2008-06-04

『小さな政府の落とし穴』(井堀利宏/日本経済新聞出版社)













一番面白かった公務員試験対策本。



これだけ唯一ハードカバーの新書なので、当然といえば当然ですが、
一番本を読んだ財政学の中で印象深かったのがこの本。

基本的な主張は
・日本財政の悪化原因は低負担高給付の社会保障。
・高度成長期なら良いが、現在の低成長の日本にはあわないので変えるべき。
・高負担高給付か低負担低給付を国民が理解し、選ぶべき。

構成はこれまでの政策評価と自身の提案の2つ。
小泉政権、安部政権の財政政策を説明し、解説し、財政再建という観点で評価しています。
パフォーマンスとして見えてしまう政策を、理論的に評価していて、
経済学を使うとはこういうことかと理解できます。

面白かった理由は、主張が明確で読みやすいこと、提案が具体的でワクワクする、の2つ。
各章にまとめが付いてあり、内容だけでなく、構成自体も非常に丁寧です。

提案はいろいろあり、公務員のNPO化から年金の制度改革まで多様で幅広い。
理論だけでなく具体案を語れるというのは凄いなあ、と。

政局が混乱する中で、「これが正しい」と胸を張って言えるのは研究者として素敵なことですね。


コワモテの先生でしたが、もうちょっといろいろ質問に行けばよかったなあと思ったりしましたとさ。










1 comment:

yosiyama said...

久し振りに、コメントをば。彼は、僕のゼミの教授でした。一見強面ですが、すごく面倒みがよく、人情味豊かで、面白い人でしたよ。
まあ、彼は、僕が、ゼミ生の頃から、政府のいろんなポストからお声がかかっていたみたいですから、日本の学者では、珍しく、現実的な理論を提案できる人だと認識しています。
まだ、大学に残っていることからすると、彼は、それでも、経済学という学問を、まだまだ究めたいのでしょうね。