2008-01-23

『三澤株式会社五十年史 オンリーワンをめざして』(澤昭二郎/三澤株式会社)













「○○先生、昔教科書で見た近江商人にそっくりなんだよなあ。商売やったら絶対儲かるのに・・・」


以前、駒場のゼミの先生からもらった本。
冒頭の友人の直感は正しく、近江商人の家系で、お父様は経営者だったようですね。

当時、僕はまちづくりのゼミに没頭中。
政策を作るとはこれほど面白いことなのかと驚き、「社会の問題を解決する手段は、政策かベンチャービジネスか」という(今思えば雑な)問いを持っていて、相談したら「これでも読みな」とこの本をくれたのでした。




先生のお父様の自分史という感じ。

この会社は、衣料の中卸会社。
・・・というと、高度経済成長期に発展し、その後生産が東南アジアにシフトしてバブルで軒並みつぶれたというのが業界の変遷ですが、確実に成長を続け、現在でも確固たる地位を築いているという異色の企業

それは当たり前のことを当たり前にやってきたからなのでしょう。

「・・・そうした企業の経営が必ずしもうまくいってはいない反面で、日本的経営を愚直に守り続けている三澤が、企業として立派なパフォーマンスを実現している事実は大変興味深い」(あとがき)

本業を重視し、余計なことに手を出さない姿勢。
常に製品開発を怠らず、お客様のことを考える姿勢。
人づくりを重視し、常に社員にとって誇りとなる会社を目指す姿勢。


いろいろと経営の本を読む機会が増えましたが、本書はまさにそのお手本、といった印象。
MBAや経営学もまだ未発達の時代に、よくこんな考えができたものだと思い、「経営とは実践である」という言葉を新たにしたのでした。



「社会の問題を解決する手段は、政策かベンチャービジネスか」その問いの答えは本にはありませんでしたが、先生のいわんとしていることは理解できた気がします。企業は所詮一企業なのですから。












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