2009-01-31

フロランタン



フロランタン(仏:florentins)=「フィレンツェのお菓子」



思うに、手間の割にもっとも満足度の高いお菓子ではないでしょうか、というほど、簡単でおいしいのがこれ。

食べたいなあ、と思っていたので、さっそく試作。
アーモンドを半分ぐらいしか使わなかったため、まともな部分は一部ですが、味は満足です。

食べたいと思って、40分ぐらいで作れちゃうんだから、世の中とは素敵なもんですね。

問題は食べ過ぎそうなことですが・・・。




『複雑系のマネジメント』(週刊ダイヤモンド編集部,ダイヤモンドハーバードビジネス編集部/ダイヤモンド社)



情報=データ、ナレッジ、ノウハウ


内容自体に価値があるというよりは、当時はこのテーマ自体に価値があったんでしょうね。
ということで、今読むとちょっと名前負けの印象。

出井さん以外は、テーマを与えられて「こじつけ」で書いた感じ。
ネットワーク外部性などの今では当たり前の概念が、インターネット萌芽期には当たり前ではなかったことがわかります。

田坂広志氏の文章を初めて読みましたが、素敵ですね。

彼によれば、情報とは

①「データ」:言語化、定型化が可能
②「ナレッジ」:言語化はできるが、定型化できない
③「ノウハウ」:言語化、定型化ともに不可能

に分類できるそうな。言うまでもなく、豊かな「ノウハウ」こそが企業のコア・コンピタンスであり、また情報のプラットフォームを作り、オープンソースを利用して「データ」を増やすことでコア・コンピタンスが生きてくる・・・ともはや何を言っているかわかりませんね。


サークルの組織設計のために読んだ一冊。
直感的にはリクルート&ソニーなのかなあという仮説。
まあ、もうちょい読みます。






『私の経済学批判』(飯田経夫/東洋経済新報社)



「そんなにこまごまと経済学者の主張を批判して、じゃあ、あなたの考える解決策は一体何なんですか?」

「いや、そもそも経済学では問題解決なんてできないのです。問題の本質は日本社会にあるのですから」



たぶん、端的にあらわすとすると、主張はこんな感じです。



ある先生に「君は飯田経夫を知っているか?ぜひ読んでみるといい。彼の意見には、私もほとんど賛成」と言われ、借りて読んだ一冊。飯田経夫氏は理論経済学者で、名古屋大学教授、国際日本文化研究センター、中部大学各教授を歴任した方。Wikipediaによれば、「独自の視点から見た日本経済論や経済思想史の著作が数多く、論壇で活躍した」人間らしい。

本書は、経済学を知っている人間だけが書きうる、経済学批判です。
尊敬する先生の紹介なので、たぶんにバイアスもあるでしょうが、極めて「まっとうな」一冊。留学以来、経済学にかぶれそうな私をいい意味で経済学から離れさせてくれた作品。これを読むだけで、農業政策に対する見方が90度変わる気がします、よ。


あまり勉強していない私が語るのもなんですが、最近、経済学って、2つの「正しさ」があるような気がしています。

ひとつは「理論的な正しさ」。あるモデルにおいて、証明できる「よりよさ」みたいなものが1つ。政策立案や政策提言の際には、しばしばこの「正しさ」が使われます。こういう制度になれば、より効率的な資源配分が達成できるはず、みたいな。

しかし、もうひとつは「現実の正しさ」。人間が合理的であれば、現実に達成されていることは、何らかの均衡状態であり、「よりよい」状況は存在しないはずである、ということ。この場合、政策を打つ必要性は単に資源配分の問題であり、公平性はあっても、効率性の問題はないはずです。

もちろん、いろんなエクスキューズはあるのですが(あえていえば情報の非対称性や人間の合理性への懐疑)、基本的にはこの2つであり、後者が前者に置き換わっていくことが経済学の発展であるようです。とはいえ、そもそも人間のような複雑な生命体とさらに複雑なその相互関係を自然科学のようなエレガントな法則で描ききろうとすることに本質的な無理があるような気がしているのですが、まあそれはそれで別の話。



本書は、経済学の本質とは前者ではなく後者であるにもかかわらず、前者がもてはやされている状況に対して、警鐘を鳴らしています。うがった見方をすれば、経済学とは、経済学者に騙されないために学ぶ学問なのでしょう。だって、主張の根拠はものすごく基礎のモデルであることがほとんどなのですから。「そんな経済学みたいな未熟なツールで世の中の問題がすべて理解できるはずがないし、解決できるはずもない」という感じ。昔は近代経済学(という言い方もなんですけど)があまり知られていなかったので、それはそれで価値があったのでしょうが、今じゃみんな知ってますから、価値もないわけです。そんなことがわずかばかり実感を伴って理解できるのは、農業経済学をやっていたからでしょうか。



本書の後半は、本質的には日本社会批判です。こういう学者が、「有名な」先生方よりも有名でないのは、問題の根深さを示しているような気がしてなりません、ね。









2009-01-29

『日本宰相列伝⑥ 山本権兵衛』(山本英輔/時事通信社)




「こうしたことから考えても、国際関係は緊密な複雑さを加え一朝事ある場合、一国だけが相手でないことがおこる恐れがある。強力な軍事力をもつ某国に、さらに劣勢な1、2カ国が連合することも十分考えられ、わが国としてはこれら連合国が東洋に派遣できる艦隊の勢力程度を予想した上で、これにまさる艦隊を備えなければならない」(山本権兵衛、帝国海軍としての将来の国防方針より抜粋)



大学近くの古本屋で、衝動買いした一冊。
500円はうーん、ちょっと高かったかな、という印象。

山本権兵衛の生涯を日本史とともに綴った一冊です。
日本宰相列伝というシリーズものの一編。

『坂の上の雲』
を読んで感じるのは、日露戦争の勝利の半分の功績は山本権兵衛にありそうだ、ということ。彼がロシアに物量で勝るだけの艦隊を揃え、東郷平八郎を総司令官に抜擢したのですから、それは当然でしょう(この評価は、あくまで司馬遼太郎視点でしょうけど)。

奇跡って、奇跡的に生まれるものじゃない。

その思想や行動の背景を探ってみたくて、たまたま見かけたので購入したのでした。
甥っ子が筆を執っているので、予想以上に歴史的記述が多く、やや冗長。人となりを知ることができる部分は僅かでしたが、いろいろ勉強になりました。


①分をわきまえる
②論理的に反論する
③全体が見えている
④生活リズムがきちんとしている


①議論において、自分が専門外のことに関しては、容易に発言しない。仕事において、自分が担当外のことに関しては、積極的に関わろうとしない。こう書くと単なる役人体質ですが、要は自己の能力や立場をわきまえ、無駄な議論はしない、ということ。逆に自分がすべきことはきちんとやる。容易に主張を曲げない、ひるまない。

②多少、議論の描写が出てくるのですが、すべて誰かの発言に対する反論。ものすごい遠いところから議論して、相手を説得する印象。当時は国の存亡が第一だったわけで、そこに焦点を合わせれば合意形成は図れたのでしょうけど、極めて理路整然としていて、欧米的。「話せばわかる」ということを実践する姿勢。

③例の日露戦争に向けての国防方針に関しての答申が冒頭の一節。将来が見えている。列強の力関係にあって、日本の立場や実力を、合理的に理解している姿勢が垣間見えます。

④几帳面な性格だったらしい。朝は夏は四時半、冬は六時に起床。生活は質素。酒もタバコもやらない。身だしなみは気をつける。


人生としては、
23歳の時に西郷翁に会い、海軍に一生を捧げる覚悟を決めたそうな。
加えて、25-27歳の間、海軍兵学校の航務研究のために欧米に赴いています。
だから、世界が「見えた」んでしょうね。


一番印象的なのは、顔。
若いときの顔、すごいですよ。




2009-01-28

『蕨野行』(村田喜代子/文春文庫)



シアワセ?



うーん、なんでしょうね。こういう作品はどういう風に形容したらいいんでしょうね。
完璧すぎて、自分の批評で汚したくない、という感じですが、一応。





姥捨ての話。場所は江戸時代末期の貧しい農村。押伏村には、60歳を越えると蕨野という丘へ棄てられるという掟があり、そこに棄てられた9人の老人のお話。「あとは死ぬだけ」の生活のはずなのに、何とか生きようと努力する老人たち。次第に生き生きとして、そして死んでいくのです。方言のような独特の文体で書かれていて、すぐ引き込まれてしまう。



凶作で食糧がなくなると、生まれてきた赤子を殺す。赤子は再び生まれる瞬間を待ち、亡霊となって妊婦に生むように諭す。ようやく生まれても、待っているのは貧しくつらい日々。そして老いれば蕨野に棄てられる。そして死ねばまた赤子に生まれ変わる。。。

ゆたかな現代とは違って、生も死も、「軽い」んだなあ、と。
自然環境が生きるか死ぬかを決めていたんだなあ、と。



先生から紹介された一冊。曰く、「社会福祉、福祉国家などを考える刺激にもなる」とのこと。

要は幸せ、ってなんだろう、という話なのかなあ、と。残りの人生、死ぬだけだとわかっていても、仲間がいれば、食べ物があれば、おしゃべりがあれば、目的があれば、人間って幸せになれる生き物なのかもしれませんね。必要なのは年金制度でも、介護医療保険でも、老人ホームでもないのかもしれない。



巻末で、辺見庸が非常に秀逸な解説をしています。いやあ、勉強になりますね。





2009-01-27

『農業の多面的機能を巡る国際交渉』(作山巧/筑波書房)



自然と文化と経済と経済学。



「多面的機能(multi-functionality)」をめぐる国際的な議論の歴史をコンパクトにまとめた一冊。
取材のために読んだ本でしたが、農業の世界の広がりを感じさせる本でした。

そもそ「多面的機能」とは、国土の保全、水源の涵養(かんよう)、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承など農村で農業生産活動が行われることにより生ずる、食料やその他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能のこと。

要は農業の、食べ物を作る以外の役割、ということ。水田の水を保つダムのような役割とか、日本っぽい風景とか、ムラのアイデンティティーとか、そんなものをまとめた言葉。


が、この概念の捉え方が、国によって違うらしい。

そもそも開発途上国やアメリカ、カナダは「そんなのねえよ」と言っている。EUは多面的機能を認めているけど、「食べ物をたくさん作るから、たくさんの多面的機能が生まれるわけじゃないよね」と言う。日本や韓国は「食べ物をたくさん作ると、多面的機能もたくさん生まれるんだ」と言う。

なぜか?それは主要な農業の違い(水田か畑作か牧畜か)、農業の歴史の違い(旧大陸か新大陸か)、輸出・輸入ポジションの違い(輸入国か輸出国か)、経済段階の違い(途上国か先進国か)が関係している、らしい。


別に、「そうだよね。みんなそれぞれ正しいよ」といえば話は早いのですが、貿易をするためのルールを定めるとなると、そうは行かない。ある国の主張を通せば、ある国の主張が立たないわけです。でも、貿易は統一的なルールの下でやらなければならない。
そこに国際機関の役割があり、交渉の役割があり、経済学の役割がある、はず。


実施コストを含めた直接支払いが、価格支持政策よりも割高になりうる、というのは意外な点でしたが、現実を見ると、鋭い指摘。

考えてみれば、食料安全保障を主張する先進国って、日本ぐらいなんだなあ、といまさら実感。
世界に貢献する農業政策を、というのが最近の自分の考えだったりします。







2009-01-26

いんげん豆の常備菜



豆!


土曜日に福島県の塙町の作り酒屋・南郷酒造で、酒米の仕込みをしてきました。で、道中、道の駅で購入したのがこの豆。大豆と、インゲン豆と、小豆です。まあ、普通の大学生じゃないよね。。。

一応、農産物は国産品を買うようにしているんですが、国産の豆類は頭にくるぐらい高いので毎回内面との葛藤なわけです。。こういうところで買うといろんな意味でいいですよね。調理方法をお店のおばちゃんに聞いたりできるし。野菜だと持ち帰りが大変なので今までは渋っていたのですが、豆なら簡単だしね。保存も利くし。

ということで、帰って早速調理。圧力鍋で煮て、甘い汁に浸す。

・・・やっぱりおいしい。豆の味がする。
お弁当の常備菜が増えてよかったと思うのでした。






2009-01-22

『新しい米政策と農業・農村ビジョン』(生源寺眞一/家の光協会)




経済学の限界。



農業を見る視点としての経済学は重要であるが、純経済学的な結論が正しいと考えるのは間違いである。その理由の1つは、基本的に経済学とは比較静学であり、「よりよい状態」への移行過程やそのコストを考慮しないからである。加えて、人間は利己的であるという仮定がすべての経済現象を説明し得ないことは、経済的には崩壊するはずの共有地が存在していることでも明らかだ。現実の社会には歴史の堆積があり、そこにはその時々の人間の合理的な判断があるのである。「正しさ」とはその現実から抽出されるものでなければならない。昨今の農業政策はWTOのルールに大きく影響されている。しかしこれはきわめて経済学的であり、その「正しさ」は限定的である。ルールや理論の中ではなく、農業の生産や流通の現場に赴き、人々の営みの中から「正しさ」を発見し、その上で経済学の視点を加味して制度を見つめ直すべきである。その意味で、社会学のように純経済学では扱えなくなった対象を記述した学問にも耳を傾ける必要があろう。


推薦されて読んだ一冊。こういうことが言いたかったのだろうなあ、と。
忘れそうな視点、忘れないようにしないと。



『農業経済学』(生源寺真一,藤田夏樹,八木宏典,谷口信和,森建資/東京大学出版会)



歴史の重み。




農業経済学の教科書です。
うちの大学では、農学部の農業経済の講義で使われる一冊ですが、内容はむしろ経済学寄り。
ミクロ経済学の基礎のうち、農業に関連のある分野(生産関数や国際貿易理論や外部性)を扱っています。
国際的な食料問題の中や日本経済の発展史の中から日本農業を捉えるなど、
一般的な話題でも新しい視点で書いており、「また教科書か」とは思わせない一冊になっています。

印象に残ったのは農業の歴史。


まず日本。

感覚的に理解していたのですが、戦後の農政は5期に区分されるそうで
Ⅰ.農地改革期(1945-60)
Ⅱ.基本法農政期(61-70)
Ⅲ.総合農政期(70-76)、生産調整、農地法改正、年金(70)
Ⅳ.地域農政期(77-85)、増進法(80)
Ⅴ.国際化対応農政期(85-)、前川レポート(86)

Ⅲ、Ⅳは知らなかった。農業政策が、規模拡大&自立→地域の充実→地域での農業維持、という方向を辿ったことは、農業政策が一応状況に応じて変化していたということ。「何もできなかった」というのはひとえに産業としての農業に、であって、食料・農村にはきちんと対応していたといえるかもしれません。


そしてイギリス。

100年早い。すごく勉強になる。EUの農業政策はよくお手本にされますが、これは世界で最初に産業革命を達成し最初に農工問題、食料安全保障の問題が生じた国であるために、歴史の積み重ねがあるから、という気がしてきました。文化や制度の問題ではなく、時間の問題。

イギリス、勉強しよう。





2009-01-17

『霞ヶ関構造改革・プロジェクトK』(新しい霞ヶ関を創る若手の会/東洋経済新報社)




縦割りと中心不在。



要はその2点なんじゃないの?というのが読後感。

霞ヶ関の問題点は国民視点に立てていないこと、政策の質が低いことの2つであり、その問題は省庁間の連携不足と横並びの人事制度に起因する。その解決策は・・・というのが大まかな内容。

現役の役人が実名で出版するということで、当時話題になった本です。おそらく霞ヶ関改革の議論としては最も具体的でかつ本質的なのでしょうが、松永さんの本の後に読むにはちょっと字が多すぎました。。。


直感的に思うのは、霞ヶ関って、Second bestやThird bestであって、政策立案機関として最適にdesignされた組織ではないということ。それはほかの何かがきっとBestになっているからであり、それを明らかにしないとせっかくの具体的な提案も生き生きと読めないなあ、と思うのでした。本質的に重要なのは「どうするか」ではなく「なぜできないのか」であると思うのです。

でも、捨てないでとっておこう。



『ⅰ モード以前』(松永真理/岩波書店)



「百頭のライオンの群れより、1頭のライオンに率いられた百匹のヒツジのほうが強い組織であるという戦略論の常識がある。しかし、私はヒツジで、ライオンではない。それで、ライオンを採用し、それぞれが思い思いに仕事をする組織にしようと思った」(江副浩正)



i-modeの立ち上げで有名な、松永真理さんのキャリアを綴った本。大量にあった本を整理する中で、どうしても気になって捨てられなくて、読んでしまった一冊。

彼女の就職活動から、リクルートでの仕事、プライベートと時系列に沿って話はごちゃまぜなのですが、結論からいうとリクルートがどんな会社なのかがわかる本です。以前サークルの講演会で、彼女を講師に招いたことがあり、きっとそれがひっかかりだったのでしょう。

書き方、すごく上手。
思わず引き込まれる真面目な思いと、実際に体験した痛みがそのまま伝わってくる。

リクルート、素敵。
あんな組織を作りたいなあ、と。働きたいということではなく。
いや、少し前の自分だったらこんな場所で働いてみたかったかもしれない。


細かい管理をしない(人は、自由にやらせたほうが放っておいてもやる)
会社がルールを決めない(人は、自由裁量が大きいほどその結果に責任を持つ)
フィードバックに心を砕く(人は、仕事の成果を確認したがる)
加点主義を貫く(人は、減点主義だと新しいことをやろうとしない)
とぎれることなく仕事がある(人は、経験する機会の多さで力量をつけていく)
実績主義をとらない(人は、若いときのチャンスほどありがたがってやる)
ゲームの要素を取り入れる(人は、どうせやるなら愉しくやりたい)
ワイワイガヤガヤやる(人は、おしゃべりすると活性化する)



いま、サークルの未来図を頭の中で設計中なのですが、ゼロからはじめるより、成功例に学んだほうが遥かに早い。リクルートはシンプルで、複雑な組織。でも、きっと個人には、いい。






2009-01-16

『農業問題の経済分析』(奥野正寛,本間正義/日本経済新聞社)


policy persistance



食料・農業・農村基本法(または新基本法、1999)制定にあたっての検討委員会(食料・農業・農村基本問題調査会)の研究結果をまとめた論文集。調査会の目的は「農業ビックバン」と呼べるだけの改革を起こすことにあり、その論理補強の実証研究が中心。基本的にはミクロ経済学の枠組みを使って農業を捉えているため、論文集ですが違和感が無く読めるのがすごいところ。著者はいずれもビックネームなので、アカデミックでありかつ網羅的である点でいい本だと思います。


答申によれば、食料・農業・農村に対する国民の期待とは以下の6つであるそうな

①食料の安定供給の確保
②安全・良質で多種多様な食料の供給と食品産業の健全な発展
③我が国農業の体質強化と合理的価格での食料供給
④農業の自然循環機能の発揮
⑤農業・農村の多面的機能の発揮
⑥農村地域の地域社会としての維持・活性化
⑦食料・農業分野における国際貢献

全部入ってるなあ・・・とかなり驚いたのでした。が、新基本法ではすべてについて適切な対策が盛り込まれたわけではありません。この辺が理想と現実の違いなのでしょう。


「政策の持続性(policy persistance)」という概念を初めて知りました。要は政策が政策課題を再生産してしまうということ。農家の保護が弱小農家を温存してしまうため、さらに農家を保護しなければならなくなり・・・ということ。確かに、日本の農業は典型例。


読む前は本書とまったく同意見だったのですが、これでは産業としての農業は守れても、農村は守れなそうだなあ、というのが読後感です。うーむ、難しい。






2009-01-13

『農業経済学講義』(佐伯尚美/東京大学出版会)



An organic integration?



農業経済学の定番教科書です。初版は1989年、改訂されないものの、未だ読まれ続ける一冊。
農大OBの方と、ゼミの先生に「読みなさい」と言われていたものの、読まなかった自分は本当に愚かでした、というのが読後感。他の教科書に比べて、情報量が多く、とりわけ日本の農業政策(~1985年ごろまで)について詳しいのが特徴。ちょっと玄人向けかもしれません。

農業経済学の定義から始まり、各国の農業の発展段階、国内農業政策の歴史、各種の論点(担い手、農地、農協、農業金融、GATT・・・)と内容は盛りだくさん。すべて最低限のページ数で最大限の情報が盛り込まれています。

農業政策の歴史は、点では見えても、面では見えないもの。
それを物語のように滑らかに伝えてくれるため、非常に分かりやすい。適宜図表を用いて、数字で示してくれているのですが、ほぼすべてが農水省のデータからの自作の表なのです。

これを書くにはどれほどの蓄積と思考と想像力が必要なのかと思い、本当に本当に頭が下がりました。


で、肝心の農業問題への視座ですが、「どうすればいいんだろう」というのが感想。

複雑なんです。すべてが。イメージで語れば、川のようになっていて、本流は1つのはずなのですが、支流が多く、バイパスを作ったりしてもいて、結果的にそれぞれがうまくつながっていない。もっと重要なのは、1つ1つの支流は非常に合理的にできていて、その瞬間のそれだけを見ると、完璧なのですが、全体では不完全なのです。問題の本質が部分ではなく、全体(システム)にあるのです。

直感的には、こういうシステムは人間が設計するのではなくて、市場のメカニズムに任せるというのが正解なのかと思いますが、これだけ歴史のある農業政策でそんな机上の空論は通用しないだろうと思うのでした。と抽象論で語っても意味がないので、もっと勉強しないとね。



2009-01-12

『脳を活かす仕事術 「わかる」を「できる」に変える』(茂木健一郎/PHP研究所)



design and development.



NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でおなじみの、茂木健一郎の一冊。
初版は08年9月24日。同年11月18日時点で、既に6刷なのですから、かなり売れているということでしょう。昔勝間さんの本を買ったときと同じ理由で、衝動買いしてしまいました。

概要としては「東大理学部、法学部、そしてCambridgeで学んだ天才茂木健一郎が、自らの経験と脳科学の知見を踏まえ、仕事術を教える」というもの。頭のいい人って、やり方も「頭がいい」場合が多いのです。そんなやり方のおこぼれに預かろう、というのがこの類の本。

あまり期待していなかったのですが、よく書かれていて非常に驚きました。

①output重視で学べ
・・・できると思うことと、実際にできることには大きな差があるということ。その差は形にして、理想と直接比べてみて初めて認識される。仕事の質の向上もそうした理想と現実との生々しい比較からしか生まれ得ないこと。

②効率的な情報収集
・・・要は、論理的に考えて情報収集すること。世界中で情報の質と量が多いのは英語なわけで、英語を学ぶことが重要。アカデミックな論文でテーマが直接的に近いもののほうが情報の質が高いし、その中でもリファレンスが多いもののほうが(とは書いてませんが)・・・という感じ。

③自分のパターンを掴め
・・・「どうすれば自分は最高の仕事ができるのか」をきちんと知ること。

④思考と現実を紡げ
・・・「出会いが、アイデアを具現化する」という書かれ方ですが、要は日常生活の中にヒントを見つけて自分を向上させていくということ。

基本的には、一般的なビジネス書に書いてある内容で、それこそ王道。
ただ非常に重要なのは、これがわかりやすく(具体例豊富に)、納得しやすく(脳科学というアカデミックな根拠と茂木健一郎の体験談)書かれていること。

これはすごい。というのも、アカデミックな世界に浸っている人間は、周辺の情報が高度に複雑なため、わかりやすい本を書けないはずだからです。
彼は相当に努力しているのでしょう。
そんなことが一番勉強になった一冊でした。

日記、きちんと続けていこう。こうは思っても、こうは書けないもん。








2009-01-08

The targets of 2009

今年の目標。



そういえば年男でした(85年生まれの丑年)が、あまり関係ないらしい。

今年はこんな感じです。


◆活動理念
「いつも100点」(Always Perfect)
・・・120点とか、200点とか取らなくていいけど、90点でも、99点でもダメなんだよなあ、と一昨日ふと思って考えついた言葉。だって、役人だもん。相手の期待に完全に応え続ける姿勢、そのために行う網羅的・継続的な努力。Justで100点を取るということは、すべてを知らないといけないわけで、能力的なものとあわせて2重の意味で難しい。しかも継続・・・。
今まで120点とか、1000点とか、そんなのばっかり狙っていて、たまに10点とか取ってましたが、それじゃあ価値がない。こんな生き方をやめたいなあと思う今日この頃です。
(ちなみに選定理由は英語バージョンがかっこいいからでした)

◆目標
(各25点)
①健康・・・体重変えない。休まない。日記毎日書く。
②清潔・・・毎日掃除機かける。毎週大きめの掃除。毎月大掃除。
③社交・・・月1回は新しい人(年上・年下)と会う。
④勉強・・・毎月専門書(英語)を一冊読む。先生のブックリストを就職までに読破。TOEFL100点、英検1級。TOEIC800点。


◆最近気になる言葉たち
総合力
無我
笑顔
謙虚さ
守って勝つ
きれいに生きる
理解してから理解される
価値は外在化する
Tacitなcommunication
simplicity, simplicity




なんか年々シンプルになってきましたね。Am I improving?




The review of 2008

昨年の反省。



これをやらないと新年明けない第2弾です。
基本的に自己評価は嫌いなのですが、そうしないとサイクルが回らないのでしかたがない。

で、昨年の目的目標sはこんなのでした。

◆活動理念
「危機感を忘れず、未来を定め、謙虚に自分を磨く」

◆スローガン
「日々全力」

◆定性目標
入省する
留学する
卒論書く
恋人つくる

◆定量目標
国Ⅰ10位以内で合格
半年でTOEFL100点以上

◆心がけたち
平常心
笑顔
悪口言わない
早起き
話は短く
部屋はきれいに
今日できることは今日中
余裕を持った生活
自己顕示しない
論語読みの論語知らず


意外なほど達成できていて驚き。なんだか1年前とは別人のようです。。。


できなかったのは卒論&英語ですかね。これは1年前と同一人物。

卒論はあえて書かなかったというものあるのですが、問題は英語。苦手なことはやらないし、やらないですむことはやらないし、ということなのかなあ。できる気がしなかったし、時期的に間に合わないと思ったんでしょうね。1つの目標はほかとのトレードオフなのです。


昨年は一昨年の反省を生かして「評価可能な」目標を立てましたが、これは大成功でしたね。
が、ウェイト付けができていないのはちょいといけなかったかな。

まあ、今年もがんばります。




Got back home!

「価値観、変わっちゃったでしょ?」



31日に帰国してそのまま帰省、6日に仙台から戻ってきました。今はTokyoです。

なんだかすごくすごく体調が悪く、持病の喘息&風邪気味?で更新が遅れに遅れていましたが、書かないと新年明けない気がして手をたたく感じです。レポートを1つ残してきてしまったので、優先順位的にはそれなのですが、頭が回らないのでこっちを更新。


8月から12月まで、スウェーデンのストックホルム経済大学(Stockholm School of Economics)に交換留学していました。現地は3割が交換留学生(exchange students)。非英語圏ですが、communicationは英語。大学ランキングは104位(Dec 2008, 東大は140位)。
学んだことはそれほど山のよーにあるのですが、大きくまとめると、①世界の拡大、②性格の変化、です。


①世界の拡大(an expansion of a view of the world)
英語を通じて、情報量が増えたこと、経済学を通じて情報の質が上がったこと。

②性格の変化(a change of mentality)
自分の強弱を認識して、攻めから守りの性格になろうと思ったこと。


こうまとめるとなんだか味気ないですが、具体的なことは直接聞いてください。
日本人(アジア人)とあんまりしゃべってないので、僕もお話したいです。比較的ひまですから。