2008-01-31

『凛の人 井上準之助』(秋田博/講談社)













フィクションとノンフィクション。



内容は井上準之助の一生涯。
著者は元読売新聞の経済記者。
あくまで淡々と、というか延々と、井上準之助とその周辺を描いています。

著者の感想や意見が排除されています。
だからでしょうか?事実の羅列で話に流れと緊張感がありません。
井上準之助像は凹凸なく浮かび上がっているので客観的ですが、むしろ像がない感じ。

最後のほうは井上準之助よりもむしろ当時の経済界・政界の状況がメインで、
「何の本?」と思わず突っ込みたくなってしまいます。

やはり自ら体験していない事実を面白く描くのは至難の業なのでしょう。
城山三郎の凄さがわかりました。

なぜか昔に買った本でしたが、まさか読む日が来るとは思いませんでした。
「つんどく」のもいいもんですね。

2008-01-29

『イノベーティブ・シンキング』(Conrad Heraud,山本泉訳/ダイヤモンド社)













発想の型。



グループワークでアイデアを考えるとき、「さすが!」という発想をする人っていませんか?
悩んでいたことを相談したときに、「なるほど」という答えを言ってくれる人っているような気がします。

そんな人たちの思考の型が、フレームワークとして学べる本です。
・・・といったら言い過ぎかな。

よい本です。

「イノベーティブ・シンキング」とは、なんだか一昔前の流行語みたいですが、要するに「手順に沿って、いろんな角度から物事を考える」ということ。

具体的には
①増やす・・・考える視点を増やすこと
②目指す・・・理想を設定し、それに向かって考えること
③逆転する・・・当たり前のことを逆転させ、それを実現させる方法を考える
④つなげる・・・(異分野・関連分野・流行・自然など)さまざまなものを組み合わせて考えること
⑤改良する・・・現状をよりよくするように考えること
⑥試す・・・考えたものを試してみること

こう書くと当たり前ですが、意外とひとつの方法にこだわってしまうもの。
きちんと本にまとめられているとなんだかすっきりしますね。



ひとつだけ残念なのはカタカナ英語が多いこと。
使っていなければもっと売れていたような気がしたりして。



2008-01-23

Happy birthday!










23歳になりました。


(この学年で)この年だと嬉しくもなんともありませんが、そんなことを言ってはいけませんね。

妹が気づいて父がケーキを買ってきてくれて、心温まる誕生日でした。



23歳も良い年でありますように。

『三澤株式会社五十年史 オンリーワンをめざして』(澤昭二郎/三澤株式会社)













「○○先生、昔教科書で見た近江商人にそっくりなんだよなあ。商売やったら絶対儲かるのに・・・」


以前、駒場のゼミの先生からもらった本。
冒頭の友人の直感は正しく、近江商人の家系で、お父様は経営者だったようですね。

当時、僕はまちづくりのゼミに没頭中。
政策を作るとはこれほど面白いことなのかと驚き、「社会の問題を解決する手段は、政策かベンチャービジネスか」という(今思えば雑な)問いを持っていて、相談したら「これでも読みな」とこの本をくれたのでした。




先生のお父様の自分史という感じ。

この会社は、衣料の中卸会社。
・・・というと、高度経済成長期に発展し、その後生産が東南アジアにシフトしてバブルで軒並みつぶれたというのが業界の変遷ですが、確実に成長を続け、現在でも確固たる地位を築いているという異色の企業

それは当たり前のことを当たり前にやってきたからなのでしょう。

「・・・そうした企業の経営が必ずしもうまくいってはいない反面で、日本的経営を愚直に守り続けている三澤が、企業として立派なパフォーマンスを実現している事実は大変興味深い」(あとがき)

本業を重視し、余計なことに手を出さない姿勢。
常に製品開発を怠らず、お客様のことを考える姿勢。
人づくりを重視し、常に社員にとって誇りとなる会社を目指す姿勢。


いろいろと経営の本を読む機会が増えましたが、本書はまさにそのお手本、といった印象。
MBAや経営学もまだ未発達の時代に、よくこんな考えができたものだと思い、「経営とは実践である」という言葉を新たにしたのでした。



「社会の問題を解決する手段は、政策かベンチャービジネスか」その問いの答えは本にはありませんでしたが、先生のいわんとしていることは理解できた気がします。企業は所詮一企業なのですから。












2008-01-19

『城山三郎全集〈第1巻〉男子の本懐 』(城山三郎/新潮社)













好きな人ができました。


・・・井上準之助です。

「金解禁」を断行した蔵相で、それがきっかけで血盟団事件で暗殺された政治家・実務家。
それぐらいしか知りませんでしたが、国の未来を描き切る構想力とそれを実現させる断固とした信念、それを裏打ちする知識と能力を磨き続けた、度量の大きな政治家だったと知り、胸が熱くなりました。


僕はかねがね尊敬する人として服部正也をあげていますが、もう一人は彼、というぐらい凄い。




時は第一次世界大戦後の日本。戦後一時停止された金本位制への復帰が経済的な課題となっていました。金本位制とは政府が発行したお金は金(GOLD)といつでも交換します」という制度。逆にいえば、持っている金の分しかとお金を発行できない、という制度です。金と交換できることで、(当時の日本のような弱小国でも)通貨の価値が安定し、信用され、貿易が円滑になります。また、お金の発行量が金に依存しますから、国内の物価も安定します。前者は産業のために、後者は国民生活のために必要なのでした。

その金本位制復帰に必要なのが「金解禁」(=金の輸出輸入の自由化)なのですが、国内では猛烈な反対が起き、実施は困難といわれていました。それは不況だったからです。当時は戦後恐慌、震災恐慌と大きな不況が続く低迷期。不況期には政府が公共事業を行い、需要を生み出す必要がある(という考え方が)ありますが、金本位制ではそれが困難になります。それは発行通貨量が持っている金の量に依存するために、政府が自由に国債を発行して資金を調達することが妨げられるからです。国策が選挙で選ばれた政治家の決定に委ねられる以上、公共事業を減らし人気を落とす政策は選挙で負ける可能性があるため、不人気で誰も行おうとしませんでした。

加えて井上らは旧平価での金解禁を志向していました。平たくいえば、高い価値のままで円を維持しようということです。要は実質円高に持ち込もうということです。これは大きく2つの理由があり、旧平価のままであれば議会の議決がいらなかったこと、円高による輸出産業の国際競争力強化を目指したこと、があげられます。前者は、不人気な政策なので議会では可決されないと考えていたための戦略で、後者は、井上が国内産業の構造改革の必要性を痛感しており(円安で輸出が不当に拡大したり、恐慌の特別措置で産業がぬるま湯体質になっていたため)、ある種のショック療法によってそれを達成しようとしたためです。

しかし、旧平価での解禁を行うためには、インフレを抑えて円の価値を上げる必要があります。そのためには政府はなるべく予算を減らさなければなりません。これは不況を拡大させることを意味します。しかも無事金本位制に復帰したとしても、しばらくは円高で輸出が伸びず、更なる不況になりかねません。

もう一点だけ井上の考えを述べると、金本位制によって、軍部の独走を食い止めようとしたことがあります。当時は政治に軍部が台頭してくる時代(金本位制復帰翌年が満州事変)。軍備拡張は軍事予算の増加によって実現しますから、金本位制によって財政に縛りをかけ、結果的に軍事費を削減させることで軍部独裁を防ぐことを考えたのです。さらに言えば、前述の旧平価復帰の構造改革による産業競争力強化とあわせて、軍事力ではなく工業力で日本の経済成長を達成させようとしたのです。




・・・と、やや前置きが長くなりましたが、この本はその井上と当時首相だった浜口雄幸を主人公に、生い立ちから、死ぬまでを描いています。共にに上記のような構想を抱き、世論の反対にあいながらも緊縮財政・金解禁を断行、結果的に暗殺されるという一連の流れ。2人とも本当によく勉強し、左遷されてもめげず、常に国家のことを考えそれを信じて生きていくという様がまさに「男子の本懐」という印象。


おそらく主人公は浜口の方なんでしょうが、井上がとても好きです。

1、病気がちの少年時代
2、健康を大事にする
3、家庭を大事にする
4、勉強を大事にする
5、(旧制)二高→帝大である

「自分ハ日本ノ社会ニ何事カヲナサシ得ル事ヲ確信スルナリ。我身ヲシテ社会ニ有益ナ事ヲナサシムルモ又否ラセルモ、全ク御身ニ属スルナリ。御身ハ第一ニ我身ノ為ニ第二ハ社会ノ為ニ、健康ヲヨクシテ我身ウィ助クルノ義務アリ。又斯クノ如ク天帝ガ御身ヲ生ミシモノナリト信スルナリ」(p,74)

「常識を養うに読書の必要はないかもしれぬ。そしてまた日常の業務を処理して行くのにも読書の必要はない。しかし、人をリードしていくには、どうしても読書しなければならぬ」(p,124)


彼は、その人気と実力があだになり、一時ニューヨークへ左遷されています。恨みながら、挫けそうになりながらも勉強と語学の鍛錬を欠かさず、己を磨き続けます。その中での一言。共感です。こうした積み重ねがあったからこそ、たとえ世論の反対があったとしても決して信念をまげることなく、自分の信念を押し通せたのでしょう。国民の信頼が得られない政策は悪という考え方もありでしょうが、経済はわからないものです。少なくとも長期的な経済運営に関しては(納得させるだけの説明を十分したうえで、ですが)知識を持った個人に委ねるべきだという考えは筋が通っている気がします。それが実務家の役割であり、専門家として学ぶ機会が与えられている意味だと心底理解しました。


国士的な、没個人的な生き方をしそうになる自分ですが、自身の健康と家庭の維持の上に、社会への貢献を位置づけるという視点は持っています。そんな生き方を実践している彼は、本当に「こうなりたい」といえる人間ですね。




ちなみに、本書は「官僚が好きな本」の定番。『官僚たちの夏』『坂の上の雲』『小説日本銀行』と(加えて、個人的には『ルワンダ中央銀行総裁日記』)と読んで、やはり官僚に向いているなあというのが実感です。

2008-01-18

『坂の上の雲』(司馬遼太郎/文春文庫)













奇跡の合理性。


日経を読んでいるからでしょうか?
一人当たりGDP18位世界全体で10%割世界の企業時価総額ランキングで10位以内なし、など世界経済における日本の地位低落が気になる最近ですが、「それがむしろ当たり前」と思える一冊。

尊敬するとあるオジサマに「人生に影響を与えた本は何ですか?」と聞いていわれたのがこの本。
結構探して、予備校近くのブックオフで2900円(全8巻)で購入したのでした。古本としては高価です。



内容は、日露戦争期の、日本史です。
というのは、限りなく事実を描こうとしているから。

「『坂の上の雲』という作品は、ぼう大な事実関係の累積の中で書かなければいけないため、ずいぶん疲れた。本来からいえば、事実というのは作家にとってその真実に到着するための刺戟剤であるにすぎないのだか、しかし『坂の上の雲』にかぎってはそうではなく、事実関係に誤りがあってはどうにもならず、それだけに、ときに泥沼に足をとらわれてしまったような苦しみを覚えた」(あとがき『首山堡と落合』)

5年の下調べと、5年の執筆。「東洋の奇跡」と呼ばれ、半ば神格化されて教えられてきた日露戦争期の日本の姿を、あらゆる資料を取り寄せ、あらゆる人間に取材し、自ら海図や陸図を使って戦争のシミュレーションを行いつつ、「限りなく事実を」描ききった大作。「私の40代をほぼこの執筆に費やした」との言葉に、作家とはここまでストイックなものかと心底頭が下がる思いです。

一握りの有能な人と、一握りの無能な人と、そのほか大勢の普通の人がいたということ。
そして全員が、自分の命ではなく、国家の存亡を賭けて、戦っていたということ。

秋山・児玉をはじめとする一部の天才が優れた戦略を作り、それが勝利につながったというのは結果的に事実でしょう。しかし、もし彼らがいなくても、ほかの天才が生まれ、新たな優れた戦略を作ったはず、という明治の空気が伝わってきます。

当時、東洋の弱小国だった日本が国家の存亡をかけて臨んだ日露戦争。その危機意識は強烈です。いま考えても奇跡の勝利としか思えませんが、その背後には「奇跡」と一言で言い切ってしまうのは申し訳ないほどの冷静な計算に基づく戦略と、その実行を可能にさせた個人の努力が横たわっているのだと認識を改めました。





冒頭に戻りますが、そもそも日本とは、「その程度の」国だったのではないでしょうか。

その程度らしからぬ国だと思わせたのが『坂の上の雲』の日本人たちであり、そう思って努力してきたのが戦後の先人たちである気がしてなりません。奇跡なんて、ありえないのです。




2008-01-12

the price of gratitude










感謝の値段。




「今年は重よしさんで新年会をやりましょう。swanさんも来られますか?」

「・・・ちなみに、おいくらなのでしょうか?」

昼で10,000円からです」

「・・・りょ、両親に相談してみます」


お茶のお稽古での一幕。

教室の先輩が有名な料理屋さんの娘さんだそうでそこで新年会を行うことになったのでした。値段もびっくりですが、メンバーも僕と同い年の方から母親ぐらいの方、祖母ぐらいの方まで幅広くてびっくり。しかもみな女性。「お姉さま」たちに混じり、先生の解説を聞きながら、楽しい時間をすごしました。


料理はおいしい、というか「変な味がしない」という感じ。
お魚やお野菜の味が本当にはっきり感じられるような印象。
「ここだ」というポイントの味。この料理なら、この味がベストだろうなあという感じが延々続くのは家庭料理ばかり食べる身には不自然だったりして。

どれもどこか懐かしい味で、新しい味がひとつもないのが新鮮でした。


グルメとはほど遠いのできちんと味を理解したかどうかは怪しいですが、お姉さまたちが「おいしい」と料理がでるたびに歓声をおあげになられて、それだけ見ていてもおなかいっぱいになりました。また、魯山人の器が出てきたりして、びっくりでした。


思えば、これほど食事に感謝することってないなあ、と
食材を作った人、料理した人、器を作った人、必ずいるはずなのに普段はそんなこと考えません。
おいしかろうと、おいしくなかろうと、高かろうと、安かろうと、流れは一緒なはずなのに。

高いお金を出したときこそ感謝する、というのは経済学的には因果は逆でしょうけど、本当はその逆な気がしてなりません。いずれにせよ、なんとも皮肉なものですね。




将来また・・・行くようになったら偉くなるか悪くなるかどちらかですね。





2008-01-11

the night of Agricultural economics

農業経済学の宴。



今日は銀座でお食事。

以前いろいろと相談した方に、相談と報告をかねて会ってきました。
農業経済学を学ぶ先輩と三人で、農林省の話から世銀の話まで、おいしいインド料理(かなりGOOD)を食べながら、時を経つのを忘れてしまうぐらい、知的でエキサイティングな時間でした。多面的機能の経済的意義を問われたりして・・・。第一線で活躍する方に、直接あれこれ聞ける機会はめったにないので、それだけでもおなかいっぱいになりました。


聞いたのは役人の役割経済学を学ぶ意義

別に、役人が無価値だとか、経済学が無意味だと思っているわけじゃないんです。
むしろ自分の中にも、やんわりと仮説が出来上がっていている最近。
自分のひと周りもふた周りも先を行く先輩に、同じことを聞いて自分の位置を確かめたかったんです。


①役人の役割
・・・最終的には予算と制度を使う立場にあるということ。「農業を残したい、守りたいという国民がいる一方で、安い農産物を供給してほしいという希望もある。そのギャップは財政的に埋める必要があるのではないか。その際は農業の意義や役割を論理的に説明し、適切な予算を配分させる人間が絶対に必要。また、政策は市場を歪めかねないので、社会の変化に合わせて、制度を適切に変え続ける意味でも役人はまだまだやるべきことがある」

②経済学を学ぶ意義
・・・思考の道具、ではなく自分のやりたいことを納得させる手段であるそうな。「経済学はほかの社会科学に比べて複雑で理解されにくい。しかし制度設計の根拠としてはきわめて有用。経済学をきちんと学び、論理的に説明する力が身につけば、しめたもの。経済学の枠組みで議論できる人そう多くないし、それが合理的であれば、反論できる人はいなくなる」


「世銀はシャドープライスを見るところだから」とか、ほかにもいろいろ貴重なお話があったのですが、難しくて理解できず。


とにかく経済学を学びます。










2008-01-09

『日本農政の50年―食料政策の検証』(北出俊昭/日本経済評論社)













農政と農省。



三文会で「ネコでもわかる農業政策入門」という発表をやったので、その参考文献として通読。


「農政」とは、一種独特のニュアンスを持って語られる(らしい)言葉です。


というのは広いから。

「農業」と一口に言っても、意味するのは様々です。食べ物そのものであったり、食べ物を作る産業であったり、農村という地域だったり・・・。しかもそれぞれ関連はあっても、目指すものは違ったりするから複雑です。


加えて、「政策」というものも、書いてあることと実施されたことと達成されたことが微妙に変化し、かつ評価に何十年もかかる意味で難しい。


そんな難しさの2乗の「農政」を、この本は戦後から半世紀、特に食料政策を中心に追っています。
超簡単な説明は、こちらを参照してもらうということで、感想を3つ書いておきます。

①変わらない目標、変わらない手段
・・・1年前、「農業の問題は20年前から変わっていない」と公言したことがありましたが、結構本当でした。むしろ50年ぐらい変わっていない。基本的なポイントは「いかに(農作物の)コストを下げるか」「いかに(生産者の)所得を上げるか」の2つ。最近は「いかに残していくか」に統合された感がありますが、基本的な視点は変わりません。役人がビジョンを示し、役人のビジョンにあった農家が保護される、という構図もずっとのようです。政策手段も補助金誘導であまり変わっていない。


②変わる経済、変わる国際情勢
・・・一方、変わってきたのが農業以外の状況です。特に工業生産性と通貨価値の上昇。農業だって、決してサボっていたわけではなく、生産性は他の先進国と遜色ないぐらい伸びているのです。しかし、工業はそれ以上だった、ということでしょう。世界情勢も自由化に大きく動いています。


③農業から発想しない
・・・これは持論。本を読んでいて思うのは、どの政策も良く考えられていて、文句のつけようがないこと。過去の政策だからあれこれ振り返って批判もできますが、文面だけ見たらどれも100点です。しかし、文面どおりにならなかったのが現実。足りなかったのは「農業をどうするか」を考えすぎて、「社会の中で農業がどうあるべきか」を考えなかったことではないかと思うのです。


農業なんて、所詮GDPの1%です。
残念ですが1%のために他の99%が動くことはありえない。しかし、過去の(失敗したとわれる)政策は、それを考慮していない空気が濃厚です。99%の変化の中に、1%の位置づけを明確にしていくことが重要ではないでしょうか。世の中の役に立たない農業なんていらない、と思わないと本当にそうなってしまう気がしてなりません。


という考え方はドライすぎるかなあ。
具体案は内定したら本格的に考えるとします。







2008-01-07

『勝利の決断19条』(ジャック ニクラウス/小学館)













目標設定とスポーツ。

今日、古本屋で読み終わった本を売ってきました。 しめて700円。内訳を聞いたら、浪人時代に読んだ本が一冊で500円で ほか20冊ほどはあわせて200円だそうな。 なんだか、いろいろなものを象徴していそうで怖いです。 で、読んでいなかったことに気づいて読んだ本。 スポーツ選手、ってはっきりしてるなあ、と。 「勝つ」という絶対目的・目標がある。しかも「世界一」の定義が明確。 要は簡単に自分を評価できるということ。 負ければダメ。勝てばよし。負けたら原因を考え、それを改善して望む。勝ったら改善は正解。負けたら不正解。勝てるようになるまで原因を考え、改善し、練習をつんでいく。頭だけじゃなくて、体も使うのでトータルで考えられるし。 と、口に出すほど簡単ではないんでしょうけどね。 運動サークルに比べ、文化系のサークルの運営が難しいのはかなり強い実感です。 それは大人の世界でも一緒なのだろうなあ、と思ったり。 最近やたら目標管理にこだわるswanのつぶやきでした。


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『経済学の使い方―実証的日本経済論入門』(三輪芳朗,J.マーク・ラムザイヤー/日本評論社)













経済学は「使える」か?




「先生、早速ですがどんな研究をなさっているのか教えてください」

「いやあ、研究といっても君たちにわかるかね。我々は専門家の世界で生きてるからねえ」



昔、大学で新聞を作っていたころの、一番最初のインタビューの冒頭。
・・・当時1年生ですよ。初取材ですよ。当然、びびりますよね?

そんな思い出からはや4年が経とうとしていますが、いまだに専門家の世界とやらは遠いようです。
アクの強い先生だなあ、と思った記憶がありますが、この本もそんな感じ。



「経済学の使い方」というこの本。
どう使うのか、というと、「通説を鵜呑みにせず、きちんと根拠を確認して検証する」ということ。

「『経済学』とは世の中の経済現象を普遍的な理論に照らして解明するサイエンスである」

それを、戦後の日本経済の「通説」「通念」を具体例に示しています。具体的には、傾斜生産方式やメインバンクシステムなど戦後日本の経済発展の原動力といわれる「特殊性」を示す事項(主に官僚が引っ張ってきたんだい!的な意見です)を、これでもかこれでもかというぐらいに批判し、根拠のなさを根拠づけて示しています。基本的に主張はずううっと同じなのでささささっと読めます。

「ヤミ市も規制できない政府に、どうして市場機能よりも効率のよい資源配分ができたのか」
「高度成長期に企業を支えたメインバンクは、なぜバブル期では急にその力を失ったのか」

そう考えると、確かに教科書に書いていたことはおかしい気がする、というのが感想。
言っていることはもっともで、何でいままでそういう問いかけがなかったのか不思議です。
確かに教科書にはそういう筋道が書いてあったけど、理由は書いてなかったもん。

本書では「ここまでやったら嫌われる!」というぐらい通説の批判の批判に徹底的に批判的で気持ち悪いぐらいですが、しばらくすると慣れるから不思議です。

別に「役人は不要だ」「日本経済は発展すべくして発展したのだ」と言っているわけではないのです。
ただ「通説は正しくない」といっているだけ。

とにかく、経済学とは歴史学ではない、というかみんなが思うほど使える学問じゃないよ、ということがよくわかる一冊です。(てかこれだけ再現性のない学問は、果たしてサイエンスなんでしょうかね)

ちなみに、こうした根拠なき通説が受け入れられた背景は、マルクス経済学(あまり実証を重んじず、ストーリーで語りたがる経済学)が日本で主流だったことにあるらしいですが、これもこの本に基づけば根拠がないので本当かどうかわからない、ということになりますね。

あ、後ろのほかの話題(独禁法規制とか)が超面白いので、そこだけでもオススメです。


2008-01-06

『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』(勝間和代/ダイヤモンド社)














思わず衝動買いしてしまった一冊。
基本的に借りるか、古本屋で買う人なのですが、パラパラ見て「考え方一緒!」と思って購入。
発行して12日で第2刷というのはよほど評判なんでしょう、ということで。



情報とは価値であり、良質な情報を手に入れ整理し活用する努力とお金を惜しんではならない。
そんな感じの、「バリバリのキャリアウーマンの生き方」という印象です。

著者は元マッキンゼーのコンサルタント。
というと分かりやすいですが、史上最年少(当時)で試験に合格した公認会計士で、外資系を渡り歩き、博士号ももつ3児の母で、日米の栄誉ある女性ビジネスマンの賞を受賞している方、がより正確です。


垣間見えるのは、「人間とはもともと同じ。違いが生まれるのは情報の差である」という唯物論。

というか、人間はPCである、という感じ。要はみんなハコであって、いいソフトを入れて、いいバッテリーを使って、いい人が使うことではじめて価値が生まれるのよ、みたいな。

僕も基本的には同意見で、知っているか知らないか、つまり意識の違いから生まれる情報量の差が、その人間の価値を決める・・・と思っていました。最近はその考えを改めましたが、うーん。


読後感は、「マッキンゼーで働いてみたい!」。笑

それはいいとして、久々にモチベーションがぐぐぐっとあがった本でした。



おお!というポイントを。

①フレームワークで考える
・・・物事をわかりやすく、論理的に話すには、フレームワークに分けてMECE(もれなく、ダブりなく)説明する必要があること。マッキンゼーではフレームワークが200個ぐらい載った本があり、それを眺めて覚えるそうです。

②ベンチマークする
・・・優れた他人と自分を比べて自分の過不足を発見すること=ベンチマークらしい。

③何事も2年
・・・何か新しいことを始めて、熟練するには2年間かかるということ。

④有料=優良
・・・メディアは金を出したほうが、結果的にいいものを得られるらしい。

⑤ハードカバーを読め
・・・基本的に本はもっともお得な情報源なので、本を読みなさい、と書いてありますが、もっともコストパフォーマンスがよいのはハードカバーだそうな。

⑥本を出せ
・・・アウトプットをせよ!という話で、究極的には出版がよいそうな。

⑦集中力=体力
・・・そのまま。運動して体力をつけることがパフォーマンスを上げる

⑧睡眠は投資
・・・睡眠は脳の情報整理の時間。ですから寝ない時間がもったいない。



てな感じです。ということで、投資のために寝ます。

Welcome home!

おかえりなさい!


・・・いつも一緒じゃないとダメなんです。

いなくなってからもう15日。
その間、生活リズムはボロボロ。お金の使い方は粗暴になり、日々の予定を忘れる始末。
離れてこそその大切さがわかる、との言葉を痛感しました。



zero-3〔es〕が、二週間の修理を経て、ようやく今日戻ってきました。
(僕のは白ですが)













もともとメールがまったく動かなくなったので修理に出したのですが、
戻ってきたら、いろいろ直っていてびっくり。
ポインティングデバイスの不調はやっぱり動作不良だったんですね。


もともと「PCと同期できるスケジューラーが欲しい」というニーズから購入した一台でしたが
コンパクトな管理ツールは(使える機能の10%ぐらいしか使っていないにも関わらず)やはり便利です。


彼とも2日でちょうど1年。
最近は、smartな後継者が現れたようですが、こっちのほうが断然カワイイんだから、がんばれ。

better tomorrow

どうでもいいのですが、今年のスローガンを変えます。

◆スローガン
「日々全力」「よりよいあした」
・・・「日々全力」だとイマイチ気分が乗らないなあと思って。積み上げることよりも工夫してより良いものに変えていくほうが自分にはあってるみたい。これだと毎日がつながってきて生き生き生きられる(←この並びが妙?)じゃないですか!

ということで、おやすみなさい。

2008-01-05

『すぐに使える「図解」の技術―図解の基本ルールからパソコンを使った資料作成まで』(竹内元一/PHP研究所)













出版甲子園以来、なんとなく気づいていたのですが、最近確信しました。

・・・スライド作りがヘタ。

それ以来、いいスライドってどうやって作るのかなあ、と物思いにふける日々。
霞ヶ関はパワーポイント行政(=政策のアイデアをpptで意思疎通する)という話も聞き、しかも最近のセミナーではそれを裏付ける資料が毎回配られ、必死です。

何かビジュアル表現の方法のパターンがあって、上手な人はそれにハメて作るのでは?
そう思って予備校帰りに本屋で立ち読みしたらよい本が。

図書館で同じ本を探したのですが、置いてないので似た本で代用。
なにやら前置きが長いですが、そんな経緯で借りた本。




情報の伝え方は、情報源に応じて3つに分かれ、わかりやすさの深度がある。図解には対象に合わせて3つの方法があり、特に難しい「論理図解」も3つしかない。また、3・7の数の限定も重要である。という感じ。


①情報の伝え方の種類
・・・数・文字・絵の3つがあり、それぞれ表→グラフ、箇条書き→論理図解、物理図解の順で伝達可能性が高まる。ちなみに、これを箇条書きすると

情報   (理解度→大)
      数・・・表→グラフ
      文字・・・箇条書き→論理図解
      絵・・・物理図解(写真や絵を簡潔にして表す)

という感じ。

②論理図解の3分類。
・・・一番難しいのが論理図解だそうです。いわゆる「図解」とはこれですね。①構造・構成図(分類図・組織図・構成図)②集合・関係図(ベン図・内包外延図・グループ図)③時系列図(プロセス図・手順図・工程表・アロー・ダイヤグラム)



で、最後に実際の図解やテンプレートがあったのですが、図→文字は面倒なので省略。



本当はいくつかパターンを箱で作っておけばいいんだろうけど・・・使うときに作ります。





著者は数冊同様の本を書いていた(当時)らしく、内容がダイジェスト版のようでお得です。
1996年に出版されたということを聞いて、驚いた一冊でした。

2008-01-04

the target of 2008

2008年の目標。




日記を読みながら昨年の反省をしていて、最近は目標を定めることの重要性を痛感しています。

だって、目標を決めてないと評価できないんだもん。
昔インターンで習ったことが今頃になって理解できました。


一年の計は元旦にありということで、一年の目標設定を。
今年は簡潔・明確な目標を心がけました。



◆活動理念
「危機感を忘れず、未来を定め、謙虚に自分を磨く」
・・・「危機感」とは、とある編集プロダクションの方にお聞きした「学び続けるコツ」。60歳にもなって、日々向上心を忘れずに仕事に取り組む姿勢に驚き、思わず聞いたのでした。思えば去年足りなかったのはこれ。危機感があるからこそ向上心を失わずにすむ。周りの環境に左右されずに目標を定めて努力できる。そして視野が広がる。ちなみに、危機感を得る機会を設計しようと考える自分は、いかにも役人気質ですね。

◆スローガン
「日々全力」
・・・これは『成功への情熱』(稲盛和夫/PHP研究所)からの学び。一日一日を精一杯生きること、その積み重ねが長期的な成功につながる、らしい。逆に長期計画を立てることは自分を安心させるだけ。今年は真逆の考え方でしたが、実践して納得。「走るうちに景色が見えてくる」とは、高校の先輩の言葉。昨年は動く以前に計画するという思考先行型で、珍しくのほほんとした日常を過ごしましたが、バランスだなあ、と。努力してないと、やっぱり落ち着かないよう性格のようです。

◆定性目標
入省する
留学する
卒論書く
恋人つくる

◆定量目標
国Ⅰ10位以内で合格
半年でTOEFL100点以上

・・・正月、テレビでイチローの、プレッシャーでパローマンスを上げようとする姿勢に惹かれました。思えばプロ野球選手なんて、自分を変え続けないと手の内がばれて選手であり続けられないという厳しい世界。そこで毎年成績を残す彼は、どんなチームにいても「ICHIRO」なんでしょう。
が、この目標はすごいですね。まるで他人ごとに思えます(苦笑)。全部達成できたらそれはそれは本当にいい一年でしょうね。大学の4年分のあれこれを取り戻す1年間になりそうです。まあ、目標を掲げることも大事ということにしてください。笑

◆心がけたち
平常心
笑顔
悪口言わない
早起き
話は短く
部屋はきれいに
今日できることは今日中
余裕を持った生活
自己顕示しない
論語読みの論語知らず

・・・この辺は性格なので、個性と表裏一体の面が多いのですが、まああげてみるとひどいもんですね。去年でだいぶ矯正されたはずですが、今年も心がけはしていかないと永遠に直りませんからね。

2008-01-03

New year!















あけましておめでとうございます。swanです。元気です。

心機一転、日記とメガネと携帯のアドレスを変えました。
(※PCメールはそのままです。お手数ですがPCにメールを下されば携帯から送り返します)

正月は寝て食べて飲んで、テレビでイチローと藤原帰一とのだめカンタービレを見て過ぎました。

結論は一緒で勉強しなきゃダメだなあ、ということ。

音大では「勉強」=楽器の練習なんでしょうか。
そんな直線的な考え方は素敵。

帰ってさっそく料理を始めたのは、別に千秋に影響されたわけじゃありませんよ。



あ、油揚げ買い忘れた。。。