2009-02-17

『ノルウェイの森(上下)』(村上春樹/講談社)



「日本人の小説、読んだことあるよ。誰だっけかな・・・題名はたしかNorwegian Woodで」


 「ああ、ハルキ・ムラカミでしょ?彼は現代の日本の作家で一番有名な人間だよ」―やれやれ。また村上春樹か。スウェーデンで彼の名を聞くのは2度目だった。最初はルームメイトのポーランド人がつれてきた2人の女友達のうちの1人から、そして今、日本への帰りに一緒にスカンジナビア半島を北上した中国人の友人。2人によれば、彼はかなり有名らしかった。「あの小説は中国人の若者に大きな影響を与えたんだよ。僕もかなり衝撃を受けた気がする、内容に関してはあまり覚えてないけど。君は読んだことはないのかい?」。ストックホルムからキールナという街に向かう途中の、夜行バスの中で、彼は聞くのだった。僕らは観光バスの2階の一番先頭に座っていて、前は真っ暗闇だった。横には白樺らしき木が枝を雪で白く染めながら、さびしそうに延々と続いていた。森の中に、一本だけ道があり、ほかは何もなかった。「いや、名前は知っているけど、読んだことはないんだ」僕は、基本的に日本人作家の小説は読まない人間なのだ。それは第一に、目的意識がないと何も出来ない性格の人間だからで、第二に小説は飛ばし読みができないからだった。小説は別に嫌いではなかったが、読む動機がなかった。


・・・ということで、ようやく読んだ一冊。すみません。非国民で。
昔読んだ小説と、構成が似ているのは、この作品をまねたんでしょうね。

「すごいところで書いてるなあ」というのが読後感。生と死、理性と本能、男と女、日常と非日常、永遠と無常・・・主人公は、すごく中性なんですね。いろんなディメンションがあって、すべての軸の均衡点で小説を書いているから、こうなるんでしょうね。

「なんでこれが書けるんだろうなあ」というのがもうひとつの感想。登場人物が、多いんです、よ。

一日で読了した一冊。
最近本ばかり読んでいて、思考方法が永沢さんみたいになりそうなんで、気をつけます。




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