2010-11-14

『佐藤可士和の超整理術佐藤可士和/日本経済新聞出版社)




「アートディレクターの本質も、まさにそういうことです。整理することでいちばん大切なものを見つけ、磨き上げてデザインする。それがうまくいけば、見る人にメッセージを限りなく完璧に伝えることができる。つまり、僕のやっていることは、ブランドや商品と世の中とを結び付ける、コミュニケーションデザインの仕事なのです。」




広告って、そういうものだったのか・・・という衝撃と納得感。
それだったら広告も政策も一緒じゃないか、という妙な読後感を覚えました。

ベストセラーになった一冊です。
整理術なら間に合ってますと思って無視していたのですが、中身は問題解決の本です。もっと本質的に言えば問題「発見」の本。

①状況把握・・・情報をいろんな視点から集める
②視点導入・・・ある視点(仮説)で情報を並べてみる。優先順位をつける。
③課題設定・・・並び替えたものそれぞれに課題を設定する(=あとはそれをやれば解決)


デザイナーなので、③以降のロジには触れられていません。そういう意味では不完全でしょうが、でも本書のメッセージは具体的かつ鮮やか。良書ですね。

ちなみに、この本がハードカバーなのは彼のデザインでしょうね。ハードだと綺麗なまま整理されるから?


あ、「自然科学とは整理である」という言葉を思い出しました。

結局自然科学って何か新しいことを生み出すわけではなくて、現象を解明する。
それは整理であるというわけです。(といいつつそうじゃない、という方がおられたらごめんなさい)

ちなみに、経済学は完全に整理そのものですね。





『30歳からの成長戦略 「ほんとうの仕事術」を学ぼう 』(山本真司/PHP研究所)




好きなもの×人気のないもの=差別化。




有名外資系コンサル会社パートナーが書く、戦略的な人生設計論、という感じでしょうか。

企業の論理は「同じものを作る会社は2つはいらない」というもの。それを個人に当てはめ、まず「好きなもの×人気のないもの」で差別化し、その差別化した分野をさらに伸ばし安定化する(=独占状態)。必要なビジネススキルは既に本になっているものは陳腐化しておりマイナスを減らすだけでプラスにはならないので超効率的に学ぶ。そのほかPPMに当てはめて自己研鑽に勤め、アウトプット形の学習を行う。精神は無我(利他主義)の境地に達する・・・。


批判的な書き方みたいですが、内心超共感なのです。。。


意識的・無意識にやってきたことが個々に全部載ってて、それ以外(PPMで自己研鑽とか、アウトプットを定義して自己研鑽するとか)も載ってて、やられた・・・という感じ。これほど入り込めてしまうとちょっと怖いですね。自分の心の狭さが凄く感じられてしまいます。。。


一言で言うと「ビジネススキルは本で学ぶものではなくビジネスで学ぶものだ」ということ。
二言で言うと「自分のためじゃなく、他人のために働け」ということ。



まあ、読んでも意味なくて、実践することに価値があるわけですけどね。

フッサールが読みたい今日この頃です。笑





『【ダイジェスト版マイ・ゴール】これだっ!という「目標」を見つける本』(リチャード・H・モリタ/イーハトーヴフロンティア)



「本当の目標さえ設定できれば、必ず成功できる。目標設定とは、成功の秘訣の一部分ではなくすべてである」




ああ、すごく共感。という一冊。

学生の頃人生に迷って人生指南書の類を読み漁った私ですが、結局本当に自分を動かしてくれたのは本に書いてあった自己啓発法ではなくて自分で設定した自分の将来像だった、ような気がしています。

学生の頃サークル運営について悩んで経営書の類を読み漁った私ですが、結局本当に友達を動かしてくれたのは本に書いてあった戦略論ではなく、みんなで考えたゴールイメージだった、気がする。


結局「どれだけ本気になれる・わくわくできる目標を定められるか」ということが重要で、そのためには知らなければいけない、自分自身や他人や組織や環境を、というのがこの本の主張。


思えば、就職活動における自己分析って、想定問答集づくりじゃなくて、目標設定のプロセスだったんですね・・・。完全に意味を誤解していました。


久々にレビューを書くと、悪筆がさらに出ますね。


2010-07-24

why do you live?

あなた、そんなんだったらやめなさい。



先週、異動する先輩の送別会の幹事をやっていたときのこと。

私が尊敬する職場の大先輩にそんな一言を頂いてしまいました。





「最近どうなの?」

「いや・・・。いろいろ難しいですね。こういう政情では。予算もないし」

「別に予算がなくてもできることはいくらでもあるはずでしょ?」

「確かにそうですけど、でも我々は現場を知っているわけではないですから、何をするにも確信が持てないんです。机上の空論で考えたことを実行しても迷惑をかけるだけですし。そもそも、市町村、県、出先機関とか、いろんなプレイヤーがいるんですから、それぞれに役割分担があると思うんですよ」

「じゃあ、国の役割って?」

「結局現場に一番近い人に頑張ってもらうしかないんですから、その人たちのために予算を取ってくることなんじゃないんですかね。現場に行けば行くほど、優先順位は下がってきて独自の予算は取れないわけじゃないですか。だから国で予算を取る。そして現場に近い人に現場に即して企画をしてもらう、それが本来のあり方じゃないんですかね。」

・・・といったところで冒頭のひとこと。

「なぜ予算があるのか?なぜ法律があるのか?なぜ出先機関があるのか?なぜ町役場があるのか?・・・考えたことはあるのか?まず、我々が一人で現場に行って、全部やるんだ。一戸一戸の経営を見て、自分が思う経営改善について、アドバイスする。それが自分1人ではやりきれないときに限って、町役場の人や出先機関に手伝ってもらう。それでもできないときに限って、予算を使う。それでもできないときに限って、法律を作る。役割分担なんて、思い上がるんじゃない。まずお前が経営を見れなくてどうする!俺は現場でずっとやってきて、現場ではできないことがあると思ったから、国に来たんだ。」



この送別会自体は水曜日にあって、この言葉が頭を離れず、ずーーーーーーーーーーっと考えていたのですが、今日久々に築地に行ったり、映画に行ったり、家族と食事していたりして考えが整理できました。キャリアとか出世とかどうでもいいといいながら、実は自分自身、内心すごくこだわっていたんだなあ、と気づいてしまいました。でもふと考えてみれば、そんなことのために生きるのは空しいと思って専門を決めたし、今の職業を選んだんです。





まず、自分1人で、全部やってみよう。





と考えたところで、就職して以来、自分にまとわりついていた何かがふわっと取れた気がしました。その何かは、実はすごく重くて、それが良くないことはわかっていたけど、自分にはどうすることもできなかったんです。。。



あ、当然、やめるなんて考えませんよ!



















2010-04-19

『農協との「30年戦争」 』(岡本重明/文春新書)






うちの社長(?)の発言で話題に上がっていたので購入した一冊。

農協への恨みつらみの一冊かと思いきや、自らの半世紀&アイアントライアングル批判&自分の農業観、という構成。農協批判はもう何十年も前から同じ内容で散々なされていますが、批判を行動で体現している話は内容が一緒でもすごく新鮮。逆に知識や法律から語る言葉には情報量はあっても経験に根ざした説得力がない。


著者は愛知県の渥美半島で30年にわたる専業農家を営む農業経営者。
93年に有限会社を立ち上げ現在は売上高1億3千万。利益率は不明ですが、トップ層の生産者の一人であることは間違いない。


・農協の部会の共同購入は必ずしも安くない
・共同選果の品質基準は市場ベースであり、本当に売れるものが評価されない
・口座情報・大きな取扱量を背景に農協を脱退する農家への嫌がらせはやめるべき
・補助金があるから機械を買うのでは、補助金は農協の行動を変え、農家の経営力を奪っているだけ









2010-01-23

『それでも人生にイエスと言う』(V.E. フランクル著, 山田邦男・松田 美佳 訳/春秋社)



「生きる意味ってあるのかなあ?」



ある種の人間は、きっとどツボに嵌る質問じゃないでしょうか?

・・・というのも、かくいう私も、まさにその一人だからです。



やりたいことがない人間から、やるべきことを取ってしまったら・・・そこに待つのがこの問い。

なんとなく大学生活を送っていて、やるべき仕事がなくなって、とるべき単位がなくなって、でも生活は保障されていて・・・。そんな人間だった自分。こんなこと考えても意味ないんだろうなあ、と思いつつ考えていたのが人生の意味でした。あのとき「まあ、結果的に意味のある人生にすりゃ、いいんだ」と割り切って、とりあえずやりたいことらしきことをやるという判断をしなかったら、今の自分はなかったかもしれません。



著者のV・E・フランクルはナチスの収容所体験を持つ、精神科医。死以外に待つものがない絶望的な状況の中で、一囚人として体験したこと、周りの人間を観察して発見したことから、「人生の意味」について語った講演録がこの一冊。


「人生の意味を問うべきじゃない。人生が自分に何を期待しているかを問うべきだ」というのが結論。人は快楽のために生きているのではない。快楽は責任を全うした結果として与えられるもの。

同様に

「仕事の意味を問うべきじゃない。仕事が自分に何を期待しているかを問うべきだ」

なんでしょうね。



というわけで、25年間生きていた自分と、支えてくれた家族・友人・先生先輩後輩に感謝ということで、誕生日の一言でした。














2010-01-03

a review of 2009 & targets of 2010

明日からお仕事。



明日から仕事だあ・・・というぼやきが昨年の反省を端的に表しているような気がしますが、毎年恒例ですから反省&目標設定を。

昨年の理念&目標はこんな感じでした。


◆活動理念
「いつも100点」(Always Perfect)

>「いつも100点」を目指す意識は就職後特に高まっていったものの、結果的には理念に沿った活動ができなかった。というのも完璧を期すためには、言われたことに隠された努力が必要であり、表面上でしか物事をこなしていなかったから。感覚としては、100点を取るためには、130点分の努力をしないといけない、ということである。(速さを求めるあまり、時間軸、空間軸、で考え、優先順位をつける視点が欠けている。)活動理念を通じて、「言われたことを、言われた通りにこなす」ということが非常に苦手であるということを実感。社会人として極めて致命的なので早急に策を講ぜられたし。。。


◆目標
(各25点)
①健康・・・体重変えない。休まない。日記毎日書く。>15点
体重は変わらず、休まなかった。日記は11月ごろから途絶えていたので。

②清潔・・・毎日掃除機かける。毎週大きめの掃除。毎月大掃除。>10点
毎日掃除機は実践。それ以外は失念していた。

③社交・・・月1回は新しい人(年上・年下)と会う。>20点
こんな目標あったんだ・・・。基本的にはあっていた気がする。

④勉強・・・毎月専門書(英語)を一冊読む。先生のブックリストを就職までに読破。TOEFL100点、英検1級。TOEIC800点。>0点
あまり無茶な目標は立てないようにしましょう。苦笑

というわけで、昨年は45点でした。あんまりよくないのですが、実感値に近い気が。
何よりも点数で出るのはいいですね。
よく考えればこの軸は何か変だぞ。


ということで、今年の理念&目標。

◆活動理念
「軸を持ち、付加価値を付ける」(Have a principle, add a value)


軸を持つ、というのは大きな理念。自分と農林水産業・日本・アジアの将来像を描く、ということ。いろんな変化の中で、何を軸に考えればよいのか、見えなくなっている気がする最近。重視すべきは人なのか、ムラなのか、土地なのか、食べ物なのか。結局はすべてなのでしょうけど、そういうバランス論ではなくて、理想と現実を掴んで語れるようになりたい、というのが切実な願い。だってそれがないとただ、働くだけだもん。

付加価値はミクロな自分の行動。何かひとつでも相手にとって「頼んでよかった」と思われるような仕事ができるように、自分にとって「新しいことができた」と思えるように、プラスアルファを探して何事にも取り組む、という姿勢を身に付けたい。これができるときっと去年の目標もクリアできてるんだと思うんだよね。



◆定量目標<各25点>
①肉体:体重を変えない(10)。100万円貯める(15)。
②社会・情緒:今年新たに知り合った100人に年賀状書く(25)。
③知性:TOEFL100点(10)。HSK初級で級とる(10)。気持ちが合う(農業)経済学者見つける(5)。
④精神:1日1付加価値(15)。1つアイデアを仕事で具現化(5)。


目標達成のための道のり。
①週三回はジムに。1/4は貯金。
②月1回は農村へ。月1回はセミナーへ。(月あたり8人に会えればOK)
③とりあえず勉強法を聞いてみる。毎日何かやる習慣を(語学)。まずはブックリストを作ってみる。
④日記を毎日書き、付加価値の例&アイデアを書き留める。


最後になりましたが、今年もよろしくお願いします。