歴史の重み。
農業経済学の教科書です。
うちの大学では、農学部の農業経済の講義で使われる一冊ですが、内容はむしろ経済学寄り。
ミクロ経済学の基礎のうち、農業に関連のある分野(生産関数や国際貿易理論や外部性)を扱っています。
国際的な食料問題の中や日本経済の発展史の中から日本農業を捉えるなど、
一般的な話題でも新しい視点で書いており、「また教科書か」とは思わせない一冊になっています。
印象に残ったのは農業の歴史。
まず日本。
感覚的に理解していたのですが、戦後の農政は5期に区分されるそうで
Ⅰ.農地改革期(1945-60)
Ⅱ.基本法農政期(61-70)
Ⅲ.総合農政期(70-76)、生産調整、農地法改正、年金(70)
Ⅳ.地域農政期(77-85)、増進法(80)
Ⅴ.国際化対応農政期(85-)、前川レポート(86)
Ⅲ、Ⅳは知らなかった。農業政策が、規模拡大&自立→地域の充実→地域での農業維持、という方向を辿ったことは、農業政策が一応状況に応じて変化していたということ。「何もできなかった」というのはひとえに産業としての農業に、であって、食料・農村にはきちんと対応していたといえるかもしれません。
そしてイギリス。
100年早い。すごく勉強になる。EUの農業政策はよくお手本にされますが、これは世界で最初に産業革命を達成し最初に農工問題、食料安全保障の問題が生じた国であるために、歴史の積み重ねがあるから、という気がしてきました。文化や制度の問題ではなく、時間の問題。
イギリス、勉強しよう。
No comments:
Post a Comment