2009-10-25

『食と農の戦後史』(岸康彦/日本経済新聞社)



進化と退化。



食や農に携わる人間としての基本書があるとすれば、間違いなくその一冊に入る本。
前々から読まなきゃと思っていたのですが、結局ついこの間職場の図書館から借りて読了。
・・・読んでいなかったことが恥ずかしい一冊です。

内容は戦後の農と食のルポルタージュ。もっといえば、農業生産・農業政策・食品産業・食卓の60年、という感じ。当たり前なんですが、生産だと「農」で、消費だと「食」なんです。両方の視点から見ないと、現実を見誤るなあと改めて感じたのでした。

印象に残るのは戦後の食生活の変化の激しさ。食品産業・外食産業は未曾有の拡大を見せたのに対して、衰退した(土地利用型)農業と、荒廃した食生活。日本型食生活の復権が叫ばれて久しいですが、結局は昔に戻れ、という話。有機農業の進行とあわせて、いのちの世界はマルクス経済学でないと分からないのかも。。。


個人的なハイライトは農業基本法。「日本の高度成長に賭けた」という言葉の意味は定かではないですが、俺たちが農業を作るんだという意気込みはすごいものがありますね。










『新政策そこが知りたい―「新しい食料・農業・農村政策の方向」の解説』(新農政推進研究会/大成出版社)



農政の源。



今の農業政策の始まりの一冊。
「これまでの規模拡大路線は行き過ぎだ。農業・農村政策は一体的に。」みたいなことを最近はいわれますが、その路線がまさにこれ。


内容としては、「新しい食料・農業・農村政策の方向」(平成4年6月10日)の解説書。
ただしこれが「新政策」として、これまでの農業政策の基本方針となったので、法律でも政令でも通知でもなんでもないんですが、有名なのです。農政を「食料」「農業」「農村」と分けたのはこれが最初という噂。内容としては育成すべき農家像とその数(とそれに対する農地の集積目標)を明確にし、それに対して各種施策を講じるプロセスを築いた点が画期的。


農業者の高齢化、規模拡大の遅れ、貿易自由化への対応、環境問題への貢献・・・食品の安全性や多面的機能の解説など、現在当たり前のように議論されている論点がこのとき既に盛り込まれていたことは、当時の見識がすごいのか、現在の認識に進歩がないのか、どっちなのでしょうか?(執筆者の一人によれば)結構売れたとのことで、当時は画期的な政策だったことは間違いなさそうです。




当時は直接支払い(農家に直接(固定額の)補助金を払う)が時期尚早として見送られていたんですね。。。そのほか農商工連携が「地域内発型農林水産関連産業」といわれていて、なんだか奇妙です。生産調整は議論があいまいですね。


『戸別所得保障制度、そこが知りたい』を出したら、売れると思うんだけどなあ。






2009-10-03

『佐々木かをりの手帳術』(佐々木かをり/日本能率協会マネジメントセンター)



「時間管理が上手な人は悩みが少ない。なぜならば、悩みというのは、長い時間解決できない課題のことを指すからだ」



衝撃的だった一冊。「いくら計画を立てても、行動を起こさなきゃ意味がない。というか、行動以外は意味がない」そんな思いが手帳から読み取れます。

著者の佐々木かをりさんはone of 有名な女性起業家で、2社の社長&2児の母。
もっと有名なのは彼女の考案した手帳

もともと手帳が好きだったという著者。そのうち自作を始め、一時はフランス製の手帳を使っていたそうですが、結局祝日とかの関係で自分で製造・販売してしまったそう。

手帳の設計はいたってシンプル。
・一週間見開き
・30分ごとの欄
・基本、それだけ

毎日のページとか、価値観を明確化するページとか、一ヶ月の予定を確認するページとかメモとか、そんなのは基本的にないんです。だって一箇所になってたほうが見やすいし、何より無駄だから。フランクリンプランナーと比べると、すごく実践的。あれはすごく理論的なんですね。大事なことはわかるけど、コストが・・・。



市販の手帳→フランクリンプランナー→自作→outlook→フランクリンプランナー・・・と行動力がないことを手帳のせいにしてきたのですが、何だかしばらく落ち着きそうです。当然、手帳<<行動、ですけど。