいしくて、プロの技を感じつつ、感激しきりでした。
あまり食にはこだわらない人なのですが、やはり料理がおいしいと会話が違いますね。
シェフに感謝。


小学校でも、中学校でも、高校でも、
得られたものは「友人」と作文に書いてきた自分ですが、
やっぱり大学で得たものも「友人」なのかもしれませんね。




It's so nice to see you ageain.
=またお世話になります。お久しぶりです。


会話を感じよく終えたいときに使うらしい。英語もやらんとね。










2008-08-03

Choose a wife by your ear rather than by your eye

伝わるものと伝えたいもの。



31日、大学のオープンキャンパスで、高校の後輩の宿泊先でお話をしてきました。
1日、銀座で、高校の(文化祭の)先輩に就職祝いをしてもらいました。


・・・変わったのかなあ、と思ったり。


31日は吉祥寺のホテルの会議室で後輩51名に対して先輩7人ぐらいで説明会。
ふたを空けてみたら、うちの大学の文系代表で話すことに。僕が一番年上なんですね。苦笑

大学の魅力とか、楽しさとか、思わず入学したくなることを伝えるべきだったのですが、
「目的意識がないと大学に入る価値なんてない」とか言ってしまいました。
僕が最初だったので、みんなそんな風な話に。いや、本当にすみません。


・・・5年前にそんなことを言ってくれる先輩が欲しかったなあ、と思って。



1日はお祝い。

文化祭の先輩です。もう、一生お世話になる先輩方ですね。
みな東京に就職したとは、不思議な話。

「丸くなったねえ」と言われ、やせないとなあ、と思いました。笑
そういえば、入学から10キロぐらい増えている気がします。
最近3キロぐらい落ちたのであと4-5キロはいけるのではないかと。

いや、やさしくなったのかもしれない。






自分の今を見てそれぞれの将来を想像する後輩たち。
それぞれの今をみて、将来を想像する自分。




今の自分って、過去と未来のどっちなんでしょうね。



先輩好きの後輩嫌いだったのですが、後輩と話す意義に気づくこの頃です。













2008-08-02

『独創は闘いにあり』 (西澤潤一/新潮文庫)

















独創と基礎。


高校OBの本です。
現在仙台二高の同窓会長を務める西澤潤一先生。現在の首都大の学長ですね。

東北大学工学部の名誉教授。
「ミスター半導体」とか「光通信の父」の別名があり、日本より海外のほうが有名、らしい。

毎回実家に送られてくる同窓会報に、西澤先生のいかめしい感じのお話が載っているんですね。
気難しそうなおっちゃんだなあ、と思っていたのですが、非常にいい本で驚きました。


内容は自伝&「独創の生み方」。
生まれから研究者までの道のりとその後の数々の発明・発見をかなり詳しく書いています。
記憶が明瞭なんですね。すごく具体的。僕は電気工学は専門外ですが、何かが一緒です。

「俺はこんなに先進的な研究をやってきた」
「日本の学会はダメだ」
「独創とは基礎努力の積み重ねである」


驚くべきは、「問題意識」「仮説」「現場」という、政策立案と共通の言葉が登場すること。
やはりトップで挑戦している人が達する境地は一緒なのでしょうか。

彼はAA型らしい。
道理で感性が合うはずで、山本権兵衛が好きだと言ってました。




結局のところ、独創研究があるか否かの差は、ほんのわずかなもの、らしい。
既存の理論の積み重ねでは得られない壁にぶち当たる。
そこで「予感の持てる仮説」を立てられるか、が勝負の分かれ目になるそうです。

もちろん、既存の理論に反するものはたくさんの批判があるわけです。
その極限状況の中で、自分の頭でどれだけ考えられるか、そこで何かひらめけるか、が重要らしい。

「私の経験からいえば、どんなに大きな発明といえども、常にそれほど大きな飛躍があるわけではない。ごくごく些細な段差に気づいて越えるかどうかで、あとで決定的な違いが出てくる。ふつうの人は、このごくわずかな差に気がつかず見逃してしまう。その注意力は、現場でどれだけ試行錯誤を重ねてきたか、ということで修練される・・・その訓練の積み重ねが多ければ多いほど、緊迫したつばぜり合いに耐えて、目の前の事象を見逃さず、誤たず、判断することができる。いちはやく『わずかな差』を越えることもできる。そして、結果的に『巨大な差』をもたらすことになる。発明発見とはそういうものだ」

注意力(=目的)を持ち、それに通じる基礎(=過去の知識)をくまなく学ぶことで、些細な事象の中で「過去の知識」と「未来の知識」を選別することが可能になり、後者を明らかにすることが発明発見である、ということでしょうか。いわゆる発明発見とは、「作り出す」というよりも、「切り分ける」なんでしょうね。





小学校のころは東北大の工学部に進みたいと思っていた自分。両親も理系ですし。
ミニ四駆にはまっていたり、科学館の発明クラブに所属していたり、思えば理系人間だったんです。

小学校高学年~中学校にかけて、社会科や経済のような「世の中の仕組み」系に興味が出たので、
迷うことなく文系に進んでいましたが、理系に進んでたらどうなったのかなあ、と考える今日この頃。


やってることは違っても、考え方は一緒だった気がします。



2008-07-28

The strength of the chain is in the weakest link.

組織と人間。



「社会は気持ち悪いよ。人から仕事を発想するんじゃなくて、組織の機能に人をはめ込むんだ」

官庁訪問で言われた一言でしたが、最近になってこの言葉がアタマを駆け巡っています。

社会的意義から発想すべきか、個人の希望から発想すべきか。
答えは両方の中間なのでしょうが、それってきっと職人芸なわけです。
あまりじっくり話し合ってる時間がないわけです。



・・・団体運営って、やっぱり難しい。


もともと全体を見るとか、バランスをとるとか、色のないキャラクターが得意ではない、プレイヤータイプなのです。だからそれなりに勉強して臨んでいるつもりですが、それでも必要なことの1割ぐらいしかできていない。先天的にデキる人が羨ましい。


一人ひとり、意見が違って。
そもそもの視点が違うから、比べられない世界。
それを一つひとつ解きほぐして共通点を探していく作業。
ちらつく「作業効率」「価値の最大化」の言葉。

同質的な人間としか付き合ってこなかったツケが、今頃回ってきているようです。
自分はこういう立ち回りで楽しめているのか、組織に最大限貢献できているのか・・・。
悩みは尽きませんが、自分で検証してみるしか答えを出す方法なんてないし。



「一人ひとりが楽しんでいて、全体としても意義のある活動をする組織」

理想であり原点ですが、難しい。


マネージャーかプレイヤーか。
組織か人間か。

役人になるわけですけど、最近そんなことが悩みだったりします。
自分の専門も考えつつ。














2008-07-27

『会社はこれからどうなるのか』(岩井克人/平凡社)













資本主義と人間。


岩井先生の本です。神保町の古本市で3冊500円。即購入です。



本書を要約すると

「社会の差異性から利益を生み出すことで発展してきた資本主義は、グローバリゼーションの進行による世界の均質化によって、行き詰る。したがって今後の資本主義は、人間内部に蓄積された知識(もしくは人的資本)を差異性として発展するしかない。なぜならば人間には均質化し得ない意思があり、人的資本の発揮いかんは個人の意思によるためである。法人は、人的資本を囲い込み利益をあげる器として、今後ますます人間本位の形態に発展せざるを得ない」


てな感じ。


もともとは世界で5本の指に入るような数理経済学者。
数値モデルでごちゃごちゃやる理論系です。

そこから現代資本主義論や社会と経済の関係性の研究(貨幣論など)に移行し、現在は法人論を扱っているらしい。

で、その資本主義論(マクロ)と法人論(ミクロ)が実は一つのテーマにつながるのでは?とひらめいたことがきっかけで、この本を執筆したそうな。



サークル運営と農業経済の勉強をしていた自分も、これまでの経験がこの本で一つになりました。

で私の考えを入れると


「社会の差異性から利益を生み出すことで発展してきた資本主義は、グローバリゼーションの進行による世界の均質化によって、行き詰る。したがって今後の資 本主義は、人間内部に蓄積された知識(もしくは人的資本)と、自然条件を差異性として発展するしかない。なぜならば自然環境とは均質化しえず、また、人間には均質化し得ない意思があり、人的資本の発揮 いかんは個人の意思によるためである。法人は、人的資本を囲い込み利益をあげる器として、今後ますます人間本位の形態に発展せざるを得ない。加えて今後は、自然条件と人的資本の結合体である一次産業が資本主義を担う存在になるだろう



・・・都合よく解釈しすぎかな。ただ、理論的には正しい、はず。

卒業前に、岩井先生にちょっと議論を吹っかけてみようかなあ。




『ONとOFF』(出井伸之/新潮文庫)














趣味と経営とソニー。



最近、困っていることが。

・・・「OFF」になれないのです。


気がついたのは帰省中。何にもしないでいることができない。無目的な時間を過ごせない。

松島に行って、ヨット部のハーバー(活動中は沖に出ているので、戻ってくるのを待たないと会えないのです)を待っている時間に、「英語の問題集とか持ってくればよかったなあ」と思い、ふと我に返りました。
そういえば、官庁訪問中もしきりにTOEFLの単語帳をやっていました。

目的意識を持って生きようと思ってそろそろ3年。
料理、お茶、筋トレ・・・もちろん好きだからやっているのですが、それなりの目的があってやっている面もあるわけです。
そんなことにふと気づくと、そんなんでいいのかなあ、と思ったりします。
そんな合理的に割り切れる生き方でいいのかなあ、と。

どんなに楽しいことだって、つまらないときもあるし、飽きるわけですから。




で、読んだ本。

著者はソニーの元CEO。
VAIOやAIBOなど、ヒット商品の登場時からその後の停滞期にもトップを続けた方。
本書はその停滞期に社員向けに書かれたブログを一般向けにまとめ直したものです。
人柄は「冷静さを忘れない偉いおじさん」という感じ。
聞く姿勢と意見のある、カッコイイビジネスマンという印象。

内容は
「ソニーは自ら変革しなければいけない」
「こんな素敵な人たちとお付き合いしています」
「こんな趣味もあります」
の3つ。

軽く読める、本です。
各話のタイトルが魅力的なものの、内容はそこまででもありませんが。

ソニーって、特殊なわけです。
世界的な大企業でありながら、常に変革と挑戦が求められる。
「連続線上で考えられる部分と、技術革新などの非連続で考える部分が共存している」。

みんながソニーに求めているものって、売り上げや経常利益のような数字的なものじゃなくて
「わくわくする何かを創り出して欲しい」みたいな感覚的なもの。

それに巨大組織を束ねる経営者としてどう応えていくのか、は死ぬほど難しいと思います。

だからたくさんの本を読み、たくさんの人に会い、たくさんの趣味を持って、たくさんの練習をして、たったひとつ、経営をするんだなあ、と。


いろいろ納得しました。
別に、趣味と仕事がつながっていてもいいんですね。
最初は無意識でしょうが、彼は絶対に意識的です。

もうすこし、インターナショナルな趣味を持ちたいですね。












2008-07-26

『総会屋錦城』(城山三郎/新潮文庫)


















職人と経済人。


ご存知城山三郎の出世作。直木賞受賞作品のようですね。
一冊丸々『総会屋錦城』かと思っていたら、これは7つの作品集。意外と短い作品なんです。


70を過ぎて、病に体を冒されながらも「職人のように」仕事をやり遂げる総会屋のお話。
「職人のように」とは、利益目的ではなく、異常なまでの完璧さを求める、ということ。

総会屋とは、株主総会の空気を支配して、依頼者(経営陣、株主)の有利に議事を進行させる人間。
根回しから、法律の解釈、景気の読み、演説のうまさなど、要求される能力は政治家+官僚という感じ。
結構、すごいです。知識前提で描いているので詳しいし。

完璧な仕事への情熱という明るい部分と、あくまで闇の仕事であるという暗い部分が共存する部分が、
彼の描いた経済というものの本質なのかもしれませんね。


初期の作品なので、表現が丁寧で流れに淀みがありません。
が、人物描写が荒く、主人公すら「なぜこういう性格なの?」がわからず、顔が浮かばないのが残念。





2008-07-23

The chain is no stronger than its weakest link

地元への報告。



土曜朝から月曜昼まで、帰省していました。

大学受験でお世話になった予備校に寄って挨拶して、祖母とご飯を食べて、お墓参りをして祖父母、祖父に報告して、次の日は松島の母校のヨット部に挨拶に行って、その次の日に帰ってきました。

親戚はともかく、ほかは卒業後ほとんど顔を見せていなかったので、
ものすごくびっくりされました。

いや、顔を見せなかったんじゃなくて、見せられなかったんです。
降年したことを伝えるのが、後ろめたかったんです、よ。
報告したって、何だか申し訳ない気がして。




でも、報告したかったのは、就職先や席次とかではなくて。
なんだか自分自身変わった気がするという「かゆい」感じ。



「いままで何でも一番ばっかり目指していたけど、人間って順位のつけられないものなんだと思った。そんなことを忘れない人間になりたい。農業を相手にすると、そんなことを考えながら仕事ができる。だから農林水産省なんだ」




そんなことを話したら、母親がものすごく喜んでくれました。





仙台は涼しくて、珍しく夏バテして、風邪をひきました。

英語の勉強、します。






2008-07-15

じゃがいもとたまねぎの夏メニュー










じゃがいもとたまねぎ。


・・・が母親から大量に送られてきました。
あわせて10キロぐらいあるんじゃないでしょうか。
(しかもじゃがいもは男爵とメークイン両方入っているという丁寧さ!)
いや、使い分けるほど、レパートリーはありませんって。。。

果たしてこの東京で腐る前に消費できるのか・・・と思いつつ心配しても食材は減らないので
料理をすることにしました。で、このメニュー。

①夏野菜(など)のマリネ・・・家にあった人参・鶏肉を使って。
②じゃがいもとたまねぎのイタリアン風マリネ・・・送られてきたものを使って。
③ポテトサラダ・・・送られてきたものと家にあったパスタを使って。

ちなみに、②はウェブからのレシピ。
ジャガイモをゆでて、たまねぎと一緒にイタリアンドレッシングで混ぜるだけという手軽さ。神です。


作ったらすぐにタッパーに入れるというこの性格が、何だかいろいろ象徴していて怖いです。

まとまった時間ができたので、そろそろ家庭に貢献しないとね。






2008-07-13

Nothing is so certain as the unexpected.

人間って、どうやって作るんでしょうか。



いや、そういう意味ではなく、「ひととなり」ですが。。。




官庁訪問中、出会った素敵な人は、入省理由も素敵でした。

何事も「始める理由が、辞める理由」というのが持論な私。
何となく入ってはいけないのです。面白いではだめなのです。選んだ意味がないのです。
やりたいことが明確でなければ、そもそも公務員なんて受験していないのです。


なので、とりあえず現状の思いを語ってみることにします。

そもそも農業は、国の食料安全保障上、重要。
小麦や大豆の値段が上がると、現状ではどうしようもないのです。
もし戦争になったら、戦時中の生活に戻るしかないのです。
特に今後資源や食料が外交カードになる中で、自給できることは外交戦略上、有利。
そのためには、農業界に他産業以上の資源が必要。特に足りないのは儲けようとする若者。



で、そんな中でヤリタイコトは、「農業界を活性化する」「儲かる農業を作る」「農業の国際競争力をつける」「若者が夢を持ってチャレンジできる業界にする」「産業としての農業再建」「農業のイメージを向上」「日本の外貨獲得手段に」・・・いろいろ語ってもどこかで聞いた言葉ばかりで薄っぺらいですが、要は「儲けたい人間が自然に入ってこれる業界にしたい」ということ。


農業って、すごい特殊。
だって、みんな儲からないことが前提で、農業が好きでかつ土地があるから農業をする。

これって、就職と真逆。
だって、みんなそこそこの収入が前提で、好きかどうかは二の次で、何もないから就職する。



産業である以上、やはり「儲ける」ことは重要で、「儲かってる」スターが数名でいいからいることが極めて重要。なぜなら、それを見て新しい人が参入してくるから。農業は生命産業だから儲からないという考えもありますが、それはあなたが考えることじゃない!

今までの農業政策は、「食とは国家の基本」という安全保障的な考えで、国の言いつけを守って、安全保障的に農業をやる農家だけを温存してきたのではないか。それももちろん重要だが、国の言いつけではなく、自分で判断し、自らリスクをとり、企業経営者として営農する農業者のチャンスを奪ってきたのではないか。それが制度上固定化され、農業業界の停滞をもたらし、現状のイメージの悪さにつながり、今があるのでないか?逆に言えば、イメージから変えられれば、産業は変わるのではないか?

とか思ったり。

1社でもいいから、楽天ぐらいの農業者を作りたい。
1団体でもいいから、日本財団以上の農業NPOを作りたい。
どの業界でもいいから、トップを農業関係にしたい。





何だか、いろいろすっ飛ばしてますが、とりあえず現状はこんな感じです。






A black hen lays a white egg.










食育イベントと笑顔。



今日は学生団体のイベントでした。
先月植えた小松菜を、収穫して、調理して、食べる、というイベント。
もちろん、主役は小学生です。規模は子ども5人・大人合わせて15人。


・子どもとの会話が意外と得意
・食育イベント、慣れてきたなあ
・大人(特にお母様)受けが素晴らしくよいみたい
・あくまで、サークル活動。


何ですかね。食育イベントは好きでも、専門家になりたいわけじゃないなあ、と。
でも、入省したらこんなことも仕事として認めてくれるんでしょうか。だったら天職だなあ。



「すっごい怖い顔して指示してるんだもん」


女の子に言われました。不安なときこそ、笑顔。これは課題です。

なぜか、キャバクラのボーイの気分がわかった一日でした。
あんな職場、意外にあってるかも。







More people know Tom Fool than Tom Fool knows.

人生、曲げました。



ものものしいタイトルですが、結論から言うと、進路が決まりました。

嬉しさ半分、悲しさ半分、てな感じです。
もうちょっと嬉しい気がしたんですが、何ででしょうかね。

引く手あまたの中から悩みに悩んで決断した・・・ということではなく、
「言いたいことを言っていたらここしか採用してくれなかった」というのが本音。

内々定をもらえなかったらと思うと正直ぞっとします。2年遅れてこのスタンスは強気です。
こういう綱渡りは、もう懲り懲りですね。。。


「ゼロベースでモノを考えられない。そうなったらおしまい」

「農業が好きなのはわかった、良くしたいのもわかる、だけどそれが日本全体にどう役立つのか?」

「国民は何を求めていて、それが国家の発展にどう役立つのか、そして自分はなぜ他の人よりもその仕事にふさわしいのか」

「学生団体だと人から組織の役割を発想するでしょ?でもここは違う。もともとのfunctionが決まっていて、人を『はめ込む』んだ。気持ち悪いよ」

「話を聞いていても、the農水って感じだよ」

心に刺さったのは、となりの省での面接と待合室で読んだR25の中曽根康弘。










降年からそろそろ3年ですが、確実に何かが変わった、らしい。
自分の中の何かが、ようやく折れたみたいです。人生、曲がった気がする。

いろんな人に報告とお礼のメールをしました。

とにかく、これまでありがとうございました。
一丁前に、人にお礼が言えるようになりました。

これからは、趣味が仕事になるわけですから、死なない程度にがんばります。

がんばるのは好きだし、がんばってる自分も好きみたいなので。
















2008-07-07

『思考は現実化する―ナポレオン・ヒルの決定版成功哲学』(ナポレオン ヒル,田中孝顕訳/騎虎書房)













思考と現実。


その境目を埋めるべく、書かれた本です。
この手の本では極めて有名な本ですが、読むのは初めて。
こういうのが読みたいときってたまにあるんです。。。

読んで納得。・・・言葉が磨きぬかれていて無駄がない。
こういうエッセンスのエッセンスは、言葉に触れるだけで鳥肌が立ちますね。


かの鉄鋼王、D・カーネギーの成功哲学(金持ちになる力?)をまとめた本。
著者のナポレオン・ヒルは単なる編著者に過ぎないのですが、本を書くことで成功哲学を学び、
自らも大成功します。そんなノウハウがぎゅっと詰まった本。

で、結論を言うと、「成功哲学」とは「明確な目標と計画を定め、達成を信じ込ませること」。

①目的を定める
②詳細な計画(目標、期限)を立てる
③目的が達成できることを信じ込ませる

重要なのは③.
紙に書いて、毎朝2回以上、声を出して読むそうな。
宗教チックですが、確かに、これは重要です。
何か明確な目的があると、日常生活がその目的に沿って再構成されて見えるんですね。
要は、完成が研ぎ澄まされるため、「学び」が増える、というカラクリ。


浪人以来、やたらネガティブな自分ですが、それは良くないなあと思う最近。
思考の切り替えが最近の課題ですね。








2008-07-06

夏バテ対策











夏バテ対策メニュー。



久々のゆったりな日曜日なので、
お弁当用のきんぴらとひじきを作っていたら、「夏バテ気味で具合悪い」との妹の声。

暇だったので、買い物に行って、料理を作ってあげました。
食べたら「元気になったぁ!」そうな。食事ってすごいもんですね。

メニューはうなぎと、夏野菜と鶏肉のマリネ。

マリネは、お肉は油で揚げて、他(ズッキーニ、ナス)はグリルで焼いて、
トマトと、酢醤油で絡めて終わり。
本当はにんじんが入って、トマトが入らないんですが、トマトは入ってたほうが絶対おいしい。

こないだ作って個人的にヒットだったので再チャレンジ。
焼いて入れると色がきれいで素敵なんですよねー。冷やすともっとおいしいはず。

夏になって、酢のものを食べたいこの頃。
もうちょっと料理もうまくなりたいなあ。。。






2008-06-29

A carpenter is known by his chips.

委任と責任。



今日、mtgの帰り道にふと
「他人に仕事を任せても、完成までの責任は自分にある」んだな、と思いました。

自分ができない仕事を、他人にお願いしてはいかんのです。
できないままで、放置していてはダメなのです。



・・・と、最近の悩みがすっきり。実は、それが書きたかっただけでした。。。



2時間で終える話し合いが、4時間かかりました。

でも、無駄じゃない、と思える最近。そんな世界って、素敵です。



明日はたぶん勝負の日です。

気合を入れて、もう寝ます。







Not can we do? but we can do.

「『できるか』じゃない。『やるか』なんだ」



久々に飲み会でした。政策勉強会のオフ会。メンバーが素敵過ぎなのです。

そこで、社会人の方にいろんな話を伺いました。

いわれたことは
・責任を取れる、間違いを認められる社会人になれ
・目標を高く


気づいたことは
・コミュニケーションベースって、大事
・優先順位付けが重要


なんだか、環境上、いろいろ考えると「できんのかな」と思っちゃいますが、
できるか、ではなく「やるか」なんです。


そんな人間になろう。




2008-06-28

『GUTS専門記述経済原論・財政学 』(Wセミナー/早稲田経営出版)













唯一、やり残した参考書。



購入してから国Ⅱ対策と気がついた本。いや、不安だったんです。
国Ⅰ対策の記述試験の参考書って、ほっとんどないんですよ。市場が小さいので。
大学受験のときは山ほど参考書があったのですが・・・資本主義とは非情なもんです。

優先順位が最低だったので、最後まで手をつけませんでした(が、ときどき参考にはした)。


オーソドックスな記述対策の本。
経済理論の基礎を満遍なく「記述」しています。国Ⅱ対策、とのことですが、国Ⅰでも問題ない。

記述試験の勉強や書き方って、ほとんどしてないわけです。
どう書くのか、どう記号を使うのか、グラフはどれほど入れるのか・・・などなど、不明なことはたくさん。
そんなことを具体例で確認できる本。どこまで前提にできるのかわかるので、便利です。

経済理論(ミクロ・マクロ)と財政学だけなのが残念ですが、充実しています。

不安な人にお薦めの一冊です。

















『演習 ミクロ経済学入門』(山本賢司/岩波書店)













レベルの高めの演習本。


公務員試験対策の本。
が、買ったのは2年前。駒場のミクロ経済学の試験対策に購入したのですね。
当時は、まったく分からず、途中で挫折しました。苦笑
それが2年後に役立つとは思いませんでしたね。



結構、レベルが高いです。
武隈先生の『演習ミクロ経済学』よりも量が多いし、難しい。

よく海外の経済学の教科書って、演習問題が山ほど載っているのですが、解答がないのです。
なので、この本をサブテキストにすれば、演習問題不足は解消できる、という構図。
著者は海外で教鞭を取っていたので、その辺の不手際を知っているんでしょう。



経済学って、もともと欧米の学問(てかほとんどそうか)なので、勉強法も違う。

ものすごく簡単には
すごく分厚い教科書+たくさんの演習問題×少ない授業(議論形式)、が欧米。
薄い教科書+定期試験ぐらいの問題演習×たくさんの授業(講義形式)、が日本。
みたいな感じ。

僕は問題をやらないと理解しない人なので、欧米のほうがよかったなあ、というのが最近の実感。
いや、要はやる気とやる時間量の問題なんですが。。。


結構、見たことのない曲線が出てくるので、試験対策にはお薦めです。
もちろん、英語ができれば上級テキストを読んだほうがよいと思いますが。









『財政読本 第6版』(井堀利宏,土居丈朗/東洋経済新報社)













公務員試験の教科書。


財政学の本です。
対象は公務員受験生向けですから、おそらく定番。

予備校の先生に「この本から出てるね」と言われたので、購入したのですが、
この本から出ていたのは試験ではなく、先生のレジュメだったような・・・。


経済理論ではなく「制度としてどう運用されてきたか、どう運用されているか」を書いた本。
先生方の考えも織り交ぜつつ、最近の時事にも対応しているバランスのよい本です。

教科書的なので、あまり面白くはないですが、論述対策にはよい本。

やはり、公務員試験勉強限定でお薦めです。








『社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』(イヴォン・シュイナード, 森摂訳/東洋経済新報社)













MBA経営。



MBAとはManagement By Absence=「不在による経営」。
要は半年会社にいなくてもいいような仕事の仕方と、心の余裕と楽しさを持つ、ということ。

パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードの自伝です。
パタゴニア、とはアウトドア用品のメーカー。
「ブランドっぽい(プレミアムのついた)メーカー」というイメージでしたが、
経営者が一年の半分ほど山登りやサーフィンに行くらしく、そこで感じた環境意識を経営理念に反映させているというユニークな企業。初めて有機栽培のコットンを使って服を作った、とかそんな会社らしい。

内容はイヴォン・シュイナードの生い立ちから今まで&経営理念の解説。

ものづくりの技術から経営をはじめた人の話は「世界一の製品を作る」などと明確です。
その点、バリバリのMBA経営者よりも主張が明確で、面白い。



一点気になるのは、「経営、楽しいのかな?」というポイント。
山登りやらサーフィンは楽しそうですが、経営する楽しさは伝わってこない。

「環境を守るための企業」という理念は素敵ですが、個人が掲げるものとしてはどうかと。




仕事って、そんな義務感で「良いこと」をやるもんなのかなあ?







『日本の食と農 危機の本質』(神門善久/NTT出版)













危機の本質?



(珍しく)かなり読まれた農業経済学者の著作です。
農業系の本はやたら複雑で、市場規模も小さいので、あまりよまれず絶版ということが多いのですが、この本は「一般向けに分かりやすく本質を抉った」本として評価が高い。



主張は「農業問題の本質は①国民の当事者意識の欠如②政民官の癒着の2つ」ということ。


①について
いわゆる「お上意識」です。問題を自分で解決しようとしない(どういう定義か分かりませんが)国民。「安心(=信頼性の確保)・安全」を求めて負担をしない、有機野菜を求めても作業をしない、そんな国民像。

②について
政治家・官僚・農協(=JA)それぞれ相互依存関係にあり、中から変われない、という図式。
政治家なくして官僚はないし、官僚なくして政治家なし。農協なくして政策なし。政策なくして農協なし。農協なくして政治家・・・。



たぶん、本当です。
たぶん、みんな分かってるんです。
たぶん、みんなどうにかしたいんです。
たぶん、どうにかできる、はず。



最近は、そんな感じです。














What costs little is little esteemed.

あたまのよさ。



先日の飲み会で、友人に「頭が悪いんで、必死に勉強してるんだー。最近」みたいなボヤキ話をしていたら、もう一人の友人がカットインしてきて「お前の言うことは間違っている」と。




「『頭の良さ』とは想像力。想像力が足りない部分は知識で補うしかない。だから本を読んで、事前に見えない部分を補っていく。それによって、いろんな話が理解できるようになる。それのどこがおかしいのか」

「いや、違う。『頭の良さ』とは、相手の考えをどれだけ理解できるか、ということ。それは知識なんかじゃなく、気配りなんだ。要は相手の立場になって、どれだけ考えられるか、ということ。お前にはとりわけそれが足りない。いくら本を読んで知識を身につけたって、それができていないお前はだめだ。そんな基本ができてないんだから、いくら努力しても無駄だな」




それ以来、ずーっと考えているのですが、目の前の現実を題材として考えているのですが、
おそらく、友人の言葉のほうが正しい。


最近、論文を読めばいっぱしのことが言えることが分かってきて、
なまじそういうことが期待されるので、「論点をおさえる」「主張を整理する」とか、
そんなことばかりしていたのですが、それは自分への諦めと、うわべの塗り固め。


いつからか、自分の頭脳に対するコンプレックスがあって。
浪人か降年からか、それ以外か分かりませんが、負け癖がついているような気がしていて。
本を読むこと、知識を増やすことがこんなものを拭い去ってくれるような気がしていて。

でも、そういうもんじゃないんですね。


要は「頭いいねー」って言われたかっただけ。
でも、本当に頭がいいことって、別のことのような気がしてきています。




「(そんな風に話すと)絶対落ちるよ」

先輩に言われました。



そろそろこんな自分も卒業ですかね。












キャベツのおつまみサラダ










酒が飲める、野菜メニュー。



いや、野菜好きなので、野菜を食べないと落ち着かないのです。
揚げ物ばっかり食べて飲むのは好きじゃないので、
野菜が居酒屋で出てくるとうれしくなっちゃうのですね。



先日、友人と飲み会に行ったときに出たサラダがあまりに美味しかったので、
自分で作ってみることにしました。

見た目は、キャベツの千切りに豚肉ロースがのっているだけなのですが、
キャベツに味がついていて、箸が進むのです。酒飲み用の野菜メニューですね。
なお、豚肉がなかったので、(なぜか)かぼちゃの焼いたものを載せて、代用しています。

父親いわく「(野菜に)味がついていてよい」とのこと。
真意は読めませんが、きっとおいしかった、はず。




ちなみに、今日は郵便局で預金残高証明→スウェーデン大使館→大学で卒業アルバム個人撮影→一人カラオケでストレス解消→ワイシャツをクリーニングに出す→帰宅、という一日。

無駄に疲れました。


◆材料
・キャベツ(1/4玉)
・きゅうり(1本)
・ごま油(大さじ1)
・オイスターソース(小さじ1)
・しょうゆ(小さじ1)
・豚肉ロース(なければ見栄えのするもので)5枚ほど

◆作り方
①キャベツを千切りにする。なるべく細く。きゅうりも千切りにし、3cmぐらいの長さに。
②ボールに野菜を移し、ごま油、オイスターソース、しょうゆとまぜる
③②を冷蔵庫に入れ、その間に豚肉をゆでる
④②をさらに盛り付け、③をのせて出来上がり(※写真はかぼちゃです)



2008-06-23

Ugly women, finely dressed, are the uglier for it

CPUとソフトウェア。



 「一つ一つをきちんとこなせ」「想像力が足りない」「がんばってない」「お前の団体は終わりだ」。

昔所属していた団体で同期の飲み会があり、そんなことを言われました。
2次会には行かず、1人だけ帰って友人にお願いしてスカイプで反省会。

自分から腐ったにおいがします。






足りないのは、任せ方と、考え方。
何でも基本をおろそかにしてはいけないし、あきらめたら終わりなのです。




「相手の立場に立って考える」ことが大の苦手で。
ものすごいエネルギーを使うので、プレゼンの設計とインタビューのとき以外はやらないのですが、それは問題。

「相手に任せる」ことがわからなくて。
失敗したらフォローする、という行動を取っていたのですが、その方法では絶えず失敗は減らないわけで。

「どこまでが自分の責任か」わからなくて。
団体に関することはすべて自分の責任に帰していたのですが、現状固定してしまうのです。


何が足りないんだろうなあ・・・と悩むことに不毛さを覚えていて。
わからないのは情報が足りないから、ゆえに情報量を増やせばよい
とか物理的に思考するクセがついていて。

生産性は上がった気がするのですが、どんどん薄くなってる気がします。
全て本を読んで解決しようとしていたのですが、土台がずれている気がする最近。




生きるって、苦しいですね。



友人って、宝物です。


今日は、御殿下に行こうっと。








2008-06-22

『平成20年版 食料・農業・農村白書20年版 CD-ROM付き 食料・農業・農村白書~地域経済を担う、魅力ある産業を目指して~』(農林水産省編/時事画報社)


















今年の白書です。


今年も農林水産省の白書がでました。
他にも「森林・林業白書」「漁業白書」がありますが、いわゆる「白書」はこれ。
5月26日に出たらしく、「入省希望なら読みなさい」という暗黙のメッセージを感じとり、購入。
無事、読了しました。

ぱらぱら見て、「今年は(去年と比べて)面白いなあ」と思ったのですが、去年のを改めて見たら
去年のほうが面白い。

・・・単純に知識量の変化によるものらしいですね。


いろいろと農業政策が見直されてしまって、足踏み中の農政。
なんだか、なんだかなあ、という感じです。



roles of policy

行政官の役割。



昨日は一日中、田植えに行っていました。
農大の有機農業サークルの田植えにお邪魔。
彼らは、農家さんに畑と家を借りて、有機農業を実践して、販売もしているサークルです。

その、お世話になっている農家さんの田植えだったのですね。
20人で、苗を取り(畑で苗を育てているのですね)、
苗を植え、料理を作り、飲み、語り、本当に貴重な一日でした。




午前中は田植えだったのですが、午後は料理。
通常、農村では男性が農作業で、女性は家で料理を作りながら、その他家事をこなすのです。
3食のほかに、休憩のお茶&お菓子もあるので、忙しいのですね。

いつもは、農作業だけでもっぱら「お世話になる」側でしたが、
この機会にバックヤードも経験しようと思ったのでした。
「料理が趣味なんで」といったら、爆笑されて配属されました。
23人分のてんぷらを揚げる経験は、しばらくなさそうですね・・・。

やっぱり、農村の女性って大変。
料理って、自分で作ると食欲が80%オフぐらいになるんですね。
しかも「お疲れ様」とかいわなきゃいけないし
(実感としては女性のほうが大変だが、疲れたとかはいえない雰囲気)、
男どもは作業の話を通じて仲良くなってるし。。。
いろいろと貴重な経験をしたのでした。

作業の終了後は、宴会。
食事をいったん終えたあとは、農業について熱く語る会が始まりました。
思えば、他はみんな農大生。僕も、形式上は、農業経済の専攻。
・・・日本の農業について熱く語らないはずがありません。

高付加価値化、有機農業は金持ち優先だ、大量生産、農地の集約、地産地消・・・。
当然ですが、みんなの語ることが農業の話ばっかりで、本当に幸せでした。


「高付加価値化や効率化の一方で地産地消とか言っていて、政策は矛盾してないですか?」

「確かに。大きくはアジア経済圏を作りたいという最終ゴールがあって、そこからFTA・EPAがあって、国際競争力強化があって・・・」


みんな、すごくよく考えていて、びっくり。
「さすが東大生」的な頭の良さを発揮できたかは甚だ疑問ですが、
一生懸命話をしたら、なんだか考えているレベルは近いような気がしました。

就農希望の人も何人かいて、文字通り「ガチ」の議論となりました。

「消費者の意識を変えたいですよ。農家はもっと立ち上がってショックを与えてもいいんじゃないですか?」

「それは僕も思うけどね。ただ、現実は難しいから、食育とかをやっているわけで・・・」




語り合いながら、行政官の役割って、こういうものかなあ、と。
要は「全体としてどうなっているかを考え、伝え、全体として良くする」、ということ。

農業は作るだけじゃないし、運んで、売って、食べてもらわなきゃいけない。
それぞれはモノやカネでつながっているのですが、情報はつながっていないのです。
それをつなげて、全体としてうまい仕組みを作るのが行政官なのかなあ、と。

感覚的ですが、情報がつながれば、うまくいくのではないか、と思うのです。



どうして役人を志望したのかというと、
1つ1つの優良事例を作ることではなくて、それを広げることに興味があったから。

いろいろ見ていくと、素敵な農家さんは山ほどいるし、
意識の高い消費者だって星の数ほどいる。
でも、相変わらず、補助金に依存する農家さんも、料理をしない消費者もいる。

昔まちづくり政策立案をやって
「これは面白すぎるっ」と感覚的に選んだものでしたが、やっぱりそれは正しい。


まとまりがありませんが、本当に行政官になりたいですね。