ご存知城山三郎の出世作。直木賞受賞作品のようですね。
一冊丸々『総会屋錦城』かと思っていたら、これは7つの作品集。意外と短い作品なんです。
70を過ぎて、病に体を冒されながらも「職人のように」仕事をやり遂げる総会屋のお話。
「職人のように」とは、利益目的ではなく、異常なまでの完璧さを求める、ということ。
総会屋とは、株主総会の空気を支配して、依頼者(経営陣、株主)の有利に議事を進行させる人間。
根回しから、法律の解釈、景気の読み、演説のうまさなど、要求される能力は政治家+官僚という感じ。
結構、すごいです。知識前提で描いているので詳しいし。
完璧な仕事への情熱という明るい部分と、あくまで闇の仕事であるという暗い部分が共存する部分が、
彼の描いた経済というものの本質なのかもしれませんね。
初期の作品なので、表現が丁寧で流れに淀みがありません。
が、人物描写が荒く、主人公すら「なぜこういう性格なの?」がわからず、顔が浮かばないのが残念。
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