2009-12-19

『オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える』(木村元彦/集英社インターナショナル)



「無数にあるシステムそれ自体を語ることに、いったいどんな意味があるというのか。大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。個性を活かすシステムでなければ意味がない。システムが人間の上に君臨することは許されないのだ」



あああ、こんな人になりたい。

日本代表前監督のイビツァ・オシムについての本。
著者は記者であり、ノンフィクションライター。サッカーだけでなく、オシムの故郷であるサラエボについても詳しいため、彼の半生記を綴りつつ、そこで結晶した人間性を浮かび上がらせています。要はブームに乗って書いただけではなさそう、ということ。


民族が入り混じり、内戦で祖国が混乱する中、数学者や医者の道を蹴り、サッカー選手となったオシム。選手一人ひとりをつぶさに観察しつつ、チーム全体やサッカー界すべてを視野に入れ発言し、行動するその姿は、監督として、人間としての一つの完成体である。



思えば、監督って、自分でプレーしないわけです。実際には何もできないけど、確実に何かしている。その「何か」がオシムの行動なのでしょう。


とにかく、発言が、行動が的確すぎる。無駄がない。よく見てる。自分を知り、相手を知り、未来を知る。

服部正也もたぶん、こんな感じなんだろうなあ、と。

別にサッカーはまったく分からないのですが、こういう生き方をしたいなあ、と思うのでした。







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