西洋=二元論、東洋=一元論、らしい。
般若心経の現代語訳です。
著者の柳澤桂子は、お茶ノ水女子大、コロンビア大卒の生命科学者。
慶応大、三菱化成生命科学研に所属し、「これから」というときに不治の病に冒され、研究人生を断念せざるを得なくなり、その後歌人や創作活動を始めた、そんな人。
40万部近く売れた本書は、そんな彼女の息吹みたいなものが伝わってくる一冊、なのでしょうが、僕が印象に残ったのは、冒頭の説明。
西洋的な人生論や生き方指南書は自分と世界を二元的に捉えていますが、現実には自分は世界に埋没していて、周りとの関係性の中で生きていかざるを得ない存在。東洋的な思想はすべてを一元的に考え、宇宙の根本原理から自分自身の生き方を同じ原理で語るので現実社会に近く、ゆえにわれわれにとっては役に立つ、のだそう。
これはビジネス書の世界でもまったくそうで、いわゆる外資系のハウツー本なんかは、二元的なんです。目的を定め、目標を設定し、優先順位をつけて、それに向かってコスト最小で向かう。他者との関係性からは独立で、単線的に物事を考える感じ。でも、僕らはキカイじゃないんだから、現実はそんなに簡単にいかない。だって、自分が動くと世界は微妙に「ずれて」いくんですから。
なんとなく思っていたことをズバリと当ててくれた一冊。
生き方もそうですけど、この人は立派ですねぇ。
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