2008-03-27

『ルワンダ中央銀行総裁日記』(服部正也/中央公論社)













理想の役人像とは?




4回目の読了です。
僕が役人を目指すきっかけになった一冊。いまだに彼は基本であり、理想です。

概要は、「出向してルワンダの中央銀行総裁になった日銀マンが、自ら経済改革を計画・実施し、奇跡の経済成長を成し遂げる」、という6年間のドキュメンタリー。もちろん実話です。

道に迷ったときに読む(ことにしている)のですが、
読むたびに新しい面で服部氏の凄さを見せ付けられ、向上心が沸きます。

結構ストイックに仕事をしているようで、「この地位があってこそ慕われるのだ」と考えているのですが、
ルワンダを去る時に「人として慕ってくれていたと分かって申し訳なかった」と考えたらしく、思わず目頭が熱くなりました。

それはいいとして、4度目の感想をいくつか。


①人の役に立とうとしない
・・・いろんな人の話を聞いています。ベルギー人の顧問からインド商人や現地法人の取締役、ルワンダの役人や農民・・・だけど「特定の誰かのために」働いているわけではない。「ルワンダ人のため」という究極の目的は揺るぎませんが、個人のために便宜を図るようなことはほとんどない。それは、半年ぐらいルワンダをつぶさに観察して、ルワンダ人は勤勉であり、無駄な規制を排除すればきっと発展するという確信を抱いた結果、「適切な制度を適切に作る」ことを自身の仕事にしたからです。不満を言いにくる人がいても(大抵は能力のない外人商社のお偉いさん)「もし君に適切な能力があればそのような不満が出ないような仕組みを作るから、待っていなさい」という感じ。甘えがない。

②ミクロな数字で考える姿勢
・・・制度構築に当たって、影響を1社1社のレベルで考えている。たとえば通貨切り下げの影響が、ビール工場でどう及ぶのかをコストをそれぞれ調べて利益と損益がどれほど出るのかを1商品ごとに計算している。はっきりいって、現場の人間よりも数字を知っているのです。読む限り、ビジネスマンとしても成功した人だと思います(なお、世銀引退後はケーヨーリゾートの社長に転身している)。

③たぶん、怖い人
・・・近寄りがたい人な気がしてきました。いわゆる「いい人」ではなさそう。もちろんそう努めているわけですが。人柄ではなく、能力で率いていく感じです。真逆ですな。



あと30年しても、このレベルに到達できるのかは謎。ですが、理想があるのはいいことですね。



2008-03-26

『非営利組織の成果重視マネジメント―NPO・行政・公益法人のための「自己評価手法」 』(P・F・ドラッカー、G・J・スターン 田中弥生訳/ダイヤモンド社)













非営利組織と営利組織。



内容はタイトル通り。

団体の評価って、どうしていますか?

一般の企業なら業績は利益で(ある程度)測ることができます。
しかし、非営利組織(NPOやNGOや組合やサークル)は、利益が目的でありません。
でも、評価できないことには改善も成長もありませんし、団体の価値が何かもわかりません。

そんな非営利組織のための評価方法を、理論とワークシートで具体的かつ丁寧に解説した本。
非営利と営利組織の違いや顧客の分類がわかりやすく、これほど本質に迫った本はないと思います。

ただ、自己評価はかなり難しいようで、特別の評価チームを作って半年ぐらいリサーチして
「2泊3日ぐらいの合宿をせい!」といってます。
が、現実的にそのコストはかけられないので、ここではエッセンスだけを紹介します。

①我々の使命は何か?
②我々の顧客は誰か?
③顧客は何に価値を見出しているか?
④我々の成果は何か?
⑤我々の計画は何か?

基本的に、この5つです。
綺麗にWHY・WHAT・WHO・HOWが入っていて、美しすぎます。

①使命について
・・・非営利組織の使命は「社会を変えること」もしくは(それを通じて)「人々の生活を改善すること」。
営利組織の使命が「利益を挙げること」「人を幸せにすること」「笑顔を集めること」であるのと異なり、「どう変えるのか」「善いとは何か」という明確な価値が必要になります。

②顧客について
・・・顧客には2種類いて、第1の顧客は直接対象になる人。第2の顧客が重要で、団体を応援してくれる人、価値観に共鳴する人。非営利組織は第2の顧客から資金を集め、第1の顧客に価値を提供するものなのです。

③顧客の価値について
・・・これは意図していることと、実現していることの乖離に気づくこと。営利組織でも一緒ですね。ここから新たなビジネスチャンスや事業の絞込みが生まれます。

④成果について
・・・これは評価軸です。①②③を健全に継続するために指標が必要なのですが、上から順にやっていけば自然に見えるでしょう。

⑤計画について
・・・これはそのままですね。





実は訳者はいろいろとお世話になった先生。
専門は評価論でしたが、その意味がわかりました。今後もお世話になりたいもんですね。





『入門マクロ経済学第5版』(中谷厳/日本評論社)













ザ・教科書第二弾。


国Ⅰ経済職の指定テキスト第二弾です。
ソフトカバーで読みやすく全頁カラーで見た目もきれいなのですが、もう少し書いてほしい、という印象。
特に国際マクロ経済学が不十分すぎて、誤解しそうになります。

でもほかの「ちゃんと書いてある」本は難しいんだよなあ・・・と思ったり。

教科書はいろいろ難しいですね。


2008-03-25

『ミクロ経済学(新経済学ライブラリ)』(武隈慎一/新世社)













ザ・教科書。



いわゆる国Ⅰ経済区分の指定テキスト。
「意味わかんねえ」と毛嫌いしていましたが、
読んでみるとコンパクトにスタンダードな内容を良く書いているなあ、という印象です。

本当はスティグリッツを読んで、マンキューを読んで、ヴァリアンを読むはずだったのにね。。。





『コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践』(エティエンヌ・ウェンガー他/翔泳社)













大人のサークル入門。


大人のサークル入門、という感じ。

大人の、というのは、知識を核にして緩く繋がる、という意味。
学生サークルみたいに、専門を持たない学生が集まり、時間を使いまくるという感じではありません。
あくまで自分の専門を持ち、労力ではなく知識で成果を出す集団という感じ。

一年ほど前に知り合いから紹介された本で、長らく気になってはいたのですが、読んでおらず。
サークル運営についてちゃんと勉強しようと紹介してくれた人に借りて読了しました。

コミュニティ・オブ・プラクティスとは意訳すれば「実践する仲間たち」みたいな意味。

いろんな知識を持った人が、それぞれのメリットを感じてサークルに集まる、
そして全体として世の中に新しい価値(=知識)を生み出していく、そんな方法を紹介しています。

多少長く、重複がありそうなのが難点ですが、よく書いてあって事例も豊富で良い本です。
今までは『非営利組織の経営』(P・F・ドラッカー/ダイヤモンド社)ばかりでしたが、
他の本を読むと新鮮ですね。





ポイントは①コーデイネーターの必要性、②専門と役割の結束、③共通で刺激的なテーマ設定の3つ。


①コーデイネーターの必要性
・・・能力のある人が自然に集まり、コミュニティが形成されるのではないということです。そこにはみなを集めて、うまく運営する「コーディネーター」が独立した役割として必要。彼は一流の専門家であるというより、広く浅く知っている人間であることが重要だそうな。

②専門と役割の結束
・・・コミュニティの参加者は、自分の専門性とコミュニティ内での役割が一致していることが要件。要するに自分の欠点を補い合う集まりではなく、自分の長所を伸ばしあうのがコミュニティだということです。コーディネーターは参加者がうまく能力を発揮できる場所を作ることが求められます。

③共通で刺激的なテーマ設定
・・・専門家である参加者が集まるための「エサ」です。皆が刺激的に思えるテーマを設定し、設定し続けることで彼らの貢献を引き出さなければなりません。これは広く浅いながらも、世の中の流行をつかむ力がコーディネーターには必要ということですね。


ちなみに、コミュニティの目的には4つあるそうですが、1つ忘れました。
1、困りごとのお助け
2、ベストプラクティスの共有
3、イノベーション
4、???







2008-03-23

keep challengeing

挑戦の継続。


企画していたイベントが終わりました。
イベントは「未来の食と農を作ろう!」というもの。未来の食卓を作って、未来の理想を考えて、理想へ向けた行動をしている見て、自分たちが何をするのかも考えて、考えたことを他の人たちにも伝える、という気がついてみれば盛りだくさんな感じ。

一生終わらないような気がしていましたが、終わってほっとしました。

主催者(というか代表)でしたが、一番楽しんでしまい、ロジスティクスがゼロでした。
でも、心の階段を上った気がして、とにかく良かったです。

学んだのは

①挑戦し続ける姿勢

・・・重要なのは「何ができるか」を問うことではなく、「これができる」と信じて行動し続けることだなあ、と。
農家の方、米屋の方、組合の方、いろいろ話を聞きましたが、共通していたのはとにかく前に進み続ける姿勢。すごく眩しくて、何ができるんだろう、と悩む自分をちっぽけに感じました。みなさん食や農の問題を社会構造の問題として捉えていて、ちょっとやそっとでは解決できないからこそ、挑戦し続ける。そして構造を変えることはできなくても、人と人とをつなげることで既存の社会構造にとらわれないよりよいあり方を作ろうとしている、気がしました。

②組織の進化
・・・そろそろ団体もセカンドステージに突入かなあ、と。組織の本質はマニュアル化なんでしょうか。


2008-03-15

Happy white day













ホワイトデー。





一般的には「お返しをする日」でしょうが、個人的には「お菓子作りが趣味なことをアピールする日」。

さっそく焼いてお茶の教室に持って行きました。

今回は家にゴマと抹茶オレの素があったので、プレーン・ゴマ・抹茶の3色。
袋も購入するという気合の入れぶり。

バターが品薄で手に入らないので、マーガリンで、アイスボックスで焼いてみました。
朝に種を作って、お昼に焼く、総作業時間1.5h。早くなったもんです。



で、ものすごく好評でした。一日で株が3倍ぐらいになった気がします。
別に、クッキーぐらい誰でも作れるのにね。男性が作るだけで付加価値が高まるから驚きです。

こういう風に頻繁に作る機会があればもう少し腕も上達するんでしょうけどね・・・。