2008-08-16

『21世紀も人間は動物である―持続可能な社会への挑戦 日本vsスウェーデン』(小沢徳太郎/新評論)













「現在の仕組みを変えることが原理的に可能である」(野口悠紀雄)


タイトルは凄いことになっていますが、内容は「スウェーデン万歳!日本最悪」という本。

良いところは、話題が多いところ。制度や政治体制や市民意識やグローバリゼーションなど、様々な分野から「持続可能性」と有識者の意見、自分の思いを書いています。

悪いところは、軸がないこと。この人の専門は何なんでしょうか?論拠が薄弱なため、検証が表面にとどまり、単なるスウェーデン賛美者の域を出ていない気がしてなりません。


環境大国=スウェーデン
経済大国=日本


この構図は分かりやすいのですが、そもそも環境と経済はトレードオフの関係にあるはず。
どこまで経済成長を犠牲にして環境負荷を内部化していくのか、その決定の差が社会の差。

また、その差はそれぞれの社会の「合理的な」決定のもとに出来上がっているはずなのです。
つまり、ある社会にとっては、きっと現状が「最適」なのです。


・・・それがなぜか?そもそも「最適」な状況の何が問題なのか?


それがすっぽり抜け落ちていると、何だか残念です。
書こうとしているのでしょうが、書くべき技術を持たない、というべきか。
もしくは、書いているけど、読み手が理解する技術を持っていないというべきか。




冒頭の引用された野口先生のひとことが一番印象的でした。


変えられると思うから、変わるんでしょう。




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