2009-03-10

『農業政策』(豊田隆/日本経済評論社)



経済学的に農業政策を記述する。



そんな印象の本。さっと読み終わるはずが、ずるずるとかかってしまいました。

グローバル化の中で、農業の非市場的な価値も考慮しながら、世界や日本の状況を整理した本。多国籍企業アグリビジネスから、EU・アメリカ・日本の農業政策の対比、日本の農業改革、世界の環境政策・・・などなど、扱うトピックが多く、とにかく情報量が多い。

ああ、こんな感じだなあ、というのが読後感。
「東アジアと共生する農業・環境・食料政策」という結論を持ってきているあたりが新しいか。ただし現場に即した根拠があるわけじゃありません。

純経済学的に考えると、確かにこういう結論になるんです。が。

情報量の割に、何か空虚な印象がぬぐえないのはどうしてなのでしょうか?
経済学で計れないものを無理やり経済学で考えているような気がしてしまう。。。
といいつつ、そうしてくれないと読めないのは不幸なものです。

必要なのは、政策でも政府でもなく、農業者でも消費者でもなく、企業なのかもしれません。ビジネス。





以下、メモ

・ドーハ・ラウンドの日本政府モダリティ案は極めて合理的
①農業の多面的機能
②食料安全保障
③農産物の輸出入ルールの不均衡是正
④開発途上国への配慮
⑤消費者・市民社会への配慮

・アメリカでは、米の生産費の71%が財政補填
・地域開発政策の基本理念はステープル政策
輸出向け一次産品を交換しながら経済発展を目指す
・麦作面積は50年の178万haから17.5万ha(73年)に減少
・米国サンキストは家族型農業者が所有する農協


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