2ヶ月近く読んでいたのですが、ようやく(論語のみ)読破しました。
構成は孔子の人生と『論語』の2つ。
『論語』は原文・読み下し・現代語訳・解説のフルコースで解説も厚(熱)く、丁寧です。
(岩波文庫だと解説が少ないので、こっちを買ったのですね)
最初の印象は、「孔子って、何が凄いの?」
別にたいした業績は上げていないんです。
中国の激動期に、貧しい武人の家庭に生まれた孔子が、学問を志し、その中でも特に周礼を理想とするようになり、学者としてそれを実現しようと入閣し、あれこれ施策をめぐらすが、結局失敗し、失意のまま生涯を終える、という一生。
実務家としては、何も成し遂げていない。ビル・ゲイツのほうがよっぽど凄いわけです。
そんな印象で読んでいたので、最初は斜め読みでしたが、
次第に孔子ワールドに引き込まれていきました。
まず、ずば抜けて頭がいい。
論語は基本的に弟子との問答集なのですが、同じ問いに対して、答えが違うことが多々あるのです。
理由を聞くと「お前は○○だから、△△といったのだ」との返答。
これは凄いことで、一瞬で相手の質問意図と(結構意地悪な質問をすることが多いので)、相手の理解のレベルと、返答が相手に与える効果と、自分自身の考えと、礼(孔子の理想)の5つを考慮してベストミックスを答えているということ。
確かに返答には(記録とはいえ)無駄がなく、頭のよさを感じます。
そして、熱い。
エネルギッシュな人だったんだろうなあ、という感じ。
純粋に学問好きなんでしょうね。音楽と学問については熱くなる人のようです。
彼には周礼という理想があって、それに忠実に生きています。
初めは窮屈そうに見えますが、徐々に素敵にみえてくるから不思議です。
孔子の業績よりも、その言葉の鋭さで読まれているんでしょうね。
No comments:
Post a Comment