文字通り「検証する」という印象。
スウェーデン社会の入門書です。
というのもなぜ、スウェーデンなのか、から考え、その後スウェーデンに対するイメージから入って、丁寧にそれぞれを解説している。
これによれば、スウェーデンとは<生活大国>であるそう。
出版当時(93年)、日本はバブルから多少後退したころであり<経済大国>との対比がしたかったのでしょうが、読む限り、その言葉に嘘はなさそうです。
高齢化・国際化・情報化・・・多くの政策課題を先駆けて体験した「フロンティア国家」スウェーデン。
180年間戦争をしなかったことで、社会資本の完成と、環境保全意識の高揚と、何より、政治への信頼を生み出しました。課題に対して、先送りすることなく、政治レベルで解決するという、デモクラシーの伝統がある、らしい。
俗に言う<スウェーデンモデル>とはウーロフ・ルイン教授(ストックホルム大学)によれば
①包括的な福祉システム
②平和的・協調的・効果的な労働市場
③合意形成を優先させる政治課題解決技法
であるそうな。
確かに、税金は高い。付加価値税(消費税)が25%ですよ。
そして、勤労意欲は低い。「あれほど病気になりたがる国民はいない」らしい。
公共部門は馬鹿でかい。国民の3人に1人が公務員(もしくは準公務員)ですよ。
でも、それらもろもろ納得ずみで実行しているという印象を受けます。
負担が大きいなら、それだけリターンを求めればいい、みたいな。
納得しなければ、変えればいい、そんな軽いノリの熱さを本から感じました。
「ここで忘れてはならないのは、スウェーデン型のきめ細かな公的福祉を基盤にした福祉国家は超大型のジャンボ機だということである。はたから見ている限り、あんなとてつもない巨大な鉄の塊が空を飛ぶはずがない。この超大型ジャンボ機を飛ばすためには、膨大な燃料が必要。よほど大きな浮揚力をつけなければジャンボ機は舞い上がらない。また、安定飛行を続けるためには広大な翼も必要。翼は広大なコンセンサス、燃料は膨大な財政、つまりは税収。」
このジャンボ機を操縦するのが、政治家でなくて、市民なのでしょうね。
そろそろ岡沢さんのは終わりにして、次を読みます。
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