農業は成長産業たりうるか?
部分的には、なりえる、と思います、というのが答えでしょう。
コメ政策を批判しつつ、産業としての農業を肯定する、アゲアゲな感じの一冊。
もっといえば、農水省、JA(全農)、自民党を批判しつつ、経営感覚のある農業経営者を応援する一冊。
つまり主張は
①コメのみが所得源という考え方の生産者や政治や農水省こそが間違っている。超高級米、飼料米、米粉米など多様なコメのあり方を認識して、制度を変えるべき。
②そのためにも参入規制や生産調整など無駄な規制は不要。政治への甘えをなくすことも不可欠。
③その上で、きちんとビジネスの基本に立ち返れば、農業は産業足りうる。
これは本当にその通りで、その上で肯定的な書き振りが素敵です。
ミニマムアクセスや大豆小麦の輸入割り当てにまで話題を広げているのがすごいところ。
この文量で、ここまで現代農政の表層を扱うとは、お得な一冊ですね。
個人的には、農協の普及員をうまく使え、という話に共感。確かに農業を評価・指導できる力は今後の食品産業に欠かせない部分ですものね。
確かに、こういう話をしていかないとなあ、と思う一方、全員が生産だけで儲かるはずはないよなあ、と思うのでした。産業足りえる=儲かる、というのは全体のパイを増やせるのではなく、あくまで退出農家が増えるというプレイヤーの縮小によって、もたらされる残りなのかなあ、と思ったり。食料生産の農業はこうしたスペシャルな経営者に担ってもらうとしても、それ以外の市場で農業という産業の幅を広げる施策が必要でしょうね。
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