2008-09-21

『日本 権力構造の謎』(カレル・ヴァン ウォルフレン,篠原勝訳/早川書房)













「日本には権力の中心がない」。



一番の主張を抜き出せば、結論はこれ。
なぜ、「責任感のある」トップが突然「責任を持って」職を辞すことができるのか?
その答えがほんの少し分かる気がする一冊です。
留学に当たって日本の構造を理解しておかねばと思い、持ってきたのでした。




日本って、ディズニーランドみたいだなあ、と。

幸せですよね。アトラクションがあって、食事があって、お店があって、キャストも親切で。
でもそれは見えないところでものすごくよく管理されているからであって、自然な姿ではない。
それに、冷静に考えれば、純粋な消費活動だったりして。
入場料大人一人5800円。一日行ったら交通費と食事で1万円はなくなるよねー、みたいな。









日本における民主主義の導入は、対外的なアピールであって本質的な導入ではなかった。したがって権力の所在が法によって制限されないような巧妙な設計<システム>になっており、それが「権力の中心がない」という意味である。この状況が軍部の台頭を許し、軍国主義を生む温床になった。しかし、戦後のGHQもシステムの欠陥には気がつかず、彼らは官僚組織を利用して日本の統治を行ったため官僚はGHQの権力を盾に<システム>を利用し、満州では果たせなかった管理国家の建設に勤しみ、実際に部分的には成功した。この<システム>政治・経済のみならず、教育・文化・宗教など日本人にかかわるあらゆる側面に、気づかれないように関与している。この構造は変わっていないが、管理者に不都合な変革をする手段を<システム>は持っていないため、日本の構造改革は果たせないままである。




新書で出たのが1990年、文庫版が94年。折りしもバブル崩壊・細川政権の時期です。

今は2008年。サブプライムローン問題・政権交代?








将来、何を持って何を捨てるべきか結構真剣に悩める一冊です。











2008-09-16

a month in Stockholm

留学の現状紹介。


今日でちょうど一ヶ月です(週サイクルだと)。

講義も全てスタートし、ルームメイトも来て、いよいよ開始という感じです。
友人の日記を見ると、かなり詳細に留学体験記を書いている模様。
「留学ってどんな感じなの?」と、(誰にも聞かれないのですが)、日本にいる自分なら聞きたいだろうなあ、というポイントを書きたいと思います。

<そもそもの前提>
ご存知のとおり、スウェーデンの公用語はスウェーデン語で、英語圏ではありません。
講義は英語で行われますが、みなネイティブでないため、英語ができない人向けに講義してくれているという印象です(平易な単語でゆっくりしゃべってくれる)。また、3割がexchange studentなので、(おそらくその国のエリートなのでしょう)みんな空気が読め(!)、付きあい易く、英語ができなくてもあまり困ることはありません。なので大きな問題は生じませんが、がっつり英語を学びたいという人にはものたりないかもしれません。


<講義>
基本的に1講義が90-120分、週2回です。1/2semester(1.5ヶ月)で2つが標準。
語学のクラスをとると、3つまで履修できます。ですから、毎日講義は1つか2つ、講義のない日もある、という感じになります。予習復習に追われる印象だったのですが、それほどでもありません。ただ、親しい友人もいない、遊び場所も知らない、お金もない、の三重苦では勉強しかやることがないので、必然的に図書館と家を往復することになります。勉強量があまり苦にならないのは絶対時間の多さかもしれません。が、少なくとも勉強が嫌いな人には向いていないと思います。

講義紹介

①International Business:Int.Business Strategy
時間:8:30-10:00(月・水)
人数:40人ぐらい
予習:毎回2-3つのreading(各10ページぐらい)
宿題:提出は任意
評価:感想文提出と自分で戦略を立案して提出
内容:事前にreading(Harvard Business Reviewなど)が2-3本指定されて、assignmentが設けられていて、それについて議論する、という形式。学生が意見を自由に述べ、教授がうまく組み立てていくというスタイルです。「発言しないといる意味がない」という講義ですが、発言しなくても咎められるわけではありません。readingはどれも非常に興味深く、また教授のファシリテーションが本当に巧みで、場を盛り上げつつ、高度な知識に統合していきます。

②Trendspotting&Future Thinking
時間:17:00-19:00(火・木)
人数:70人ぐらい
予習:特に不要
宿題:特になし
評価:blogの作成(更新)とグループで○○の未来を作ってプレゼン
内容:SSE(僕のいる経済系の大学)、KTH(工学系の大学)、Konstfack(芸術系の大学)から学生が集まり、みんなで一緒にチームを作って、与えられたテーマの未来を考える、という画期的な授業。最初はTheoryでしたが、残りの講義はguest lectureのみ。自分たちでプランは考えてね、という感じ。今はゆるい感じですが、本番前はハードそう。。。

③Business English
時間:15:15-17:00(火・木)
人数:20人ぐらい
予習:特に不要
宿題:4回のwrittingと2回のスピーチとマイ辞書提出
評価:出席とテストと宿題の総合
内容:上記そのまま、という感じ。input-output-feedback、の繰り返しです。このコースは初級なのですが、みな通常英語はできるので、「ビジネス」英語を学びたい、というモチベーションの人ばかり。ちょっと大変そうです。。。


全体的な印象
どの講義も、よく準備してあるなあ、という印象。「本で読んだほうが早い」「本に書いてある」という類ではないのが凄いなあ、としみじみ思っています。

<そのほか>

①基本的な生活
幸運なことに、大学から徒歩1分のアパートにいます。しかも同じ区画にスーパーとジム!
ストックホルム中央駅にも徒歩15分ほどなので、不自由はありません。
ストックホルムのど真ん中(東京で言えば神田あたり?)なので物価が高く、基本的には3食ともアパートに戻って自炊の日々です。
ルームメイトは優しそうなポーランド人で、いろいろ気を使ってくれるので快適です。

②観光
金・土・日と空くので、行こうと思えば行けます。(台湾人の友人はノルウェーに行ったらしい)。が、物価が高いのと、そんなに行きたい場所がない(農業情報が探しづらく、また通常の観光プランは高い)ので、一度ウプサラにいったっきりです。来週あたりどこかいきたいですね。

③クラブ
こっちでは日本の飲み会と同等の地位にクラブがあるらしく、みんな毎週1,2回行くようです(というか日本人でもいくのかしら???)。はじめは積極的に参加していたのですが、そこまで好きではない(し踊るだけで話さないので英語も上達しない)ので、たまにで、という感じにしています。



「日本の大学とどっちが大変ですか?」と以前こっちから日本に来ていた交換留学生に聞かれたのですが、これは人によると思います。個人的には日本のほうが大変だった印象です(3年で卒業単位を揃える必要があったのと、放課後予備校に通っていたのと、サークル運営があったため)。日本のほうが自習時間が短く、講義時間が長い(講義が多い)、というふうに考えれば、案外同じかもしれませんね。

ただ、おそらく僕の講義はかなり楽なものを選択したようなので、もっと大変なものもあるようです(ルームメイトは今週テストらしく、毎日30ページぐらい教科書を読んでいる)。






・・・という感じです。何はともあれ、勉強はできるし、英語は学べるし、水はおいしいし、毎日が新鮮で、楽しい毎日です。