2009-03-26

『なぜ日本は行き詰ったか』(森嶋通夫著, 村田安雄・森嶋瑤子訳/岩波書店)



「生活水準は相当に高いが、活動力がなく、国際的に重要でない国。これが私の21世紀半ばにおける日本のイメージである」



・・・という言葉で終わる一冊。
初版は04年ですが、今日では「行き詰った」というよりも、「行き詰っている」というほうが正しいかもしれません。

著者の森嶋通夫は、LSEの教授で、数理経済学者。
マルクス経済学を数理モデルに「翻訳」したことで知られる世界で活躍した数少ないエコノミストの一人。
もう亡くなっていますが、一時はノーベル経済学賞候補に名前が挙がったこともある方です。

日本語の新書ではこの本が最後のようで、経済学・社会学・心理学などなど、様々な領域を統合して日本経済の現状を分析しよう、というのがこの本の試み。すげえ。

内容は、「明治維新・第二次世界大戦によって歪められた日本人の思想は、(一部)国民の中に危機意識をもたらし、それが稀有な経済発展を達成した。しかし、歪められた思想は教育制度と保守的な経済体制・政治体制に反映され、そこに順応した結果、日本人は何もできない国民になってしまった。今後、日本が過去に達成された以上に繁栄するとは到底思えない。ただ、中国やアジアの他国と協力して経済圏を構築していくなら何とかなるかもね」という感じ。




思えば、04年は小泉内閣真っ盛りなのです。
今読めば普通ですが、当時これを書いたと考えると、すごい・・・というのは私の不勉強でしょうか?

本当の危機って、じわじわくるもんですよね。









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