2009-02-07

『人間を幸福にしない日本というシステム』(Karel Van Wolferen (著),篠原勝 (訳)/毎日新聞社)



「管理者たち(アドミニストレーターズ)は、すべての人のエネルギーはなにか大きな国家的事業に結びつかねばならない、といまだに考えている。この幻想を彼らは、彼らが使えることになった政治・経済構造とともに、先達から受け継いだのだ。果てしない産業拡大が日本の国益だと信じる管理者たちは、市民たちの安全と繁栄を最優先事項だとは見ていない――この点では広く意見が一致するだろう。
 彼らは現実から浮き上がっている。省庁の官僚たちや経済界のトップたちは、決まりきったいくつもの思考パターンを逃れて自分の創造性を働かせようとすると、その分だけ不安になり、非現実的(ロマンチック)になる。偉大な国家というロマンチックな空想を日常の退屈な生産管理業務に結びつけ、彼らは、サラリーマンの大群に踏み車を踏ませつづければ国が雲上の高みにもちあがるだろうと信じているかのようだ。それは、想像力が厳しき制限されて困窮化してしまった精神の中に生まれる、『偉大さ』という夢想(ビジョン)の遺物なのである」



ウォルフレンの2冊目。
1冊目は読むのにえらく時間がかかったのですが、これはすっと読んでしまえる一冊。

「今こそ、立ち上がれ日本の市民よ」という感じの、シンプルな主張です。

日本が政治的な社会であること、官僚国家であること、市民の自覚と市民への情報が足りないことなどなど、日本の「システム」を分析した一冊なのですが、なぜか徐々に内察的な読み方になってしましました。


初版は94年11月。村山内閣です。
日本の「システム」が変わったとき、政策を、社会を、どう変えるべきか。
いや、どう変わるのか。

幸か不幸か、そんなことに関われる時代に生まれたみたいです、ね。




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