2008-10-04

『農地制度何が問題なのか』(高木賢/大成出版社)













法律と経済。



内定式のために購入した一冊。
時差ボケで夜寝つけなかったおかげで読破することができましたが・・・当日は絶不調でした。


農業問題の本質とも言われる農地制度。
これを扱った本の中ではおそらく最新のそして最薄の一冊です。
元食糧庁長官、「農地政策に関する有識者会議」の座長を務めた農水省OBが、現在の制度と論点を解説しています。

感想は2つ。

・制度としては改正の必要がないぐらい、全て整っている
・関連法が入り組んでいて、複雑すぎる


「規制緩和」「株式会社の参入の是非」というキーワードでしか話題になりませんが、農地制度は農業政策上重要な論点なのです。というのも、農地の集約(による農業の近代化・合理化・大規模化)を進めないと日本の農業は立ち行かなくなる、という危機感から、制度上は集約を促すような仕組みになっているものの、現状としてあまり進んでおらず、むしろ農地が使われないで放置されたり、住宅に転用されたりとやりたい放題だからです。

読むまでは農地「制度」そのものに問題があるのかと思っていたのですが、実際は逆で運用、もっといえば環境に問題がある、という印象を受けました。つまり「がんばって農地をまとめてもそんなに儲からない」「むしろ農地を住宅地にしたほうが儲かる」という外部要因。






内定式の前の面接で、身上書のアピールポイントに「経済学部出身」と書いたら「これどういう意味?」と突っ込まれました。

「14人中2人しか経済職がいないからです。経済学はたとえばWTOの関税の議論や・・・そもそも農業はとても複雑ですから経済学のような単純な視点で評価できるということが重要だと考える、ということです」


・・・何のために読んだんだよ、この本。というのは後の祭りで。


要は法律的な可能性ではなくて経済学的なインセンティブの問題なんだよな、と農地制度を例に説明できればよかったのになあ、とか今更思うのでした。


ちなみに無事内定を頂きました。20万円かけて帰ったかいがあったのか、な。






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