2008-04-12

『税の攻防―大蔵官僚 四半世紀の戦争』(岸宣仁/文藝春秋)













「国民のため」。


財務省の説明会で「これを読むと財務省の仕事がわかるよ」と紹介された一冊。
官僚というよりも、政治がよくわかる一冊でした。


内容は消費税導入に当たって、いろんな意味で「命を懸けて」奮闘した役人・政治家の記録。
著者は元読売新聞の政治記者。
足掛け9年にわたって描いた大作で、政治家、役人すべて実名で登場します。

前半は役人中心ですが、後半はほとんど政治家たちの独り舞台。
なぜかといえば、背負ってるリスクが役人とはケタ違いで、すごみがあるからです。
落選すればタダの人なわけですから、不人気な政策を推し進める政治家というのは、ある意味でものすごくカッコよく見えるのです。

「消費税導入」という不人気な政策を、財政面から考察し、提案する大蔵省(当時)。
それを、自らの政治生命を懸けながら、進めていく与党・自民党。
消費税反対によって世論を利用して連合するが、政権獲得後は主張を変える野党。
国民のためにあくまで主張を曲げない一政治家たち。
消費税導入反対に賛同したものの、徐々に認識を改め、急速に冷める世論。

みんな言ってることは「国民のため」なのですが、その「国民」の気持ちは決してひとつじゃないし、時間によって、状況によって変わるのです。「国民のため」に報いる手段も違う。筋を通すべきか、実利を取って貢献すべきか、世論を的確に捉えて主張を変化させるべきか・・・。

民主主義って、本当によく出来てるなあ、と思わされる一冊です。

この本を読んだのは、まさに同じような状況が農業政策にもあって。

消費税の時にはどうしたのかなあ、やはり政策では難しいのかなあ、と何かヒントを得るつもりで読んだのですが、別に政策でできないこともないし、要はやり方の問題なのだと理解しました。

やはり、国政の世界はビジョンがでかい。
気合を入れなおして勉強に励みます。



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