2009-02-11

『鎮魂戦艦大和』(吉田満/講談社)




「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ 日本ハ進歩トイウコトヲ軽ンジ過ギタ 私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッテ、本当ノ進歩ヲ忘レテイタ 敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ救ワレルカ 今目覚メズシテイツ救ワレルカ 俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」



コレ先生ヨリ推薦サレシ本ナル。曰ク若シトキニ読ムベキナリト。
ワレ偶々山手線ニテコレヲ読了スレドモ、最後ニオヨビテ涙止マラズ。

コノ書、文字通リ戦艦大和ノ最期ヲ記シタルナリ。著者ノ吉田満、当時少尉トシテ大和ニ搭乗セリ。帝大法学部カラノ学徒出陣ナリ。大和沈ミシモ、彼幸運ニシテソコヨリ生還シ、終戦ノチホボ一日ニテコレヲ書キ上グルナリ。文体斯クノ如ク文語体ナレバ、簡潔ナリテヨリヨクソノ言ヲ知レリ。コノ文体ヲココデ用イルハ、コレニ倣ウタメナリ。

ワレ二十四ニシテ、当時ノ著者トホボ同年齢ナリ。マタ、ワガ将来役人ニシテ国ヲ思ウノ気持チノカキコトヲ思ウナリ。

纏マリタル感想ハナケレドモ、ワレ国家ト国民ノ関係ヲ再考セザルヲ得ズ。国家ハ国民ノ幸福ノ為ニアレドモ、戦争ニ於イテハ国家ノ目的ガ独リ歩キシ、ソノ犠牲トナルハ国民ナリ。国民ソノ矛盾アルヲ知リテ、ソレヲ理性的ニ理解セント努メ、冒頭ノ如キ論理ヲ考案スレドモ、ソノ声虚シカランヤ。







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