2010-01-23

『それでも人生にイエスと言う』(V.E. フランクル著, 山田邦男・松田 美佳 訳/春秋社)



「生きる意味ってあるのかなあ?」



ある種の人間は、きっとどツボに嵌る質問じゃないでしょうか?

・・・というのも、かくいう私も、まさにその一人だからです。



やりたいことがない人間から、やるべきことを取ってしまったら・・・そこに待つのがこの問い。

なんとなく大学生活を送っていて、やるべき仕事がなくなって、とるべき単位がなくなって、でも生活は保障されていて・・・。そんな人間だった自分。こんなこと考えても意味ないんだろうなあ、と思いつつ考えていたのが人生の意味でした。あのとき「まあ、結果的に意味のある人生にすりゃ、いいんだ」と割り切って、とりあえずやりたいことらしきことをやるという判断をしなかったら、今の自分はなかったかもしれません。



著者のV・E・フランクルはナチスの収容所体験を持つ、精神科医。死以外に待つものがない絶望的な状況の中で、一囚人として体験したこと、周りの人間を観察して発見したことから、「人生の意味」について語った講演録がこの一冊。


「人生の意味を問うべきじゃない。人生が自分に何を期待しているかを問うべきだ」というのが結論。人は快楽のために生きているのではない。快楽は責任を全うした結果として与えられるもの。

同様に

「仕事の意味を問うべきじゃない。仕事が自分に何を期待しているかを問うべきだ」

なんでしょうね。



というわけで、25年間生きていた自分と、支えてくれた家族・友人・先生先輩後輩に感謝ということで、誕生日の一言でした。














2010-01-03

a review of 2009 & targets of 2010

明日からお仕事。



明日から仕事だあ・・・というぼやきが昨年の反省を端的に表しているような気がしますが、毎年恒例ですから反省&目標設定を。

昨年の理念&目標はこんな感じでした。


◆活動理念
「いつも100点」(Always Perfect)

>「いつも100点」を目指す意識は就職後特に高まっていったものの、結果的には理念に沿った活動ができなかった。というのも完璧を期すためには、言われたことに隠された努力が必要であり、表面上でしか物事をこなしていなかったから。感覚としては、100点を取るためには、130点分の努力をしないといけない、ということである。(速さを求めるあまり、時間軸、空間軸、で考え、優先順位をつける視点が欠けている。)活動理念を通じて、「言われたことを、言われた通りにこなす」ということが非常に苦手であるということを実感。社会人として極めて致命的なので早急に策を講ぜられたし。。。


◆目標
(各25点)
①健康・・・体重変えない。休まない。日記毎日書く。>15点
体重は変わらず、休まなかった。日記は11月ごろから途絶えていたので。

②清潔・・・毎日掃除機かける。毎週大きめの掃除。毎月大掃除。>10点
毎日掃除機は実践。それ以外は失念していた。

③社交・・・月1回は新しい人(年上・年下)と会う。>20点
こんな目標あったんだ・・・。基本的にはあっていた気がする。

④勉強・・・毎月専門書(英語)を一冊読む。先生のブックリストを就職までに読破。TOEFL100点、英検1級。TOEIC800点。>0点
あまり無茶な目標は立てないようにしましょう。苦笑

というわけで、昨年は45点でした。あんまりよくないのですが、実感値に近い気が。
何よりも点数で出るのはいいですね。
よく考えればこの軸は何か変だぞ。


ということで、今年の理念&目標。

◆活動理念
「軸を持ち、付加価値を付ける」(Have a principle, add a value)


軸を持つ、というのは大きな理念。自分と農林水産業・日本・アジアの将来像を描く、ということ。いろんな変化の中で、何を軸に考えればよいのか、見えなくなっている気がする最近。重視すべきは人なのか、ムラなのか、土地なのか、食べ物なのか。結局はすべてなのでしょうけど、そういうバランス論ではなくて、理想と現実を掴んで語れるようになりたい、というのが切実な願い。だってそれがないとただ、働くだけだもん。

付加価値はミクロな自分の行動。何かひとつでも相手にとって「頼んでよかった」と思われるような仕事ができるように、自分にとって「新しいことができた」と思えるように、プラスアルファを探して何事にも取り組む、という姿勢を身に付けたい。これができるときっと去年の目標もクリアできてるんだと思うんだよね。



◆定量目標<各25点>
①肉体:体重を変えない(10)。100万円貯める(15)。
②社会・情緒:今年新たに知り合った100人に年賀状書く(25)。
③知性:TOEFL100点(10)。HSK初級で級とる(10)。気持ちが合う(農業)経済学者見つける(5)。
④精神:1日1付加価値(15)。1つアイデアを仕事で具現化(5)。


目標達成のための道のり。
①週三回はジムに。1/4は貯金。
②月1回は農村へ。月1回はセミナーへ。(月あたり8人に会えればOK)
③とりあえず勉強法を聞いてみる。毎日何かやる習慣を(語学)。まずはブックリストを作ってみる。
④日記を毎日書き、付加価値の例&アイデアを書き留める。


最後になりましたが、今年もよろしくお願いします。









2009-12-27

『構造政策の理念と現実』(安藤光義/農林統計協会)



正しいのはどっち?



政策効果を検証した一冊。
取り上げらているのは農業経営基盤強化促進法で、まさに課の所管なんですね。

「構造政策」とは、いわば「農地をまとめていきましょう」という政策のこと。
小さな面積で農業をやっても効率が悪く、儲からない。儲からないままだと誰も跡継ぎが生まれず農業全体が立ち行かなくなってしまう。だから儲かる農業のために大きな面積で農業が行われるように、農地を地域の中心人物に集めていきましょう、というのが構造政策の論理。「構造」という呼び名が与えられているのは、農地は有限なので、だれかに集める=だれかが手放す、という全体の構成にかかわるものだからでしょう。

「農業経営基盤強化促進法」とは、市町村ごとに、この「構造政策」を進めるための手段を与えた法律で、その法律について政策の効果がちゃんと出ているのか、ということを具体的な事例を元に検証し、提言しているのが本書。

で、内容は

①もはやコメが儲からない以上、大規模に耕作したって儲からない。だから儲かるために土地を集めましょう、という仕組みは意味がない。(構造政策と経営体育成政策との乖離)
②地域で農地をまとめて「儲かる」仕組みを作ろうと促しても、地域の人は農業を維持しようと思っているだけで、儲けようとは思っていない。(集落営農の目的の変質)
③都市農地では、相続税対策が一番の問題。

という感じ。

言われていることはもっとも、な気がする。
振興行政って、難しいですけどね。









『ルワンダ中央銀行総裁日記』(服部正也/中央公論社)



なんと、復刊されました。



 もう4回ぐらいレビューしている本書ですが、何気なくアマゾンを調べていたら、同じタイトルが2つ。。。待てよ・・・と思ったら案の定復刊されていました。いやー名著はやはり残っていくものなんですね。

見知らぬ国に一人で乗り込んでいって、経済復興計画を作り、実際に復興させてしまう凄さ。
農民、商人、役人、政治家、ルワンダ人、インド人、ベルギー人、アメリカ人・・・あらゆる立場から話を聞き、1つの物事に対する異なる見解を1つの論理にまとめていく想像力。発想から政策立案が直結する鮮やかさ。政治への配慮と戦略。

「なんで役人になったの?」の30%ぐらいはこの本のおかげな気がしています。

以前は絶版で、アマゾンでしか買えなかったのですが、これで書店でも買えるようになりました。もう一冊ぐらい買おうかしら。笑

やはり、目標ですね。




2009-12-19

『オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える』(木村元彦/集英社インターナショナル)



「無数にあるシステムそれ自体を語ることに、いったいどんな意味があるというのか。大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。個性を活かすシステムでなければ意味がない。システムが人間の上に君臨することは許されないのだ」



あああ、こんな人になりたい。

日本代表前監督のイビツァ・オシムについての本。
著者は記者であり、ノンフィクションライター。サッカーだけでなく、オシムの故郷であるサラエボについても詳しいため、彼の半生記を綴りつつ、そこで結晶した人間性を浮かび上がらせています。要はブームに乗って書いただけではなさそう、ということ。


民族が入り混じり、内戦で祖国が混乱する中、数学者や医者の道を蹴り、サッカー選手となったオシム。選手一人ひとりをつぶさに観察しつつ、チーム全体やサッカー界すべてを視野に入れ発言し、行動するその姿は、監督として、人間としての一つの完成体である。



思えば、監督って、自分でプレーしないわけです。実際には何もできないけど、確実に何かしている。その「何か」がオシムの行動なのでしょう。


とにかく、発言が、行動が的確すぎる。無駄がない。よく見てる。自分を知り、相手を知り、未来を知る。

服部正也もたぶん、こんな感じなんだろうなあ、と。

別にサッカーはまったく分からないのですが、こういう生き方をしたいなあ、と思うのでした。







2009-10-25

『食と農の戦後史』(岸康彦/日本経済新聞社)



進化と退化。



食や農に携わる人間としての基本書があるとすれば、間違いなくその一冊に入る本。
前々から読まなきゃと思っていたのですが、結局ついこの間職場の図書館から借りて読了。
・・・読んでいなかったことが恥ずかしい一冊です。

内容は戦後の農と食のルポルタージュ。もっといえば、農業生産・農業政策・食品産業・食卓の60年、という感じ。当たり前なんですが、生産だと「農」で、消費だと「食」なんです。両方の視点から見ないと、現実を見誤るなあと改めて感じたのでした。

印象に残るのは戦後の食生活の変化の激しさ。食品産業・外食産業は未曾有の拡大を見せたのに対して、衰退した(土地利用型)農業と、荒廃した食生活。日本型食生活の復権が叫ばれて久しいですが、結局は昔に戻れ、という話。有機農業の進行とあわせて、いのちの世界はマルクス経済学でないと分からないのかも。。。


個人的なハイライトは農業基本法。「日本の高度成長に賭けた」という言葉の意味は定かではないですが、俺たちが農業を作るんだという意気込みはすごいものがありますね。










『新政策そこが知りたい―「新しい食料・農業・農村政策の方向」の解説』(新農政推進研究会/大成出版社)



農政の源。



今の農業政策の始まりの一冊。
「これまでの規模拡大路線は行き過ぎだ。農業・農村政策は一体的に。」みたいなことを最近はいわれますが、その路線がまさにこれ。


内容としては、「新しい食料・農業・農村政策の方向」(平成4年6月10日)の解説書。
ただしこれが「新政策」として、これまでの農業政策の基本方針となったので、法律でも政令でも通知でもなんでもないんですが、有名なのです。農政を「食料」「農業」「農村」と分けたのはこれが最初という噂。内容としては育成すべき農家像とその数(とそれに対する農地の集積目標)を明確にし、それに対して各種施策を講じるプロセスを築いた点が画期的。


農業者の高齢化、規模拡大の遅れ、貿易自由化への対応、環境問題への貢献・・・食品の安全性や多面的機能の解説など、現在当たり前のように議論されている論点がこのとき既に盛り込まれていたことは、当時の見識がすごいのか、現在の認識に進歩がないのか、どっちなのでしょうか?(執筆者の一人によれば)結構売れたとのことで、当時は画期的な政策だったことは間違いなさそうです。




当時は直接支払い(農家に直接(固定額の)補助金を払う)が時期尚早として見送られていたんですね。。。そのほか農商工連携が「地域内発型農林水産関連産業」といわれていて、なんだか奇妙です。生産調整は議論があいまいですね。


『戸別所得保障制度、そこが知りたい』を出したら、売れると思うんだけどなあ。